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プロローグ2

遂に旅立ちです

この世界には二種類の魔法が存在する。一つは身体強化魔法。これは術者本人の身体能力を一時的に向上させる者で、強化量は術者の魔力量と比例する。もう一つは治癒魔法である。この魔法は術者以外にも使用可能だが身体強化魔法より魔力の消費が著しい。そのため、基本回復には薬草などが使われ、緊急時以外で使うことはない。



ゼリウスは王立学院の入学準備をしていた。リステニア邸から王都までは馬車で丸1日かかるので、入学式前日に到着するには二日前に家を出る必要がある。そしてあれは明日なのだ。

ゼリウスは食堂での一件以降、母スズリを何となく避けていた。理由はスズリが顔を合わせる度に泣きついてくるからだ。



一通り入学の準備を終えたゼリウスは自室のベッドで体を休めながら、これから始まる学院生活に期待を寄せていた。それは無理のないことでゼリウスには同年代の友人がいないのである。社交界での顔見知りは幾人かいるが、友人と呼べる関係のものはいない。ゼリウスは脳内で友達を作る流れから、遊ぶ予定を妄想していた。彼はおもむろに手鏡をとり自身の目つきを確認してため息を吐いた。

「はぁー。やっぱり目つきが悪いのが原因なのか…。でも目を隠して挨拶するのも変だしなー。笑顔の練習でもするか」

ゼリウスはベッドから起き上がり姿鏡の前に立つと理想のさわやかな優しい男性をイメージして友達を作る練習を始めた。

「友達になろう!」「友達になりましょう」「友達になって!」「友達になりたいな」

それぞれの言葉にポーズを付けながら練習していると、鏡の端にとても可哀そうなものを見る目をしている父親と静かに涙を流している母親の姿があった。二人とも部屋に入る途中で躊躇ったようで、ドアから半身を覗かせていた。

「部屋に入る時はノックしてくれよ!!」

ゼリウスの顔は熱された鉄の様に赤くなり鏡の前でうずくまっている。両親はなんともいえない表情で静かに部屋に入り一言、「ごめんなさい」と言って部屋から出て行った。

ゼリウスはドアが閉まる事を確認すると、ベッドに潜り込み大きな声で自身の恥ずかしさを紛らわすため叫ぶのであった。



翌日の早朝、朝日が昇りきった頃。リステニア一家と屋敷の使いの者は屋敷の門の前にいた。

「良い友人や婚約者を見つけてこい」

「危ないところに行っちゃだめよ~。嫌なことがあったらすぐ帰って来ていいんだからね~。ちゃんとご飯食べるのよ~。それと、それと~」

「スズリさんは相変わらずだね。ゼリウスは学院生活を楽しんでおいで。それと昨日の鏡の前の事おすすめしないよ」

父親グラムは茶化す様な笑みで。母親スズリはグラムに泣きながら抱き着いている。祖母のセラはいつもと変わらぬ凛々しい態度で。祖母の最後の一言に家族全員に黒歴史を見られてしまった事がわかり若干のショックを感じるが、今のゼリウスは学院での生活が楽しみであまり気にはならなかった。

「そういえば、昨日こいつをお前に渡そうと思って部屋に行ったんだよ」

グラムから一振りの剣と手提げ袋を受け取った。剣は目に見える装飾品はないが、鞘から刀身を覗かせると業物であることが一目でわかる輝きを放っていた。手提げ袋の中には馬車の中で食べる軽い食事とハンカチが入っていた。ハンカチには家紋である狼の刺繍が縫われている。

「ありがとう。このハンカチは母さんが?」

「これはわたしだよ。そっちの食事がスズリさんのだよ」

「ありがとう、おばあちゃん。大事に使わせてもらうよ」

セラは少し頬を緩ませながら「そうしなさい」とだけ告げた。

「母さんもご飯ありがとう。とっても嬉しいよ」

その言葉を聞いたスズリは更に涙を流しながらグラムの腕に抱き着いた。そんな母の姿を家族みんなで苦笑いして、ゼリウスは馬車の方へ歩き始める。

門出の日に家族全員から贈り物をもらったことで胸が一杯になったが、涙をこらえて大きな声で元気よく別れをつげた。

「行ってきます」

桜色の花びらがゼリウスの乗る馬車を応援するかの様に舞い落ちる中、ゼリウス・リステニアは新たなる出会いを求めて巣立って行った。



ようやくストーリーが動き出します!!

めざせ、最後まで書ききれ!!(笑)

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