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ヘリオスフィア・クロニクル  作者: 氷山 玲士
第1章・転移から始まるプロローグ
2/77

スキルの確認

 光が収まると、俺は見知らぬ草原に立っていた。

 後ろには森があるし、遠くには山も見えるな。


「ここがヘリオスフィアにあるフロイントシャフト帝国、なのか?」


 確認するには、この近くにあるっていうルストブルクっていう町に行くしかない。


 だけどその前に、確認しなきゃならない事がある。


「『ステータリング・オン』。おお、これがそうなのか」


 創造神様に教えてもらった魔法を使い、ステータス画面を確認する。


 コウヤ・ミナセ

  18歳

  ヒューマン

  Lv:50

  HP:2,406

  MP:2,247

  STR:74

  DEX:70

  VIT:67

  AGI:68

  MND:67

  INT:63

  LUK:50

  スキル:全言語理解:10

      成長速度向上:10

      ???:1

      武器戦闘(全):3

      魔法(全):3


 これが俺のステータスだ。

 ヘリオスフィアの成人の平均は、HP700、MP350、各種ステータスは25らしいから、平均よりだいぶ上どころか圧倒的な強者レベルだな。


 スキルは5つあって、言語理解と成長速度向上のスキルレベルが10なのは驚いた。

 言語に関しては、ヘリオスフィアは共通言語しかないから、あまり意味がない気がするが。

 成長速度向上スキルは、どれぐらい向上するかは実際に試してみないと分からないな。

 武器戦闘と魔法はレベル3だが、これは事前に聞いていたから問題無い。

 残る???が、俺が一番欲したスキルだな。


「まずはスキル名を決めないと、確認すら出来ないって言ってたな。どうするか……いや、あれでいいか」


 例のスキルは、俺が大好きなゲームを模した物だ。

 だからスキル名も、そのままの方が良い気がする。


「よし、スキル名登録、ブルースフィア。おお、出来た!」


 ゲーム名ブルースフィア・クロニクルは、奇しくもこの世界ヘリオスフィアと似た名前だ。

 だからクロニクルを取って、ブルースフィアと命名することにした。


「よし、まずは確認だな。『ブルースフィア・オープン』」


 ブルースフィアを使うと、目の前に14インチ程の画面が広がった。

 いきなりブルースフィア・クロニクルのステータスが開いたが、オープニングなんて流れてもどう反応していいか分からんから、これでいいんだろう。

 確認すべき事は多々あるが、まずは武器と防具からだな。


「武器はっと……ああ、あった。おお、俺のデータそのままじゃん!」


 装備欄を開いて武器にタッチすると、嬉しい事に俺が地球でやってたブルースフィア・クロニクルのデータがそのまま入っていた。

 当然だが俺は、ブルースフィア・クロニクルではキャラのレベルをカンストさせてたし、ジョブもコンプリートしていた。

 だから武器や防具も、最強装備は勿論、高レベルの物が揃っている。


「全部あるって事なら、やっぱりこれだな」


 ブルースフィア・クロニクルでは剣士をやってたから、俺は悩んだ末に剣を選んだ。


 セイクリッド・ブリンガー

  片手剣:☆☆☆☆☆☆

  基本ステータス2倍

  アンデッド特攻、時々光属性攻撃付与

  アタックスキル:セイクリッド・ブラスト(STR10倍補正)


 ブルースフィア・クロニクル最強の剣、セイクリッド・ブリンガーをタッチすると、画面に拡大表示された。

 全てのステータスが、基本値の2倍になる補正があり、専用アタックスキルに至ってはSTR10倍という狂った性能だ。

 その上でアンデッドへの特攻効果に光属性攻撃が付与されるバフもある。

 特攻は対象へのダメージが2倍になり、魔法付与のバフは弱点を持つ対象へのダメージが1,5倍になる効果だから、アンデッド相手には無類の強さだな。

 デザインは柄にゲームタイトルにもなっている青い球が嵌め込まれ、豪華な装飾が施されているし、刀身にまで届いている。

 この剣を実際に使えるなんて、テンション上がってくるな。

 余談だが、ブルースフィア・クロニクルの武器は9種類あり、どの最強武器も基本ステータス2倍っていうのは同じだが、アタックスキルの補正値は武器によって異なっている。


 えーっと、取り出し方は……なるほど、こうか。

 って、取り出す方法は召喚って言うんだな。


「『セイクリッド・ブリンガー、アクティブ』。おお、出た!」


 驚いた事に、セイクリッド・ブリンガーは鞘に入った状態で、俺の左腰に装備された。

 なんか格好良いな。

 高いテンションを維持したまま、俺はそのセイクリッド・ブリンガーを鞘から抜き放ち、軽く振ってみた。


「やっぱりブルースフィア・クロニクルのスキルは使えないか。だけどアタックスキルは使えそうだな。後で試してみよう」


 ブルースフィア・クロニクルにもスキルはあるが、残念ながらヘリオスフィアでは使えないようだ。

 アタックスキルは使えそうだが、これは武器専用スキルだからだろうな。


「よし、じゃあ次は防具だな。防具はどれにするかな……」


 武器に限らず、防具もジョブごとに装備出来る物が決まっていた。

 だけどヘリオスフィアには、ジョブという概念は存在していない。

 だからおそらく、どの防具であっても好きに装備出来るはずだ。

 なんだが、俺の目に留まったのは、剣士の最強装備だったりする。


 マルス・ブレイブアーマー

  ヘッド:☆☆☆☆☆☆ マルス・ブレイブサークレット

  アッパー:☆☆☆☆☆☆ マルス・ブレイブコート

  アーム:☆☆☆☆☆☆ マルス・ブレイブガントレット

  ロウアー:☆☆☆☆☆☆ マルス・ブレイブブリーチズ

  フット:☆☆☆☆☆☆ マルス・ブレイブグリーヴ

  STR+25、DEX+15、VIT+10、AGI+15、MND+5、INT+5

  闇光風火雷耐性

  魅了、即死、石化、毒物、鈍足耐性

  徐々にHP、MP回復

  セットボーナス:STR+10、VIT+10、HP補正、MP補正、剣術スキル補正


 ブルースフィア・クロニクルでは、どのランクの装備であっても、ステータス補正は1種類が基本で、上級装備でようやく2つになる。

 だけどこのマルス・ブレイブアーマーは、セットで装備するとさらにステータス補正が加わるため、剣士のほとんどがこれを手に入れるためにしのぎを削っていた程だ。

 クエストの発生条件を満たすだけでも面倒だったが、クリアはさらに面倒だった記憶がある。

 ちなみにセット効果は、2つ以上で補正が加わるんだが、STRとVITは装備数に応じて数字が加算されていき、HPは50ずつ、MPは20ずつ加算されていくのに対して、剣術スキルの補正は3つ装備で1、4つ装備で2、5つ装備で3と、少し変則的になっている。


「よし、これにしよう。『マルス・ブレイブアーマー、アクティブ』」


 早速マルス・ブレイブアーマーを召喚すると、セイクリッド・ブリンガーと同じく一瞬で俺に装着された。

 早着替え魔法もあるって話だから、もしかしたらその魔法を使ってるのかもしれないが、サイズもピッタリだから驚いたな。


 マルス・ブレイブアーマーは、全身真っ赤とまではいかないが、黒を基調とした赤系装備だから、目立つ事この上ないのが問題点か。


「格好いいんだが、このまま町に行ったら絶対絡まれるよなぁ。まあ、どうするかは後で考えるか」


 町が、というか人が見えたら、適当な装備に変更するしかないんだろうな。


「次はアクセサリー……は、後でいいか。なら次は、お楽しみのあれを確認だ!」


 そんな事を考えながら、俺はブルースフィア最大の目玉の項目を開いた。


「おお、こっちも俺のデータがそのままだ!実際にこれに乗れるなんて、この世界に来て良かった!」


 ブルースフィア・クロニクルの世界は、マップの8割以上が海で、大小無数の小島も浮かんでいた。

 大陸は、最も大きな大陸でも総面積の1割もなく、大陸の数も4つと、人間の生活圏は広くない。

 だから移動には、魔導船はもちろん飛空艇なんかが必須で、個人所有はもちろん、カスタマイズなんかも売りだった。

 しかも内装どころか外観までプレイヤーの好きにデザイン出来たから、たびたび自慢の船の品評会なんかも行われたな。

 俺も品評してもらったが、オーソドックスなデザインだから、可もなく不可もなくだったが。


 その自慢の魔導船が、画面に映っている。


 アクエリアス

  中型魔導船:☆☆☆☆☆

  最高速度:40ノット

  全長:49,5メートル

  全幅:7,6メートル

  喫水:2,6メートル

  排水量:17,6トン

  最大搭乗数:10名

  アビリティ:不懐、不沈、不倒、侵入不可、自動操縦


 ブルースフィア・クロニクルで手に入れた金属や木材、魔物素材に魔導具もふんだんに搭載している、純白に輝く自慢の魔導船だ。

 画面で見るだけでもテンションが爆上がりだが、実際にこれに乗れるなんて、マジでヘリオスフィアに来て良かった!


「『アクエリアス・アクティブ』。おおおおおっ!!」


 興奮冷めやらぬ中、俺は自慢の魔導船、アクエリアスを召喚する。

 すると目の前に魔法陣が現れ、その中から純白に輝く大きな船が姿を現した。

 大きさはステータス画面でも確認できるが、アクエリアスはデッキを含めて4つの階層で構成されている。

 そうだな、大型クルーザーをイメージしてもらえれば、だいたいあってると思う。

 俺はテンション爆上がりのまま、喜び勇んで入口を兼ねている後方デッキから飛び乗り、ルーフデッキに駆け上がった。


 画面でも素晴らしいと自画自賛していたが、実物を見ると本気で素晴らしいと大絶賛出来る。


 ルーフデッキとは展望デッキの事で、ベンチにグリル、6人がゆったり入れるジャグジーがあるが、これは参考にした本物のクルーザーにもあったから付けただけだ。

 品評が大きな目的で、実用性は全く無視していた。

 シャワーも含めていくつかバスルームは用意してあるが、ジャグジー含めて一度も使った記憶が無いぐらいだ。

 だけど実際に使う事になった以上、風呂の存在は大変ありがたい。

 シャワーもあるが、風呂の方が疲れも取れるからな。

 ルーフデッキは屋上と言っても過言じゃないから、20人ぐらいならパーティーも開けそうな気がする。


 その下のキャビンはマスターズルームで、コックピットもここにある。

 マスターズルームに入れるのはマスターだけだったんだが、品評会が行われるようになるとここも評価対象になり、メーカーもパッチまであてて、許可制に変更された。

 そのせいで調度品なんかも種類が増えたから、俺も頑張って改装したな。

 マスターズデッキはベッドルームとリビングもあるが、トイレやシャワーも完備しているし、小さなキッチンも備え付けられているから、お茶を飲むぐらいならすぐに出来るのも良い。

 ちなみにルーフデッキとマスターズデッキには、許可を出さない限りマスターしか入れないよう設定されている。

 だからルーフデッキに上がるための階段は、マスターズデッキにしか存在しない。


 その下のメインデッキは、後方に魔導車や魔導三輪専用の搬入出口があるため、少し狭くなっている。

 その代わりキャビンは広く、食堂も兼ねられている。

 奥には豪華なデラックスルームあり、進行方向には窓も設けられているため、見晴らしも良い。

 またメインデッキには、マスターズルームに上がるための階段も備え付けらえている。


 キャビン前よりにある階段は、トイレにバスルーム、3部屋のゲストルームがあるアンダーデッキに繋がっている。

 本当はもう2部屋あったんだが、アンダーデッキの半分はパーキングエリアに改装したから、このサイズの船としては、寝泊まり出来る人数は少ない。


 そのパーキングエリアに停めてあるのは、魔導車と魔導三輪が1台ずつだから、ガランとした印象を受けてしまう。

 これから数を増やすか大型魔導車を買うかを考えてたところだから、こればっかりは仕方がないと勘弁してほしい。


 魔導三輪は、いわゆるトライクと呼ばれるバイクだが、後部座席が2つ並んでいるため、3人まで乗る事が出来る。

 しかも水陸両用だから、ブルースフィア・クロニクルでは一番使った乗物だ。

 スカトという名を付けているが、これはアクエリアス、みずがめ座で3番目に明るい恒星が由来だな。

 ちなみにアクエリアスの名前の由来は、俺がみずがめ座生まれだからっていう理由だけだったりする。


 スカト

  水陸両用小型魔導三輪:☆☆☆

  最高速度:地上・時速100キロ

       水上・50ノット

  全長:2,6メートル

  全幅:1,4メートル

  最大搭乗数:3名

  アビリティ:不懐、不沈、不倒、侵入不可、自動操縦


 その隣にある魔導車は、5人乗りのステーションワゴンだな。

 こちらは陸上でしか使えないが、長距離の移動でよくお世話になった。

 しかも後部座席の後ろ、トランクに当たる部分は、ブルースフィア・クロニクルの魔導技術のおかげで空間が拡張されており、5人全員が寝転べる広さがあったりする。

 ならアクエリアスも小型船で良かったんじゃないかと思われるが、空間拡張は後付けだと何千万っていう単位で金が掛かるし、何より大きな船が欲しかったんだから、これでいいんだと思ってる。

 ちなみに魔導車も、みずがめ座の恒星から取って、サダルメリクと名付けた。


 サダルメリク

  中型魔導車:☆☆

  最高速度:時速80キロ

  全長:4,7メートル

  全幅:1,8メートル

  最大搭乗数:5名

  アビリティ:不懐、不倒、侵入不可、自動操縦


 ちなみにアクエリアスは、大きさに反してブルースフィア・クロニクルではスペック通り10人までしか乗れなかったが、ヘリオスフィアだとそんな制限もないだろうから、詰め込めば倍どころか3倍でもいけると思う。

 ちなみにスカトもサダルメリクも、アクエリアスに合わせて、白色で統一している。


 ここまで簡単に見て回って満足した俺は、もう一度ブルースフィアを起動させる事にした。

 ブルースフィアには他にも乗物があるし、武器や防具にアイテムも同様だ。

 それらを入手できるのかどうか、それを調べなければならない。


「ふむ、こうなってるのか。面倒ではあるが、これが創造神様が言ってた制限なんだろうな」


 20分程調べた結果、アイテムの入手は可能だと結論が出た。

 だがそのためには、この世界の素材なんかをブルースフィアに取り込ませ、ブルースフィア・クロニクルの通貨ゴールドに両替し、その通貨で購入する事になる。

 両替レートなどまだ不明な点はあるが、希少な素材の方が高価なのは、どこの世界でも変わらないだろう。

 幸い俺のデータがそのまま移植されてる事もあって、当面はブルースフィアを使うのに全く支障はなく、それどころかそこそこの性能の武器や防具、乗物、食料を買っても問題無いぐらいだ。


「ふう。ブルースフィアの事は、とりあえずこれぐらいにしておくか。ここがどこかは分からないが、いつまでも出したままだと、誰かに見られるかもしれないからな」


 こんな草原に船があったりしたら、どう考えても怪しまれるからな。

 俺はアクエリアスから降りるとブルースフィアを開き、アクエリアスを送還する事にした。


「『アクエリアス、ディアクティブ』。おお、消えた!あ、ブルースフィアの方で確認出来るのか」


 一瞬焦ったが、ブルースフィアの画面を見ると、ちゃんとアクエリアスが戻ってるのが確認出来るし、スカトやサダルメリクも見つけられた。

 召喚中は画面から消えてたから、これなら状態も確認しやすいな。


「最後に……『ステータリング』。おお、ブルースフィアのレベルが上がってる!」


 使えば上がると思ってたが、こんなすぐに上がるとは思わなかった。

 ただスキルの詳細を見ると、ブルースフィアのレベルアップには、ブルースフィアでの買い物も関係しているようだ。

 データこそ俺の使ってたものがそのまま移植されていたが、ショップや売り物はレベルによって制限が掛かっているようで、レベル2になって開放されたアイテム以外は購入出来ない。

 さらにゴールドへの両替レートも、ヘリオスフィアの物価の倍と、かなり高くなっている。

 ちなみに現金も両替可能だが、こちらは100オール=1ゴールドと、かなりのボッタクリレートだった。


「なるほどな。まあ、俺の役目はヘリオスフィアに新しい刺激を与える事だから、ブルースフィアのアイテムばっかり使うなって事か。当然っちゃ当然だよな」


 とはいえ、俺のデータを使わせてもらえたんだから、これだけでも大助かりだ。

 後は実際にヘリオスフィアで暮らしてみて、どんな感じか試してみよう。

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