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ヘリオスフィア・クロニクル  作者: 氷山 玲士
第2章・奴隷契約から始まる友人関係
18/77

船上の露天風呂

 ルーフデッキのジャグジーにお湯を張っている間に、夕食を食べることにした。

 混浴することになるのは予想外だったが、俺も若い男だから、正直に言えば嬉しくてドキドキしている。

 もちろん戸惑いもあるから、心中はかなり複雑でもあるが。


 そんな気持ちを誤魔化すという意味も込めて、メインデッキのダイニングで夕食タイムだ。

 エレナは料理出来るらしいから、いずれはキッチンを使って作ってもらいたいが、今日はブルースフィアで買って済ませる予定でいる。


「久しぶりに米が食いたいけど、2人は食べた事無いんだっけ?」

「無いわね。というか、それって魔物の餌でしょう?そんな物が美味しいの?」


 アリスの言う通り、ヘリオスフィアの米は飼育されている魔物の餌に使われている。

 直接見た訳じゃないから断言出来ないが、多分それは脱穀や精米がされてないからだと思う。

 何気に米って、手間が掛かる食材なんだよな。

 日本にいた頃は毎日のように食ってたから、今になって初めて農家の方々の偉大さが理解出来る。


「脱穀に精米、ですか?よく分かりませんけど、美味しく食べようと思ったら、すごく手間が掛かるって事ですよね?」

「そうだね。俺も詳しくないから説明は出来ないけど、米は肉にも魚にも合うんだ。慣れるとご飯が無いと、物足りなくなるかもしれないよ」


 洋食でも和食でも中華でも、何にでも合ってたからな。


「用意できたよ」

「わあ、すごく美味しそうだわ」

「本当ね。こんなご馳走、初めて見たわ」


 ブルースフィアで購入したのは、真っ白なご飯にふっくらしたパン、ビーフステーキ、白身魚の香草焼き、数種の鳥や蛇の唐揚げ、貝の甘露煮、南方野菜のサラダ、チキンコンソメスープ、そしてデザートにバニラエッセンスを使った生クリームケーキとプリンだ。

 数は多いが、食べるのは3人だから量は控えめにしてあるし、残ったとしてもストレージに収納すれば腐る事も無いから、日を改めて食べる事も出来る。


 アリスもエレナも、初めて見る料理の数々に、目を輝かせているな。

 ヘリオスフィアの料理は、素材の味を活かし、少々の調味料で味を調えるっていう程度だから、調味料をふんだんに使い、それでいて素材の味を活かす地球の知識を使ったブルースフィアの料理は、きっと衝撃を持って受け入れられるだろう。

 ルストブルクでも伝えたいんだが、俺はあまり料理をしないから、説明が出来ない。

 説明だけなら出来なくもないが、実物を見せる事が出来ないから、実際にどんな感じになるのか想像出来ず、仮に伝わったとしても、俺の思っている料理とは違う物が出来上がる可能性がある。

 だからまずは、自分で試してみようと思っている。


「美味しい!何これ!こんな美味しい物、初めて食べたわ!」

「普通のスープに見えたのに、すごく深い味だわ……。こんなスープがあるなんて……」


 予想通り、アリスもエレナも、衝撃を受けていた。

 手は止めずに次から次へと食べ続けているが、量を減らしすぎたんじゃないかと不安になる食べっぷりだな。


「口に合ったなら、良かったよ。まだまだあるから、落ち着いてゆっくりとね」

「そ、そうね」

「す、すいません、浩哉さん……」


 夢中になって食べてた事で、顔を真っ赤にする2人。

 可愛かったと思うし、美味しそうに食べてくれると、用意した俺としても嬉しく思う。

 俺が調理したわけじゃないけど、俺が好きなゲームを気に入ってくれたって思えるから、そっちの意味で。


 ブルースフィア・クロニクルの料理はバフ効果があるんだが、ヘリオスフィアで食べるにあたって、バフ効果は排除されていた。

 食べるだけでステータスアップなんて、ある意味チートの極みだし、気軽に食べられなくなるから、俺としてもその方がありがたいと思う。

 ゲームの中だと、どれか1つ食べたらゲーム内時間で数時間は腹持ちするから、こんな一度に複数を食べるなんてことは出来なかったし、料理によって効果が違うから、ある意味じゃ当然なんだが。


 楽しくおしゃべりをしながら夕食を終えると、ついに混浴タイムに突入だ。


 ヘリオスフィアには魔法があり、ウォッシングという魔法を使えば体の汚れは落とせるし、汗を流すこともできる。

 さらに公衆浴場もあるから、入浴という文化はしっかりと根付いているんだが、風呂に水を入れたりお湯を沸かしたりというのは大変だし、魔導具も一般じゃ躊躇するぐらい高い。

 だから普段はウォッシングで済ませて、週に何回か公衆浴場に足を運ぶっていうのが、ヘリオスフィアの基本だそうだ。

 公衆浴場は男女別なんだが、観光地だと家族用の風呂があったりするから、混浴っていうのもさほど珍しくない。

 しかも女性比の方が高い世界でもあるから、結婚前に関係を持つ人も少なくないと聞く。


 幸いというかなんというか、アリスもエレナも経験は無いと言ってたが、明け透けに言われてしまうと俺の方が照れてしまうから、もう少し恥じらいを持ってほしい。


「日が暮れてるから、さすがに暗いわね」

「灯りを付けよう。灯りも結界が遮断してくれるから」

「助かりますね」


 本当だよ。

 とはいえ、昼間はともかく、夜は灯りがないと動きにくい。

 暗い中で光ってる物があれば、人や魔物も寄ってくるだろうから、結界が遮断してくれるのは本当に助かる。


 そう思いながら、ルーフデッキの灯りをともす。

 デッキの縁に設置してある灯りが一斉にともるだけで、七色の光が乱舞するとかはない。

 俺はその意味が分からなかったから、取り付けるつもりもなかったし、今後もその予定だ。


「湯加減は……俺は丁度いいと思うけど、2人はどう思う?」

「あたしも丁度いいわね」

「ちょっと熱い気もしますけど、大丈夫です」


 アリスは丁度だけど、エレナには少し熱いか。

 いつでも水で薄められるようにしておこう。


「それじゃあ入ろうか」

「ええ。『イークイッピング・オフ・オール』」

「うわっ!」


 いきなりイークイッピングという衣服着脱魔法を使い、全裸になったアリス。

 これから風呂に入るんだから脱ぐのは分かるけど、もうちょっと恥じらいを持ってほしいと切に思う。

 なのに俺の視線は、アリスの豊かな双丘に釘付けだ。

 デカいとは思ってたけど、実物を見るとさらにそう思う。

 あれ、90近くあるんじゃないか?

 リスの毛が二の腕や太ももにも見えるが、それが何とも言えない色気を醸し出している気がする。


「そこまで照れなくてもいいじゃない。というか、早く浩哉も脱いでよ。使い方は聞いたけど、実際に使ってみないと分からないんだから」

「ま、まあ、それは確かに……」


 なので俺もイークイッピングを使って服を脱ぐ。

 俺の体は生前と同じなんだが、実は身長が少し伸びていたり、筋肉量が増えていたり、一部が少し大きくなっていたりと、微妙な変化がある。

 しかも少し大きくなっていた一部が、天を仰がんばかりに存在を主張してるから、切実にタオルが欲しいと思わずにはいられない。


「けっこういい体してるわね。あっちも凄そうだし。エレナもそう思わない?」

「それは思うけど……やっぱり恥ずかしいわね」


 いつの間にか、エレナも全裸になっていた。

 スレンダーなエレナは、脱ぐとさらにホッソリとしていた。

 胸は80あるかないかだと思うが、腰がすごく括れてるから、相対的に大きく見えてしまう。

 あと聞いていた通り、体には鱗があるが、ちっとも違和感を感じない。


「そ、それじゃあ入ろう。あ、その前にウォッシングで軽く体を流しておいてね」

「ええ、もちろんよ」


 風呂に入る前には掛け湯っていう文化も、日本人が伝えた訳じゃないのに根付いてるから不思議だ。

 不特定多数の人が入る風呂だから、なるべく清潔に保とうとした結果なのかもしれない。


 掛け湯の代わりにウォッシングを使い、浴槽に身を沈める。

 大人3人が余裕を持って入れるが、実際に使うのは初めてだから、改めて大きさを実感した。


「大きいお風呂って、気持ち良いわね」

「本当に。しかも外だから、開放感もあるわ」


 2人の言う通り、大きな風呂は気持ち良いし、露天風呂だと尚更そう思える。


「そろそろジャグジーを使ってみようか」

「そうね。確か縁にある、このスイッチを使うんだったわよね?」

「そうだよ。こんな風に……お、泡が出てきた」


 泡が体を包み込んで、ちょっとこそばゆい感じがする。

 もちろん気持ち良いんだが、物足りない気もするから、水流も試してみよう。


「おお、思ってたより勢いがある」

「本当ですね。だけど凄く気持ち良いです」

「泡と一緒に浴びると、さらに凄いわよ」


 俺とエレナは水流に驚いていたが、アリスはいつの間にか泡と水流を同時に体感していた。

 既に使いこなしてる気がするな。


「本当だわ。これは良いわね」


 エレナもスイッチを押して、泡と水流を楽しんでいる。

 俺もそうしてみたが、確かにこれは良いものだ。


「なんか、このまま寝ちゃいそうだわ」

「気持ちは分かるよ」

「さすがにここで寝てしまったら、風邪を引いてしまいますよ?」

「分かってるわよ」


 湯冷めするし、浴槽のお湯も冷めるから、風邪ぐらいは引くよな。

 暖かい季節だから凍死する事は無いと思うが、寝落ちしないように気を付けよう。


「ねえねえ、浩哉。これ、どう思う?」

「これって……ぶっ!い、いや、とても素晴らしいと思うけど……」

「ふふ、ありがとう」


 アリスに声を掛けられて振り向くと、胸を水面に浮かべて、ジャグジーで大きく揺らしていた。

 ピンク色のものも視界に入ってしまったから、マジで驚いたよ。

 いや、素晴らしいものなのは間違いないんだが。


「アリスは胸が大きくて、羨ましいわね……」

「そういうエレナだって、ウェストが括れてるんだから、大きく見えるじゃない。ねえ、浩哉?」

「た、確かに……」

「本当ですか?」


 俺の腕を取って、胸を押し付けてくるのは止めて下さい。

 アリスの言う通り、ウェストが細いから、胸が大きく見えるというより大きく感じられて、頭が暴発しそうです。


「大胆ねぇ」

「アリスに言われたくないわよ?」

「それもそうか。えいっ!」


 さらにアリスも、大きな胸を押し付けてきなすった!

 マジで理性崩壊寸前で、何をどうしたらいいのかさっぱり分からない!


「よく考えてみたらさ、契約が履行されたら身も心も捧げるけど、その前はダメなんていう契約はしてないわよね?」

「言われてみればそうね。普通に生活してても、子供を作るために関係を持つことはよくあるから、私達も最後までしても問題無い気がするわ」

「というか、そんな奴隷も少なくないって話が無かった?」

「あったわね。契約を履行出来れば問題ないし、契約を履行できなかった人も努力していたから、神罰は下らなかったはずよ」


 なんか俺を挟んで、不穏な会話をしていませんか?

 というか、2人とも処女だって言ってたのに、なんでそんな捕食者みたいな目をしてらっしゃるの?


「それはね、あたし達がアクエリアスの魅力にはまっちゃったからよ」

「打算的ですけど、浩哉さんと一緒にいれば、奴隷として諦めていた人生が取り戻せますから」

「というか、こんな生活ができるんなら、解放されない方がいいわね」


 ああ、そういう事ね。

 契約を履行した後、2人が望むなら奴隷から解放するつもりでいたけど、アクエリアス、というかブルースフィア・クロニクルの品々に魅了されてしまい、解放を望まないとまで言い出してきた。

 奴隷から解放されると俺から離れることもあり得るが、奴隷のままなら離れることはあり得ないからな。

 確かに打算的ではあるけど、むしろその方が俺としても気が楽になる。

 友達同士だって、そんな関係性は少なからずあるんじゃないかと思うし。

 だからって、肉食獣みたいな目をされても、俺としても困るんですが?

 というかリスって、草食じゃなかったか?


「というわけで、浩哉が望むなら、最後までやっちゃうわよ?」

「奴隷になった際に避妊魔法を使われていますから、妊娠する事はありませんしね」


 そんな魔法があるのかよ。

 ヘリオスフィアの女性は、ヒューマンであっても妊娠しにくいって話だったから、そんな魔法があるなんて思ってもみなかった。

 だけどハンターが依頼中に妊娠発覚とか、戦闘中に悪阻とかで動きが鈍ったとか、そんな事態を防ぐためでもあるって言われてしまい、納得もできた。

 騎士とか警備隊とかにも女性は少なくないから、一斉に妊娠して仕事に支障が出ても困るから、それを防ぐためっていう意味もあるみたいだな。


 だけど目下の問題は、この事態をどうするかだ。

 俺はそのために2人を買った訳じゃないから、かなり戸惑っている。

 俺も男だから、そんな事を言われて興奮しない訳がないし、いずれそうなれたらいいなとも思ってたんだが、さすがに初日からっていうのは想定外だ。

 だけどのぼせた頭じゃ考えが纏まるわけがないし、既に2人に直に胸を押し付けられているから、理性も半分は確実に崩壊している。

 そして俺の両手は、答えを示すかのように、2人の胸を揉みしだいていたりする。


「あんっ。やっぱり浩哉も男よね」

「ではまずはここで初めて、その後はベッドで楽しみましょう」


 アリスの照れたような顔も可愛かったが、エレナの妖艶な顔も綺麗だった。

 理性崩壊寸前だが、乱暴にしないように、それでいて優しく出来るように頑張ります。

 俺も初めてだから、多少の拙さは勘弁してください。

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