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ヘリオスフィア・クロニクル  作者: 氷山 玲士
第2章・奴隷契約から始まる友人関係
16/77

奴隷達の装備選択

 最初に装備を決めたのは、やはりというか当然というか、アリスフィアさんの方だった。


「確かにね。あたしは双剣をメインに使ったけど、闘器も使えるから、それでお願いしようかしら」


 双剣は分かるが、闘器ってなんだ?


「あ、ごめん。闘器っていうのは、腕や足に装備して使う武器の事よ」

「腕や足って事は、格闘武器か?」

「そう言ってもいいわね」


 なるほど、格闘武器か。

 格闘武器を装備しつつ双剣っていうのはどうかと思わなくもないが、イークイッピングっていう早着替え魔法もあるし、アリスフィアさんも装備スロットに装備することになるから、全く使えないって訳でもないだろう。

 実際にどうなるかは試してみないと分からないから、とりあえずやってみよう。


「分かった。それじゃあ装備させるから、そこに立ってくれるかな?」

「分かったわ」


 双剣がメインで格闘武器、闘器がサブって事だが、とりあえず最強装備で試してみよう。

 防具は、双剣士か格闘士のどちらかが良いと思うが、性能的な面も含めて、アリスフィアさんに選んでもらうか。


 まずは最強装備群から選ぶから、これとこれだな。


 ディバイン・ジェミナス

  双剣:☆☆☆☆☆☆

  基本ステータス2倍

  陸棲特攻、時々雷属性攻撃付与

  アタックスキル:ジェミナス・トルネード(DEX+AGI、5倍補正)


 カイザー・ドラッヘ

  格闘:☆☆☆☆☆☆

  基本ステータス2倍

  竜特攻、時々火属性攻撃付与

  アタックスキル:インシネレイト・ブレス(STR+DEX、5倍補正)


 双剣は片手剣と短剣の中間ぐらいの剣になっていて、一撃の威力より手数を出せるように重点が置かれている。

 特攻も陸棲の魔物全てが対象だから、双剣士の攻撃力の低さを補って余りある性能だ。

 格闘武器は専用ガントレットとグリーヴだが、防具の上から装着するようになってるから、防具より一回り大きい。

 なのに掌は自由に使えるから、これなら双剣を持ちながら殴るなんていう真似も出来そうだ。

 特攻対象が竜なのが難点か。

 アタックスキルはどちらも、2つのステータスの合計値の5倍補正だ。


 武器に合わせて、防具は双剣士用のマーキュリー・ブレイブアーマーにした。

 STR補正は低いが、その分DEXとAGIの補正値が大きいし、女性が着ると何故かチャイナドレスみたいな感じになるから、アリスフィアさんも気に入ってくれたみたいだ。

 ちなみにこれが、マーキュリー・ブレイブアーマーの性能になる。


 マーキュリー・ブレイブアーマー

  ヘッド:☆☆☆☆☆☆ マーキュリー・ブレイブサークレット

  アッパー:☆☆☆☆☆☆ マーキュリー・ブレイブローブ

  アーム:☆☆☆☆☆☆ マーキュリー・ブレイブガントレット

  ロウアー:☆☆☆☆☆☆ マーキュリー・ブレイブホーズ

  フット:☆☆☆☆☆☆ マーキュリー・ブレイブブーツ

  STR+10、DEX+25、VIT+10、AGI+20、MND+5、INT+5

  火風水氷闇耐性

  麻痺、即死、石化、鈍足、魅了耐性

  徐々にHP、MP回復

  セットボーナス:DEX+10、AGI+10、HP補正、MP補正、双剣スキル補正


 あとは☆4装備も見繕って、そっちをメインで使ってもらうようにしないとだな。

 それを伝えたら残念そうな顔をされてしまったが、超性能過ぎるから普段使いは勘弁してください。

 たまには使えるようにするから、それで手を打ってほしい。


 アリスフィアさんの最強装備群も決まり、次は☆4装備を選んでもらう。

 ただ目立たない事を第一目標にして考えると、選べる装備は少ないんだよな。

 それでもアリスフィアさんは、双剣シンフォニック・バゼラートと闘器フレイム・ファング、ガンナーズ・タバードコート一式に決めている。

 フレイム・ファングのみ☆3装備だが、ガンナーズ・タバードコート一式もアーチャー系の専用装備だから、ステータス補正はAGIが最も多く、次いでSTRで、DEX補正は控えめだ。

 スカウターとしては問題だが、別に斥候を頼む訳じゃないし、控えめと言っても10近い補正が入ってるから、アリスフィアなら問題なく使いこなすだろう。


「うーん、難しいですね……」


 一方エレオノーラさんは、防具こそ決まったが、武器は未だに悩んでいる。

 エレオノーラさんが選んだ防具は、キャスター系のプルート・ブレイブアーマーだった。

 激しい動きを前提としているからがっつりとしたローブじゃなく、帽子もいかにも魔法使いっていうような三角帽子じゃない。

 キャスターもソーサラーも後衛だが、接近戦を行う事もあるから、金属や魔物素材を加工した装甲も取り付けられている。


 プルート・ブレイブアーマー

  ヘッド:☆☆☆☆☆☆ プルート・ブレイブハット

  アッパー:☆☆☆☆☆☆ プルート・ブレイブローブ

  アーム:☆☆☆☆☆☆ プルート・ブレイブグローブ

  ロウアー:☆☆☆☆☆☆ プルート・ブレイブブリーチ

  フット:☆☆☆☆☆☆ プルート・ブレイブブーツ

  STR+5、DEX+10、VIT+5、AGI+10、MND+25、INT+20

  闇光土水火耐性

  石化、毒物、魅了、麻痺、即死耐性

  徐々にHP、MP回復

  セットボーナス:MND+10、INT+10、HP補正、MP補正、杖術スキル補正


 キャスター、ソーサラー装備だけあって、魔法の威力が上昇するMNDとINT補正が高い。

 反面、STRは+5と、☆4装備並かそれ以下の補正しかないから、近接攻撃向けの装備とは言い難い。


「初心者にも使いやすいのは槍だけど、装備の特性から考えたら杖もありなのかしら?」

「私、魔法はあまり得意じゃないですよ?」


 ヘリオスフィアでは、魔法を使えない人はいない。

 生活に使う生活魔法ライフマジックは誰でも使えるし、8つある属性魔法グループマジックも、適正さえあれば問題ない。

 適正は生まれ持ったもので、最低でも1つは持っているんだが、種族特性なんかもあるから、特に妖族や竜族は魔法に偏りがあるようだ。

 エレオノーラさんの種族ウンディーネは、水属性に最も適性が高く、火属性は使えない。

 それに加えて、エレオノーラさんは生活魔法ライフマジック以外の魔法は使った事がないって言ってたな。

 確か魔法は難易度によって階梯があって、習得するには魔法スキルを上げなきゃいけないんだったな。

 魔法スキルのレベルがそのまま階梯だから、レベル3の俺は第3階梯の魔法まで使える。


「戦う事になるわけだから、魔法スキルはそのうち上がると思うけど、慣れるまでこのローブは封印しといた方がいいんじゃないかしら?」

「かもしれないなぁ」

「残念です……」


 本当に気に入ったみたいだな。

 だけど派手な装備でもあるから、普段使いするのは厳しいし、性能的にも後衛用だから、エレオノーラさんが慣れてから使うようにした方が安全だろう。


「そういえばそうでした」

「レベルが上がれば、国も無茶を言ってくる事は無くなるから、本格的に装備するのはそれからになるかな」

「というわけでエレオノーラ、もう1つ選ばないとよ?」

「分かりました」


 少し残念そうなエレオノーラさんだが、気を取り直して装備を選びなおした。

 選んだのは☆4つのバトルウィザード・ローブ一式だったが、名前に反して装備出来るのはウィッパーやスレイヤーといった特殊武器を使うジョブだったりする。

 鞭や多節剣をメインに中距離で戦うジョブだが、魔法も使える。

 魔法剣士的なジョブだがテクニカルなジョブでもあるため、好んで使うプレイヤーは多くなかった。

 魔力と敏捷性が命のジョブだから、装備もそれらがメインで補正される。

 その反面、純粋な攻撃力はさほどでもないため、双剣士みたいに手数で補わないといけない。

 ☆4ってこともあって、STR補正がないのも痛いな。


「それって武器で補えないの?」

「武器によるかな」


 杖系は魔法を使うのが前提だから、ステータス補正はMNDかINTだし、コーラーやサモナーみたいな召喚士はMND特化だ。

 ブルースフィア・クロニクルには回復専門のジョブはないから、そっち系を伸ばしてもらう事も出来ない。

 となると魔法を使えるようになってもらうか、中距離からでも攻撃しやすい槍が無難か。

 槍はSTR補正が入るから、選択肢としては十分アリだ。


「槍ですか。一度魔物を倒す際に使った事がありますから、槍術スキルは持っています。あとは弓術スキルと杖術スキルですけど、槍の方が良いのなら、それにさせていただきますね」


 武器を手に持つだけでスキルが取得出来るから、魔物を倒したことがあるんならスキルレベルは2になってるかもしれない。

 弓術と杖術は、本当に持ったことがあるっていうだけらしいから、それなら槍の方がいいと思う。

 装備のステータスを活かすためにも、杖をサブウェポンにしておくのもアリか。


「それもアリね。長物2つになるから、それが気になるところだけど」

「短いから、邪魔にはならないと思うよ」

「では、それでお願いします」


 ミストラル・グレイブ

  長槍:☆☆☆☆☆☆

  基本ステータス2倍

  水棲特攻、時々水属性攻撃付与

  アタックスキル:ミストミラージュ・ダイバー(STR+AGI、5倍補正)


 ケイン・オブ・カオス

  短杖:☆☆☆☆☆☆

  基本ステータス2倍

  人型特攻、時々闇属性攻撃付与

  アタックスキル:カオス・ヴォルテックス(INT10倍補正)


 偶然だが、ミストラル・グレイブは水棲の魔物への特攻効果があるし、水属性攻撃の付与もあるから、ウンディーネのエレオノーラさんには使いやすいだろう。

 ケイン・オブ・カオスの人型特攻は、2足歩行の魔物のみならず人間まで対象という鬼仕様だ。

 普段使いする武器として、☆4のミスライト・スピアとフェザー・ワンドを選んでいる。

 ミスライト・スピアもSTR補正が掛かるから、攻撃力が不足する事はないと思う。


「あとはアクセサリーだけど、この2つは確定している」


 残るのはアクセサリーだが、うち2つはサクリファイス・リングとガード・ネックレスに決まっている。

 あと1つスロットが空いてるから、そこは好みで選んでもらおう。


「結界だけじゃなく、死ぬほどの怪我も肩代わりしてくれるなんて……」

「国が知ったら、どんな手を使っても手に入れようと躍起になるわね」

「ブルースフィアのレベルが上がってショップが開放されたら、量産は無理でも少しは作れるようになるから、場合によってはいくつか渡しておくのもアリかなって思ってるよ」


 レベル4になったブルースフィアだが、まだサクリファイス・リングは作れなかった。

 下位互換のリライフ・リングなら可能だったが、こっちは発動確率50パーセントで、しかも発動しなくても壊れるから、使い勝手がいまいちだ。

 ゲームならそれでも良かったかもしれないが、現実だと使おうって気にもならないな。


「そんなもんかもね。あ、あたしはこれが良いわ」


 スカーレット・リボン

  アクセサリー(髪飾り):☆☆☆☆☆

  女性専用、毒物無効化


 アリスフィアさんが選んだのは、毒を無効化する女性専用アクセサリーだった。

 マーキュリー・ブレイブアーマーに毒物耐性は無いから、アクセサリーで補おうっていう考えか。

 イベントで手に入るアクセサリーなんだが、男キャラを育ててた俺には使えないし、売ることも素材にすることもできなかったから、ずっと死蔵していた逸品だ。

 それに毒を無効化するだけなら、他にもいくつかあるから、俺もアリスフィアさんの目に留まるまで存在そのものを忘れてたな。


 そのスカーレット・リボンをアリスフィアさんのスロットに装備させると、アリスフィアさんの髪がポニーテールでまとめられた。

 可愛い系美少女のアリスフィアさんの茶色い髪に、紅のリボンが綺麗に映えているからドキッとしてしまったのは内緒だ。


「マスター、顔が赤いけど大丈夫?」


 ニヤニヤしながらそんな事を言われたから、絶対にバレてるな。


「だ、大丈夫だよ。よく似合ってるよ、アリスフィアさん」

「ありがとう、マスター」


 アリスフィアさんもまんざらじゃないみたいだ。

 はにかんだ笑顔が眩しい。


「マスター、私はこれをお願いできますか?」

「分かりました」


 これか。

 確かにアリだな。


 ミラージュ・イヤリング

  アクセサリー(耳飾り):☆☆☆☆☆

  AGI+2、幻影


 幻影で相手の目を誤魔化したり、分身を作り出して攻撃を避けたりするアクセサリーだ。

 特に後者は重要で、俺も何度か命拾いしたことがある。

 下位性能のアクセサリーもあって、☆1つでも実用的で人気が高かった。

 幻影を作り出せる回数はランクに依存しているから、☆5つのミラージュ・イヤリングなら、1日に5回まで使えるっていうのも良いな。


 アリスフィア

  18歳

  アルディリー

  Lv:34

  HP:1,514(+250)

  MP:536(+100)

  STR:86(+48)

  DEX:101(+63)

  VIT:76(+43)

  AGI:103(+64)

  MND:69(+37)

  INT:67(+36)

  LUK:28

  スキル:武器戦闘(双・闘):5

      魔法(火):4


 エレオノーラ

  20歳

  ウンディーネ

  Lv:21

  HP:877(+250)

  MP:480(+100)

  STR:48(+29)

  DEX:52(+31)

  VIT:37(+23)

  AGI:46(+28)

  MND:73(+54)

  INT:72(+51)

  LUK:24

  スキル:槍:2

      剣:1

      斧:1

      魔法(水):1


 最強装備群を装備した2人のステータスがこれだ。

 補正値がとんでもないことになっているが、☆6つの武器は基本ステータス2倍という補正だから、レベルが上がればさらにとんでもないことになるだろう。

 特にエレオノーラさんは、レベルもステータスもヘリオスフィアの成人の平均以下だったのに、装備で底上げされてしまった結果、素のアリスフィアさんよりステータスが上になっていた。

 アリスフィアさんはBランクハンターでも中堅どころだったらしいから、数値上だけになるがBランクハンター以上の補正が加わったことになる。

 補正値の関係で、エレオノーラさんは☆4装備でも大差ないステータスだったが、アリスフィアさんは☆6装備の補正値がそのまんまステータスになった感じで面白かった。

 それでも俺と大差ない数値だったから、レベル40台中盤からレベル50手前相当のステータス値だと思ってもいい気がする。

 前から思ってたことだけど、マジでブルースフィア・クロニクルの装備群はヤバいな。

 絶対バレないようにしないといけないぞ。


 ともかく、これで2人の装備も決まったから、もう少し話をしてからアクエリアスを案内して、その後は狩りをしてみよう。

 今日はアクエリアスに泊まるし、せっかくだから夕食も少し豪華にしてもいいかもしれない。

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