王子様とのイベント発生。ぷちキレたからフラグ折っておきましたわ
んでもって卒業まであと8か月というところに来た。
アリアは成績が恐ろしく高い。主人公補生だろうか。天才ライトニングすら凌ぐほどの万能っぷりをみせている。学園で最も優秀な人材かつ絶世の美少女と言えば間違うことなくアリアだろう。
しかし、悲しいことに人望が皆無である。美形3人と4股している尻軽女と噂され、優秀な成績と綺麗な顔が嫉妬を招いて、あらぬ陰口の要因になっている。いやぁ、ゲームでは「周囲から嫌われた」というざっくりな表現だったけど、現実でこういう仕打ちを受けるとけっこうくるものがありますわね。
例の好感度アップ3人組はこの成績が優秀なこともあってか、ことあるごとに寄ってくる。3人とも過度に付きまとう。もう、これは男のプライドなのか意地なのか本気で恋なのかよくわからないほど、ムキになっている。
結果彼らのファンから憎まれまくり、誰かひとり相手にすると他の2人がキレまくる。我が強いので一緒に仲良くという選択肢はない。つまり何をしても修羅場る、実に面倒なことに。
正直、もう関わりたくないのだが、真っ青な顔で虚ろな目で呟く彼女をここで見捨てると自殺しそうなんですよ。
最近では四六時中私の傍に来て、「フランちゃんの傍が一番落ち着くぅ」って甘えまくっているし。ちょっとくっつきすぎじゃない?少し離れて。と婉曲的にいうと顔を青ざめて「え・・・フランちゃんも私を嫌うの・・・やだぁ、もうフランちゃんまで捨てられたら、もう私死んじゃう」とかのたまうメンヘラさんなものだから、きつく注意もできやしない。
「ついてないわー」
何なんだ、今日は。朝から使用人がコーヒーをこぼす。それが買ったばかりのお気に入りの服にぐっちょり。昼食のレアメニューは寸前で売り切れ、つまずいて転んだり、大事な授業があるにもかかわらずノートを忘れたりした。
一つ一つはよくあることだが、ここまで続くと、運が悪いとしか言いようがない。今日は大人しくしてよ。
と思ったものの、哀しいかなトラブルはじっとしてても外からやってくるのである。
その日の放課後、さっさと帰ろうとすると。
「おい、そこの」
はい、クイズ。この傲慢な空気を出している俺様ボイスだーれだ?答えはシグルド王子~。振り向いて・・・はい、大当たり!畜生!厄介ごとの香りしかない。
「何でしょう」
嫌々だけど、一切顔に出さず笑顔で返事。アリアと付き合ってから得た特技ですの。
「貴様に命令だ。確か、貴様俺様の許嫁候補の一人だったな」
うぉ、学校生活3年目、何度か会っても気づかなかったくせに今更思い出しやがった。
「そうみたいですね。でも、私ではシグルド王子に役不足ですし、何より魅力的な方が他に大勢いますから・・・」
と暗に「あんたの婚約者なんてやーだよ」とやや遜って言ったつもりだが
「貴様のような一山いくらの女など俺様にふさわしくないなど当然だ。俺様の傍にいられるのは、ふさわしい優秀なものだけ。つまりアリアだ。調子に乗るな。アリアのおまけ風情が」
ストレートに返してきたよ。少し言葉を飾れよ。やっぱりむかつくなー。この俺様王子。で、結局その話か。
「アリアはお前の言うことならば信用しているようだ。命令だ。俺様の者になるよう。協力しろ。褒美に俺様の私物のペンをくれてやろう。婚約者候補ならば俺様の命令に従え。いいな・・・」
「嫌です、というかふざけんな馬鹿」
「・・・は?」
断れると思ってなかったのか。心底驚いた顔をしている。ちょっと愉快。つーか、なんだよ、私物のペンって。安く見られすぎにも程があるわ。ちょっと、カチンときましたよ。
「自分の言うことならば何でも従うとでも思いました?言っておきますが、私を他の連中と一緒にしないでください。権力こわさに媚び売って友人を売るとでも?美形ならばへらへら笑って頷くとでも?人を、私をあんまり舐めないでくださる?」
本当に怖いのは王族の権限で私でなく実家に迷惑をかけることだが、ここの王は立派なので、息子のわがままごときで家臣につまらないマネをしないことはゲームで予め知っている。今まで大人しくしてたのはそれでも面倒なことになるのを恐れてだったが・・・今日は機嫌が悪い。ついプチ切れてしまった。
「・・・」
私の剣幕?に口をパクパクさせるシグルド王子。ちょっと愉快。
「あまり格を落とす言動はお避けになったほうがよろしいですよ。それではごきげんよう」
言ってやったぜ。へへーん。まだ呆然としている王子様。なので、何か言い返す前に、とっと帰った。
いつも、アリアとなだめる時は下手に出てたしな。ここまで言ったことはなかった。思っている以上にショックを受けた顔しているが、まぁ、大丈夫だよね。
結果、大丈夫ではなかった。