プロローグ
第1章『冒険の始まり』以前にUPした時には未完成だったので載せていなかったプロローグをUPします。
「…ごめんなさい…ごめんなさい…」
…ああ…誰かが泣きながら謝っている…
…これは女性の声?…聞き覚えがあるような気がするけれど…何故謝っているの?…
…誰に謝っているの?…そしてどうして謝っているの?…
「…もう泣かないで…これは誰の所為でもないのだから…」
目が覚めた時気が付いたら、何故か『私』はそう呟いていた…
《第1部―運命の邂逅―第1章―冒険の始まり―》
―プロローグ―
…私は…気が付いたら…私個人に関する総ての記憶を無くしていた…
…唯一覚えていたのは…『ユーリ=シュトレイヤー』と言う名前だけ…
…そして唯一の持ち物は『銀糸の刺繍』と思われるモノで『ユーリ=L=シュトレイヤー』と記された『謎の書物』…
…何故謎なのかと云えば…『私』以外にはその『書物』を読めなかったからだ。
…記憶は名前しか覚えておらず…
…思い出そうと考えると、頭が痛くなった…
…私を助けてくれたという人は、無理をしない方が良いと言った…
…数日その人の元で世話になったが…記憶が戻る様子は一向に無かった…
…『私』はその人の勧めもあり…キャラバンが村を訪れた際に、『彼等』に同行させて貰いその近辺で最も大きな街の『魔法使いギルド』へと送り届けて貰う事となった…
…なんでも『謎の書物』の『手掛かり』を得る事が出来る『可能性』が最も高いのが『魔法使いギルド』だと云う事だったからだ…
…結局『謎の書物』については『ギルド』でも解らなかったが…代わりに『私』が『魔法使い』では無いかと云う事が解り…そして数年間『私』はその最初に訪れた『魔法使いギルド』の『支部』に『所属』し…そして周りが云うには驚異の短期間で『フリー』で動く特権を所持する『高位の魔導師』の地位を取得し…
…己の『過去』を識る為に…旅立つ事を選んだのであった。
冒頭部は第1部プロローグと多少リンクしておりますが、全てがそうではありません。
そして漸くメイン主人公であるユーリの物語が動き始めます。メイン主人公と言う事で薄々気が付いておられる方もおられる事と思いますが、この第1部だけでも複数の主人公が登場します。