エピソード1―夢幻の始まり―
序章エピソードその1です。
…大いなる…螺旋を画き…夢幻を紡ぐ…
―夢幻の始まり―
…遙かなる…
…現の彼方…
…時空の果て…
…次元の果て…
…其の間…
…夢幻の彼方…
…世界と世界の間…
…時すら凍る其の空間に…
…其れは封じられ眠っていた…
…其処には何も無かった…
…否…古き滅び去った存在達…
…その過去の想い…
…其の残滓と…
…それらを受けて其処に現れ…
…其の総てを背負わされた…
…其の存在…
…其れが眠る…総てが封じられた其の神殿以外は…
…一切の光も闇も存在しなかった…
…其の存在は…眠りながらも…夢を見…総てを知っていた…
…あらゆる世界の…過去・現在・未来…其の総てを夢に見た…
…初めの頃…其れが…己が見ている其の何かを…夢だと解るまで暫しの時間があった…
…夢だという事に気付くと…直ぐに其れが遙かな過去…現でもあったのだと知った…
…暫くは其れを見ていた…
…時間は幾らでもあった…
…ある時…不意に現では己はどうしているのだろうと思った…
…何故だか己の事は何も分からなかった…
…けれど夢を見ていると言う事は眠っているのだろうと、これまで見た夢から得た知識を基に何となく判断し…
…それなら起きてみよう…
…そう思った…
…しかし…目覚める事は出来なかった…
…出来ぬとなると益々知りたいと思った…
…だから今度は…夢の中で見た…己の意識を切り離す術を試してみた…
…それは容易く出来た…願うだけで…
…そうして知った…其処には己しかいないのだと…
…総ての存在は滅び去り彼等は己に望みを託して消えて逝ったのだと…
…その場に残った想いの欠片によって識った…
…そして其れは目覚め総てを食らった…
…気が付くと今度は本当に何も無くなっていた…
…其れはもう一度眠る事に決めた…
…もう二度と目覚める事が無いように…
…もう二度と暴走する事が無いように…
…大きすぎる力を分断し…
…己を封じていた神殿を…夢を基に再構築し…
…己が意思を器から切り離し『石』へと変じ…
…そして其れを小さな欠片へと砕き…様々な所へとバラバラにし…
…ただ一つその場に残ったそれらを行っていた其の意志も、それを石へと変じ神殿へと封じた…
…バラバラになったその欠片達は…それぞれが小さなしかし強い力を秘めた石となり…己の事も知らず…ただそれぞれが微かに呼応しつつも…ただ在った…
…そしてそれが時を経て…様々に姿を変え…
…そうして…総てがはじまった…