出汁おじやもどきと残り物すき焼き丼
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朝6時半。
隣で眠る彼女を起こさないようにしてベットから起きる。
1年くらい前からいくら眠ろうとしても、何故か眠れなくなってきた。やはり歳のせいだろうか、よく田舎でジジババが朝も早よから元気に外で世間話をするのをよく見かけたしな。
「んにゅ~~~~」
おおっと。また独り言をしてしまったと彼女を見ながら反省していた。
「さてと、それでは用意をしますか。」
夕べ仕込んでおいた出し汁を鍋に投入残った出し殻はシイタケの石突きだけは捨てて、ミキサーで細かくしてから鍋に投入。
出汁はミニカツオパック2つ、干しシイタケ2つ、昆布50mm×100mmを適当に切って魔法瓶に投入して900~1000㏄の熱湯を入れて1晩放置。以前は使わなくなった湯沸かしポットを80度に設定して使っていたが天寿を全うしたのでステンレス魔法瓶を購入した。
鍋の出汁を中火で加熱して灰汁を取ったら彼女が起きるまで火を止め放置して昨夜の残りゴハン2膳分300~400gをほぐす程度に水洗いしておく。これでOK。
朝食準備はこれで15~20分で済む。
朝食準備も終わり俺は昨夜のハッスルした汗と匂いをシャワーで洗い流し、風呂から出て途中で彼女がまだ夢の中にいることを確認した後、居間へと戻る。
丁度コーヒーメーカーが「できたよ!」の音が鳴り、カフェオレ(ブラックが苦手)を作って飲みながらテレビのニュースを見つつデータ放送の渋滞や天気情報などを見て煙草に火をつけ一服。
タブレットで客先メールなどをチェックしていると8時になっていた。
「ん~!おはよ~」
「はい、おはようさん。シャワー浴びといで。」
「はいはい~」と彼女をふろ場に行かせ料理の仕上げに入る。
冷蔵庫からごぼうと大根の味噌漬け、しそ昆布、キャベツの浅漬け、梅干しを出してテーブルに並べる。そして深めに作られたお椀も並べておく。
彼女が風呂から上がってドライヤーをかけているタイミングで仕上げに入る。
だし汁を強火で温めて沸騰しかけたら水でほぐしておいたご飯を投入し中火にする。あとは5分位ふつふつと煮込み冷凍していた三つ葉を刻み入れて「出汁おじやもどき」の完成。
見た目はだし汁ジャバジャバにご飯が泳いでいる感じ。
俺は味付けはしない。味は味噌漬けの味噌、しそ昆布の醤油、浅漬けか梅干の塩で十分と思う。わざわざ味をつけるとその味でしか食べる事が出来なくなるからだ。
彼女が座ってお椀におじやをよそうってあげて「いただきます」で朝食を食べる。
俺たちは漬物をポリポリしながらズズッとすすりながら食べていく。
俺は朝ごはんはほとんど食わない。なのでお椀3分目にちょびっとのごはんとだし汁で食べる。
「はふ~なんだかほっこりするね~。」
そう言って彼女はお代わりをして食べていく。
朝食も終わり彼女はブラック、俺はカフェオレを飲みながら仕事の話をしていく。
今日は客先の玄関前でやっさんと合流、客と仕事の打ち合わせをした後、自宅に戻り出張準備をする。
宿泊先や現場の確認、車に工事材料や工具の積み込みを終わらせてと今日のスケジュールを話していく。
時間となり2人でスーツに着替えていざ出発。
「社長、おはようございます。」
「おはよう。社長はやめてくれって、何か背中がかゆくなる。」
やっさんと合流し、いつもの冗談を言いながら客先と打ち合わせへと赴く。
数時間後、問題もなく打ち合わせも終わり自宅へと向かおうと駅へ歩いている時
「あのよう社長、頼みがあるんだが。」
とやっさんが俺に頼みごとをしてきた。
やっさんと知り合ったバイト先に同じくネトカフェ難民がいて、俺と知り合う前から仲が良かった。
そしてアパートに住めるようになった現在は、居候しているらしい。
「で、そいつをうちで働かせたいと言う事か?」
「ああ、何とか頼めないかな?」
夕べの今日で彼女以外に俺に会社で働きたいやつがいると言われて「はいそうですか」とも言えない。
まだ業務拡張には時期尚早と思っているので、これは断った方がいいと思う。
・・・と思ったが、ちょっと待てよ。
一回の受注で数か所の現場を回るのがウチの仕事だな。
やっさんは正直1人でも業務をこなす事が可能となっている。
最初の内は手元手伝いをさせながら業務を覚えていく。そしてやっさんとコンビを組んで動けるようになったら受注を2手に分けて工期短縮をしていく。
そうだ!受注ごとに分けるのではなく一つの受注を2手に分ければ俺の目が届くところにいるし、与えられた工期よりも早く終わり客先にも受けが良くなるかも。
物は試しだ!幸い資金のプールは多少の失策があっても耐えきれるな。
そう自分の頭の中でそろばんを弾いてやっさんの提案に乗ってみる事にした。
「やっさん。その居候とやらはどんな奴だ?」
「ああ、実はあそこで待ってるんだ。」
そう言ってやっさんは駅前の某コーヒーチェーン店に走っていき居候とやらを連れてきた。
俺はその人物を見て少しばかり驚いていた。
なんと、居候は「ヤツ」ではなく「彼女」で見た目は20代前半で身長は150㎝くらいだろうか?
名前は吉野千早といって何と結婚も約束しているそうだ。
俺は彼女・・・いや彼女と言えばダブるのでマイ彼女を「佳織」と呼ぶことにしよう。
佳織とお互いを見ながら笑い。やっさんをニヤニヤと見つめながら、千早さんの面接も兼ねて全員で自宅へ向かうのだった。
「千早さんとりあえずは試用期間と言う事で法令で定められている給料しか出せない事。次に試用期間が終わっても見習い期間が1年位はある事。そして最後に先に述べたことを踏まえて本当にやる気がある事。そのうえで覚悟はあるかな?」
俺達は自宅に戻り千早さんに業務を一通り説明して覚悟を聞いてみた。
「はい、大丈夫です。倉庫のピッキングやライン工場での勤務では手に職も持てずにしかも、安い賃金での労働に嫌気がさしていました。幸司くんが段々と職人になっていく姿を目にするうちに私もやってみたいと思ったんです。」
そう言ってまっすぐに俺の目を見て問いに答えたのだった。
俺は今回の出張から連れて行くことにして会社の車に工具等の積み込みから手伝わせるのだった。
積み込みも終わると13時を回っており皆で遅めの昼食を取ることにした。
「夕べの残り物で悪いが我慢してくれ。さて、4人分だから・・・・・」
安売りの外国産牛肉500gを取出しそのうち約50gは細切りにして他は一口大に切っておいて、昨夜の残りの野菜は1センチの太さに刻む。白滝はそのままで豆腐は夕べの大きさよりさらに4つに切っておいた。
夕べのすき焼きの残り汁は結構濃かったので少しだけ濃い程度に水で薄めて細切り肉と野菜を投入してから強火にした。
そのうちに冷凍保存しておいたご飯約250gを4つレンジでチンして解凍してどんぶりに盛っておいた。
野菜に火がきっちり通りきったら穴の開いたお玉でそれぞれの丼にに盛っていく。
水で薄めていたためうま味が少なくなっているはずなので野菜と細切り肉で補充したわけだ。
まぁ○の素とかで補充してもいいんだが、俺はあまり使いたくないのでそうやっているだけだが。
汁だけになった鍋に肉を投入してしばし待ち、昨夜のすき焼きの要領で9割くらいの火が通ったらまたそれを丼に盛っていく。
あとは残った汁を丼にかけて完成。
「おまたせ~。紅ショウガ使う?卵必要かな?」
「両方お願い~」
尋ねる俺に佳織は両方と言ってきた。やっさんと千早ちゃんも同じく両方頼んできた。
俺は紅ショウガだけでいいので卵は3人に渡した。
「それじゃあいただきます」
「「「いただきま~す」」」
そうして食べていると千早ちゃんが「タレが何か違う」と言ってきたので我が家のすき焼きは割り下ではないことを伝える。
彼女も今度は関西風でやってみると言っていた。
そうしてご飯も食べて、それぞれコーヒーやお茶を飲み居間で寛ぎながら、また仕事についての説明や少し踏み込んだ内容も話して心構えだけはしっかり持ってもらうよう言っておいた。
色々と話しているうちに夕方となりまた明日と言う事で解散となった。
さて、今夜は何食べようか?
佳織に話しておかなければならない事も出来たし、ゆっくり呑みながら説明していこうか・・・
だとすればあの料理にしようかな?
と心の中でつぶやきつつレシピを思い出すのであった。
最後までお読みいただきありがとうございます。
紅ショウガについてですが作者は○下の○生姜を細切りにして食べています。
○下の○生姜だけを酒の肴にしている機会が多いもので・・・
次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。
今後ともよろしくお願いたします。