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6k:最初の町


□ -267℃ □






「やっとこ、一つ目の町が見えて来たな」


「いやー、ここまでに4日もかかるとはね」


「やっとベッドで寝られるのね」


「身体痛いです」


「グルゥ!」



森の中を魔物退治したり、魔法の練習をしたりしつつ歩くこと4日目。


ついに、初めての町が見えて来た。



「人間の領土に一番近い町だから、ヴェルトね」


「王都まではまだまだかかりそうですが、お父様やお母様達へ手紙を出せそうです」



二人とも嬉しそうだ。あ、こういうのって今気づくことじゃなくて、目的地についてから各自悩むことだと思うんだけど………



「ティオとルルーはさ、王都についた後どうするの? 俺とツクヨミとフェルゥは旅を続けるけど」


「ついて行きます!」


「姫様即答!? 流石に姫巫女がいなくなるのは……」


「姉様達もいますし、イル・アニマ様の神託があったと言えば納得しますよ。あ、ルルーも勿論一緒ですよ」


「それで大丈夫なのか?」


「姫様はこうと決めたら引かないわ。絶対に」



もっと悩むハズなのに、そんな簡単に決めちゃっていいのか? 大丈夫なのか? 反対する人絶対に沢山いるだろ………



「安心してください。お母様と王妃様を味方にすれば、ほぼ無力化出来ます。」



あ、うん。そうだね………


にしても、そう聞くと皆さん女性の尻に敷かれているんですね。そして、ティオは将来夫を尻に敷くだろうな。うん。



「とにかく、町に入るわよ」


「だな。調理器具とか調味料とか仕入れよう。あ! その前にお金か………魔物の素材売ろう。どこかいいとこある?」


「完全中立の冒険者ギルドがいいと思います。登録は結構簡単ですよ」



成る程。バジリスクも買い取ってもらえるかな? まぁ、とにかく、行ってみよう。


町の外観は城壁に門がある感じ、魔物がいるこの世界では、殆どの町や都市はこんな感じで、村なんかは柵らしい。



「止まれ! なんで人間が…………ま、まさか!」



門の前に来たら、門番さんに睨まれて、そして門番さんが震えだした。



神牙(フェンリル)様!?」


「グルゥ」


「そんな神牙(フェンリル)様が懐いているということは、牙選者様!?」



牙選者とは神牙(フェンリル)に選ばれたものを指すらしく、神翼(カラドリオス)の場合は翼選者、神体(ヨルムンガンド)の場合は体選者というらしく、種族は特に関係ない。そして、本質を見抜く目をもつ三匹に選ばれた者は、たとえ人間とはいえ獣人族には尊敬されるらしい。


そして、目の前の門番さんは犬族です。



「大変な無礼を、お許しください!」



見事な土下座です。



「いやその、人間のほうが悪いのは分かってますから、だから頭を上げてください」


「なんと慈悲深い、ありがとうございますぅ!」



あらら、泣いちゃった。


その後は、神牙(フェンリル)様と牙選者様に、そのお連れ様ならばなんの問題もありません! と言われた。


ティオも獣人の国ではかなり有名らしいが、門番さんが俺とフェルゥに感激してしまって、気づかなかったらしい。


町の中は、中世ヨーロッパ風? まぁ、異世界によくある町並みで、町の中には色んな獣耳の人達がいた。



「それじゃあ、私達は領主の館に行って来るけど、騒ぎだけは起こさないでよ」


「無理!」


「そんな、もう少し頑張る姿勢を見せてください。」



いやいやいや、牙選者らしい俺に、喋るスライムであるツクヨミ、神牙(フェンリル)の娘であるフェルゥ。この組み合わせで、騒ぎが起きないと思ってるんですか?


今も、犬族と狼族の人達がやって来て、俺とフェルゥに挨拶したり、握手を求められたり、崇められたりしている。ちょっとしたアイドルな感じだ。



「はぁ、まぁいいわ。出来るだけ騒ぎは起こさないでね」


「うぃー」


「はーい」


「ルゥ!」



心配しているティオとルルーと別れて、一人と二匹はギルドへ向かう。


歩くこと五分。門からはそんなに離れていなかったので、直ぐにたどり着いた。


中に入ると、以外にも静かだった。此方をちらりと見て、興味深そうな視線は感じたが、絡まれることはなさそうだ。あ、握手ですか? はいはい。



「すいません。登録したいんですけど……」


「ひゃい!? わ、私で宜しいんでしょうか?」


「え、うん」


「牙選者様に選んでいただけるなんて!」



あ、この人犬族の人だった。


とにもかくにも冒険者について聞いてみた。


冒険者にはランクがあって、G、F、E~Aと続き、その上にSランクがある。


依頼は、採集依頼、討伐依頼、護衛依頼等々、まぁ、よくある冒険者ギルドの依頼だった。


後は、はしょる。だって、特に注意することなかったんだもん。



「ありがとうございました」


「そんな、勿体無きお言葉ですぅ」



あ、泣いちゃった。


とりあえず、買い取りはやっているか聞いてみる。



「あ、はい。やっています」


「それじゃあ、これ買い取ってもらえますか?」



バジリスクの牙を五つ取り出す。なんと、【解体】スキルを組み合わせると、本体を取り出さずに簡単に解体出来たのだ! 魔法とスキルって本当に便利だな。



「はいえーと………バジ……リスクの……牙?」


「はい。おいくらぐらいになりますかね?」


「え、あ……しょ、少々お待ちください!」



バジリスクの牙を持ったまま、受付嬢さんは奥に引っ込んでしまった。


なんでだろ? あ、そういえばバジリスクって……



「バジリスクって、殆ど倒されたことなかったんだっけ?」


「ルゥ?」


「そういやそうだったね。そんなに強そうには感じなかったけど」


「だよな~。異空間収納にまだ丸々一匹が沢山あるしな」



草原にいた時、結構な頻度で出てきたのだ。ちなみに、解体したらいくつかの部位に別れ、頭、目玉、牙、皮、肉、内臓、毒袋、魔核に別れた。内臓はさらに多く別れている。


そして、この町に来るまでに何回かバジリスクの肉を食べた。かなり美味しかったです。



「お、お待たせしました! それで、なにぶんバジリスクの素材は、なかなかギルドに持ち込まれたことが無いので、白金貨10枚で宜しいでしょうか?」


「「「…………」」」



どうしよう。このメンバー、この世界のお金の価値分からない。ま、まぁ、異世界モノだと白金貨ってかなりの額だった気がするから、いいかな? いいよねべつに。



「それで大丈夫です」


「そうですか………それであの………ギルド長がお会いしたいと申されているのですが……」



この問いかけは予想していた。ここで断ったら、向こうから来ると思うからいっとこう。



「分かりました」



という事で、ギルド長に会うことになった。





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