表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/23

4k:夜の会話


□ -269℃ □






青い空


広がる草原


ぷるぷるしているツクヨミ


唖然としているティオとルルー


そして、凍りついた竜の頭をもつ巨大な蛇


うーん。我ながら、このギフトはとんでもないな。殆ど倒されたことがなかった化け物をあっさり倒せるとはね。


さて、こうなったいきさつを説明しよう。



(というか、前回の続きから━━)











「んあー。それにしても、変わらないなー」


「だねー」


「変わるでしょ、さっきからゴブリンとか、オークとか、魔狼(アーク・ウルフ)とか魔物が出てきてるじゃない」


「でも、出てきたそばから死んでいくのはなんででしょう?」


「そうね、気味が悪い」


「ま、死んでくれるんだからいいじゃん!」



真実は、出てきたそばから俺の生命凍結を食らって、即死していってるだけだ。


ん? 心臓を止めても3秒は生きてるんだっけ?


まぁ、3秒で何かが出来る魔物はいないみたいだが、今度からは脳を凍結させたほうがいいだろうか? あ、そっちのほうがいいかも。うん。そうしよう。


魔物は倒した後は、ツクヨミに処理してもらっている。


二人に聞いたところ、今まで現れた魔物は、心臓付近にある魔核以外は使えないそうだ。そして、その魔核もそこまで使えるものじゃないそうなので、やっぱりツクヨミに処理してもらう。



「………日が暮れてきたな」


「野宿しないとね」


「私達経験ないわよ?」


「安心してくれ! 俺もない!」



胸をはってそう答える。


うん。夜営スキルでもとっときゃよかったかな? あったかどうかは知らないけど。



「なんで胸はってるのよ!」


「あだっ!?」



ルルーに足を蹴られた。


とにもかくにも、夜営に丁度いい場所と、今日の夕食を探そう。


気配察知を利用して、獲物を探す。


魔物とは違う気配がなんとなく分かる。そちらのほうに、ゆっくり歩いて行く。


そこにいたのは兎。うん。普通の兎だ。


範囲内に入っていることを確認し、生命凍結で瞬殺する。



「よし。獲物一匹目げっと」


「………これってやっぱりあんたのギフト?」


「うん」


「もしかして、対象を即死させる能力ですか?」


「そんな魔法的に倒してるわけじゃないよ。どちらかというと、物理的に殺してる感じかな? でも、もっと便利な能力だよ。詳細は……そうだな、そのうち話すよ」


「無理して話さなくていいですよ? ギフトについて聞くのは良いことではありませんから」


「知っておいて損はないだろ?」



話したところで、どうにかなるわけじゃあない。なんせ、ギフトを二つ持っているからな。一つ教えても、もう一つあるから問題ない。


あ、もう一つのほうは物理的な対処能力皆無だ。まぁ、いいか。


その後、二匹兎を確保した。


ツクヨミは、食事の時は元の身体に意識を戻して、天照大神様と食べるそうなので、いらないらしい。



「んじゃ、兎の解体といきますか」


「ナイフは?」


「んー。これでどう?」


「…………氷魔法ですか?」


「ちょっと違うかな」



空気を凝結させて、氷のナイフを作りだし、それを使って兎を解体していく。


【解体】スキルのサポートもあって、簡単に解体出来た。ちなみに、血ぬきは済ませている。


さて、森の中に自生していた香草を取ってきたが、フライパンがないから香草焼きは作れない。蒸し焼きにしようかな? うん。そうしよう。


大きな葉っぱで兎の肉と香草を包んで、大きめの岩の上に置く。



「それでどうするの?」


「岩の温度を上げます」



【温度調整】を使って、岩をいい感じの温度にする。


暫く待つと、いい匂いがしてきた。


兎の香草蒸し焼きモドキは、なかなか美味しかった。



「それじゃ、見張りは俺がするから」


「私達が寝てる間に、変なことしないでしょうね?」


「ツクヨミに見張っててもらうよ」


「任せて」



ツクヨミに俺の見張りを頼むと、ルルーは納得してティオと寝始めた。


静かな夜だな


話しかけてくるかと思っていたツクヨミは、何故か寝てしまった。


それなら、この真後ろに感じる気配は………



「俺を殺す?」



首筋にひんやりした金属の感触を感じながら、後ろを向かずに尋ねる。



「私はあなたが怖い」



昼間は凛とした感じだった声は、少し震えている。それにしても、怖いか………



「何処が怖い?」



なんか変な質問だな。殺されそうになっているのに、心は妙に穏やかだ。



「その、得たいの知れない力」


「いや、まぁ、うん。確かに端から見たらよく分からん力かもしれないな。うん」



確かにね、相手を一瞬で殺す力なんて俺だって怖い。しかし、本当に怖いのは、それを手に入れたのが冷酷な殺人鬼だった場合だ。


俺? 俺は違いますよ。前世のことはあんまり覚えていないが、殺人鬼では無かった。


しかし、どうやってひいてもらおう? やっぱり、信じてもらうしかないよね



「兎に角、信じてくれないかな? 天の神 アーリティシア様に誓って、一般人は殺さない…………悪人は分からないけど……」


「神様に誓うとは、大きくでたわね…………いいわ、今のところは信じてあげる。でも、殺そうとしたら容赦しないからね」


「肝に命じておきますよ」



夜の間にそんなやりとりがあったが、朝は普通に来た。


そして、朝ご飯のことを考えてなかったことに気付いたが、お昼に沢山食べればいいという事で、早速出発することにした。


それから十分もしないうちに森が開けて、緑の草原が広がる場所に出た。



「森の次は草原か……」


「ここって………」


「まさか、蛇王の草原…………」



なんだそりゃ?


何故蛇王の草原なんて名前なのか聞こうとしたら、何かの気配が物凄いスピードで此方に向かっているのに気付いた。


そちらのほうを見ると、巨大な蛇? が、此方に向かって来ていた。



「バジリスク!?」


「に、逃げなきゃ!」


「もう遅いみたいだよ」



その通り、もう直ぐそこまで来ている。そして、上から噛みついてこようとしたので、全身を凍結させる。生命凍結だと、倒れてきた身体に潰されるかもだからね



「派手な氷像だね~」


「しっかり死んでるな。うん」


「「……………」」



あ、二人が固まっている。よし、俺のギフトを言うタイミングだ!






もう気づいている人もいると思いますが、サブタイトルの“k”は、温度の単位ケルビンのことです。


そして、その直ぐ下のは℃に変換したものです。


0k=273℃ですね

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ