9k:夜の会話2
□ -264℃ □
オーガは一撃で倒せた。
スキルも沢山取得出来た。
やったね!
「何を満足げな表情してるのよ。アンタ本当にトンでもないわね」
「トーマさん、凄いです!」
驚いたような、呆れたような表情をしているルルーと、純粋に目をキラキラさせているティオ。
まぁ、とにもかくにもこれで出発出来る。
「そっちも終わったみたいだね。なんか、変なのいるけど」
「グルゥ!」
「お、二人? とも、お疲れ~。そういえば、オーガって使える部位あるのか?」
「えぇ、角とか魔核とか高値で売れるし、強力な武器や魔道具に使えるわよ」
「魔核?」
あれかな? 異世界モノによくあるモンスターの特殊部位かなんかかな?
ルルーの説明によると、魔力が集まり固まった珠のような物らしく、魔道具の触媒やら、魔法薬の材料になったりするらしい。
とりあえず、オーガを空間収納収納に入れて、再び次の都市を目指して出発し出した。
さて、先ほど取得したスキルだが
【刀術】スキルは、そのまま刀の扱いが上手くなったりするスキル。さらに、刀技が思い付きやすくなるらしい。刀技については後で
【瞬速】スキルは、三歩だけ動きが音速を超えるというもので、四歩目か、途中で終わらせたいと思えば元の速度に戻るらしい。
【思考加速】スキルは、そのまんまの意味で、思考する速度が上がるというモノ、簡単に言うと体感時間が遅くなる感じ。これも異世界モノだとよく出てくるが、実際にやると脳がトンでもないことになるらしい。
今も少し頭痛がするので、多用は禁物だろう。
さて、次に刀技についてだが、俺が先ほどオーガに使った『血氷華・一輪咲き』というのがこれにあたる。
簡単に説明すると、この世界ではこのような技というか、技術みたいなものの習得方法は幾つかある。
一つ目は、誰かに教わるというモノ。
二つ目は、自身で考えて使用していたモノが、技に昇華されるというモノ。
三つ目は、ある日突然思い付くというモノ。
あ、以上のことは全部ティオとルルーから聞きました。
んでんで、俺の場合は三つ目が該当する。それで、習得した技は以下の通り
【魔力手甲】
『魔氷手甲』『氷狼魔爪』
【刀術】
『氷魔刀・作成』『飛刃』
『飛冷刃』『血氷華・一輪咲き』
『血氷華・乱れ咲き』『血氷華・花畑』
こんな感じです。
何故か魔力手甲スキルにもあったよ。うん。
「あ」
「なんだい?」
「どうかしましたか?」
「グルゥ?」
「なにー?」
「いや、何でもない」
皆にちょっと声が出ただけだと言い、思い付いたことをやってみる。
すると……
《【魔力脚甲】スキルを得ました》
《【魔刃】スキルを得ました》
《【魔力鎧】スキルを得ました》
《【魔力手甲】、【魔力脚甲】、【魔力鎧】の取得を確認》
《【魔力手甲】、【魔力脚甲】、【魔力鎧】を統合して、【魔力武装】スキルを得ました》
スキルの統合は予想外だったが、まぁ、いいとしよう。
【魔刃】スキルは、刀剣系武器に魔力を纏わせて、威力を高められるスキルだ。他にも、酸とかから刀身を守ることが出来るらしい。
【魔力脚甲】は、【魔力手甲】の足バージョン、【魔力鎧】は魔力の鎧を作り出すモノ、【魔力武装】は上の三つを統合して、よりスムーズに自由に出来るようになるらしい。
そして、新たな技も閃いた。
【魔刃】
『冷刃』
【魔力武装】
『魔氷手甲』『氷狼魔爪』
『魔氷脚甲』『魔氷鎧』
色々と習得出来て、パワーアップしていい感じだ。
暫く進んで、辺りが暗くなって来たので、野宿の準備をすることになった。
「さて、何を作ろうかな?」
「スープが飲みたいね」
「味分かるのか?」
スライムに味覚ってあるんだろうか? そんな疑問を頭に浮かべながら、ツクヨミに尋ねる。
「あるよー、一応」
「一応……ね。ま、兎に角作りますか」
といっても、スパイスと一緒に見つけたコンソメっぽいものでスープを作り、具材は野菜と軽く炙ったベーコンという、シンプルなものになった。
後は、猪肉を塩コショウで味付けしたものを焼いた料理と、黒パンである。
「美味しいわね」
「お店が開けますよ!」
「ルゥ♪」
「いや、そんな事は無いと思うけど?」
本職の料理人さんの作る物のほうが、遥かに美味しいハズだ。ちょっと料理をかじった程度の腕を、スキルでカバーしてるのが俺の料理。なので、まだまだだと思う。
料理も食べ終わり、今日の所は寝ることにして、見張りは俺がすることになった。
まぁ、色々試したいことがあったので、自分から見張りになると言ったんだよね。
「えーと、先ずは水を作り出して……」
【生活魔法】で水を作り出す。
「次は、【温度調整】で……」
【温度調整】で空気中の水分を凝結させ、今度は融解して水にする。
「ふむ」
安全性でいえば【生活魔法】のほうだが、コストの面では【温度調整】だろう。まぁ、コストと言っても、微々たるものだが……
安全面でも、一度沸騰させればなんとかなるし
結局、早く出来るほうがいいのだから、【生活魔法】のほうを使うのがいいだろう。
「トーマさん」
「ん? ティオか。眠れないのか?」
「まぁ、そんなところです」
俺の横に座るティオ。
ひょこひょこ動く耳や、ゆらゆら動く尻尾を見ると触りたくなる。元々、もふもふな動物は好きだからな。
「トーマさんって、おいくつですか?」
「ん? そういえば言ってなかったな。十六歳だ」
「あ、一つ違いなんですね。私は十五歳です。ルルーも」
「へ~」
危ない。危ない。二人とも十三歳くらいかと思ってたわ。
でも、こうして見ると結構育ってるんだな、何処とは言わないが。
基本的に大きさには拘らないので、大きいティオも、小さいルルーもどっちもいいと思います。まぁ、何処とは言いませんが。
ティオが、俺の肩に頭を乗せて来た。
耳が頬っぺたに当たってくすぐったい。
「トーマさんは、私の事どう思いますか?」
「ん? うーん………可愛いと思うぞ」
「………そうですか。嬉しいけど、もっと頑張らなくちゃ」
「ん? 何?」
最後のほうが聞き取れなかった。
「いえ、なんでもありません。そろそろ寝ますね、お休みなさい」
「お休み」
照れたように笑って、ティオは寝床に戻った。さてさて、見張りを続けますか