0k:ありがちな
明けましておめでとうございます。今日より投稿を始めた作品です。
□ -273℃ □
「熱川 凍真さん。貴方は死にました」
「なんか、ありがちな展開ですね」
どこまでも白い空間という場所で、俺は、神と名乗った後にそんな言葉を言ってきた人物に、正直な感想を言う。
さて、俺の名前は神様(仮)が言ったように、熱川 凍真。知り合いからは「どっちなんだよ」とよく言われる名前だが、あんまり気にしてない。容姿は、黒髪黒目という日本人ならありがちなもので、顔はブサイクではないが、イケメンというわけでもない普通の日本人顔だと思っている。
神様(仮)だが、純白の………なんて言うんだ? 服には疎いのでよく分からないが、ワンピースというか、ドレスというかを着た、綺麗な女の人だ。
「綺麗とは、正直ですね」
「あ、はい」
心が読めるとは………
さらにありがちな展開になってきたな。しかし、死因はなんだろう?
「死因は、車に轢かれるという……まぁ、交通事故死ですね」
「またありがちだけど、全然覚えてない」
死んだ時の記憶がない。
多分だが、神様のせいだと思う。
「転生させるための手続きがあるんですが、記憶が無くなるんですよねぇ。個人差はありますが」
「転生? ってことは、生まれ変わるんですか?」
「えぇ、貴方もよく知っている、剣と魔法のファンタジー世界に」
「本当にありがちな展開ですね。それで、何かスキルてきなものを貰えるんでしょうか? いや、そもそもスキルがある世界ですか?」
「ありますよ。ただし、HPとか、MPとかの概念はありません。あれっておかしいですよね? 首斬り落としても、HPを1残すスキルとかあったら、生き残るんですよ?」
「それ言ったらおしまいだと思いますが、確かにそうですね」
首斬り落とされて生きてるとか、ゾンビかよおい。って、感じになりますよね、はい。
あっと、それよりもスキルだ。貰えたりするのかな?
「いえ、私が与えるのはギフトというモノです。後は、スキルポイントを100ですね。このスキルリストから、100ポイントまで好きに選んでください」
成る程。
それならば、慎重に選ばないとな。
普通なら、俺Tueeeeeeeeeee!!! するために、戦闘系スキルを選ぶだろう。しかし、残った記憶通りなら戦争の無い平和な国に生まれた俺が、異世界に行って最強! になるなんて無理だ。うん。とりあえず、生き残るために必要なスキルを選んでいこう。
【異世界全言語理解】と【鑑定】、【気配察知】、【気配希釈】、【危機感知】、【生命感知】は確定として、後はどんなスキルにしようかな?
一人で生きる可能性もあるから、【料理】に【解体】
なんだか便利そうだから、【生活魔法】と【回復魔法】
戦いを回避出来るか分からないから、【武術】に【体術】
ここにきて、残り20ポイント。
悩んだすえに、【精神強化】と【空間魔法】
最終確認をして、納得。
「おーけーです」
「ふむふむ。無難ですね。しかし、ネット小説に毒されて、戦闘系スキルしかとらないおバカさんよりはましですね」
「誉められてるんですか?」
「誉めてますよ。それにしても、貴方と話しているのは楽しいですね」
「なんだか、人間みたいですね」
神々しさはあるが、とても親しみやすいと感じる。知り合いだったら、一緒に食事をしながらお話ししたいぐらいには
「いいですね。そのうち一緒に食事をしましょう。それと、神が人間のようなのではなく、貴方達人間が、私達神に似ているんです」
「成る程」
ということは、人間は神が作りだしたのかな? まぁ、そんなことはどうでもいい。そろそろ、異世界に旅立つのだろう。
俺の足下が光輝き出した。
さて、向こうでは何があるのだろう?
毎日が戦いになるのだろうか?
ほのぼのとした日々になるのだろうか?
人との出会いはあるのだろうか?
一人で生きていくのだろうか?
とても楽しみだ。うん。
「最後に、貴方が今から行く世界には様々な種族がいて、互いに自分達が優れていると言い合い、争っています。しかし、貴方にどうこうしろとは言いません。所詮神は、力を与えるか、見守るしか出来ないんですから」
「………」
「しかし、もし良ければ、種族間の和平の架け橋になっていただければ幸いです」
「出来るかは分かりませんが、やれたらやってみます」
「はい。では、またいつか………」
視界が白く染まっていく
神様が最後に微笑んだ。
とても綺麗な微笑みだった。
《天の神 アーリティシアから、加護を与えられました》
《天の神 アーリティシアから、ギフト【温度調整】が与えられました》
はい?
この作品の更新ですが、とりあえず5話分。次回は、2月の第1日曜日に2話分を予定。以後、一月ごと、第1日曜日に2話分づつを予定しています。