表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/2

第一話 コトノハジマリ

少しダークな感じのお話を書いてみました。

 夕日で真っ赤に染まった村外れの広場に、子供が2人。


陸斗りくとくん!次は何して遊ぶ?」


「そうだねー。じゃあ、だるまさんがころんだしよう、瑠璃るりちゃん」


「だめだよ!この時間にだるまさんがころんだはしちゃいけないって、お母さん言ってた!」


「大丈夫だよ。まだ陽はあって明るいし、それに何かあっても瑠璃ちゃんは僕が守るよ!」


「でもお母さん、私が帰るの遅くなるといつもお話してくれるの……」


 ――瑠璃が生まれる前の話よ。瑠璃と同じくらい、そう6歳くらいの女の子が神かくしにあったの。

 で、その10年後、瑠璃が産まれた年にその子が見つかったのよ。

 ん?生きてたのって?うん。女の子、ちゃんと生きてたんだって。

 でも前髪を全てバッサリと切られて、村はずれのお地蔵様のそばでぼーっとした顔をして座り込んでいたらしいの――

 ――神かくしがあった日、夕方頃に一緒に遊んでた子供たちは皆、『だるまさんがころんだしてたらいなくなっちゃった』って、こう答えるの。だからね、瑠璃も夕方に だるまさんがころんだ はしちゃダメよ、遅くなる前に帰ってきなさい――


「それは僕も知ってるよ。でもそんなこと起こりっこないよ。きっと、子供が遅くまで遊んじゃいけないって言いたいだけだよ。だから一緒に遊ぼ、ね?」


「うーん……わかった。遊ぼ!でも陸斗くんが鬼だよ!」


「うん!僕が鬼だね。じゃあ始めるよー」


 少年は少女に背を向け、少女は大きく10歩離れたところまで距離を取る。


「いいよ!」


「だーるーまーさーんーがーこーろーんーだ!」


 少年は、大きく掛け声を唱える。

 そして、少女が動いていないかを見るために振り返った。










 そこに、




 少女の姿はなかった。










「……あれ?瑠璃ちゃん?かくれんぼじゃないよー?だるまさんがころんだ、だよ?」


 返事はない。


 姿も見えない。


 なにか嫌なものを感じ取ったが、イタズラで隠れているのだろうと冗談めかして探し始めた。


「わかった、瑠璃ちゃん僕が無理やりだるまさんがころんだしようって誘ったから怒ってるんでしょ。ごめんね?もう無理は言わないから」



 だが見当たらない。


 動く音も聞こえない。


 あるのは風に揺れ不気味に嗤う広場を覆う森。



「瑠璃ちゃん?どこいったの!!おーい!!」


 普段は出すことのない大声を出すほどに少年は焦っていた。


 それもそうだ。つい先程まで遊んでいた少女が、突然姿を消し探せど見つからないのだから。


「ねぇ!どこ!お願い!出てきて!!!ねぇ!!!!」


 いくら叫んでも少女の声が返ってくることは無くこだまするのは少年の声だけ。


「瑠璃……ちゃん……どこだよ……」


 探し続けて暗くなった広場に一人、友達が急にいなくなる恐怖に心が折られるのにはそう時間はかからなかった。徐々に声は小さくなっていき、また静寂が森を支配していた。




 ごめんなさいごめんなさい。


 僕が誘ったから、瑠璃ちゃんを無理に引き止めたから、連れていかれちゃった。


 ごめんなさい。ごめんなさい。

 瑠璃ちゃんがいなくなったら僕は一人に……、友達がなくなっちゃう。


 そんなの嫌だ。そうなったら僕はおかしくなっちゃう。



 だからお願い、お願いだからもし神様がいるのなら、





 僕も連れていって――






 夜、帰りが遅い少年の心配をした少年と少女の親は村中を探し回り、村の広場で1人で大泣きしている少年を見つけた。


 家に帰り泣き止んだ少年は虚ろな目をし、遊んでいた時のことを聞いても固く口閉ざし続けていた。


 そして10年後、少年が16歳になり、あの少女が前髪をバッサリと切られ、お地蔵様のそばで見つけられるまでこの日のことが少年の口から語られることは無かった。






 10年経った今年も神かくしは実行されたのである。

よく分からんところで終わりましたが、ここで終わりではないつもりです。ここからどう話が展開するのか、一応今話を合わせて3から4話構成で話を締めようと思ってます。短いですがお付き合いください。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ