最強の兄弟
『魔法』が発現することと、
『魔力』が発現することは、
違う。
ーある星ー
ルシフェルとミカエルは、誰も知らないような田舎の星に生まれた。
なぜ誰も知らないのか。
それは、その生まれ故郷が
『捨てられた星』だからである。
その星は、大昔から別の星と貿易をしていた。
そして、流れ込んでくる輸入品に
『依存』していたのである。
ただ、平和だった。
しかし、間も無くその平和は崩れた。
相手の星が、急に貿易をやめると言いだしたのだ。
貿易が無くなったらこの星がどうなるかは、
既にそこにいる全員がわかっていた。
2人の両親は、2人を星に残したまま、消えた。
2人の両親と同じように、たくさんの人が消えた。
2人は、消えなかった。
廃れた星は、
等価交換が存在せず、
まともに生活出来ずに、
すぐに貧民街が星を覆い尽くし、
殺して奪い取る時代になった。
…命の価値が薄れていった。
もちろん、まだ少年だったルシフェルとミカエルは、強盗や殺人が出来るほど力はなかった。
だから、悪行の手伝いをするしか、
生き延びる方法はない。
ある時は言われた通りに銃を撃つ
ある時は言われた通りに鉄球を落とす
ある時は言われた通りにスイッチを押す
なんの為かは知らない
兄弟の生活に潤いが戻ることはない
そこで、弟のルシフェルはついに、
アイバンクに自分の片目を売った。
そんな弟を見て、兄のミカエルは、
髪を切り、売り、血を出し、売り、
さらに自分の臓器を全て売ろうとした。
弟に止められたが、反対を押し切った。
しかし、臓器バンクの前で、血が足りなくなって、
死んだ。
そこで、それを見ていた神は思った
『この者たちならば、双天使に相応しい』
…2人は神に導かれた。
目も、治った。
魔法とは、魔力を別の力に変えた結果である。
魔力を眷属という生き物の形にしてから、
魔法という完成形にする。
では、どうやって魔力は発現するのか。
その条件は、ほんのすこし『絶望』することである。
ドールワールドに限らず、どの星でも
【瘴気】というものがある。
呼び方は星によって違うが、ミアズマはどの星でも、
『病気になる原因』と言われた時期があった。
人が絶望すると、魔法を手に入れる権利が生まれる。
悪の力であるミアズマは、絶望の隙間に入ってくる。
絶望した者は、知らない内にミアズマ、つまり、
【邪悪】を使役出来るようになる。
体内にミアズマを保有できる最大値には個人差があるが、鍛錬によりある程度伸ばせる。
悪の力を使うからと言って、
魔法が悪という訳ではない。
魔法とは元々、世界中に漂うミアズマを、
【浄化】する方法の一つなのである。
昔はどの星もミアズマで溢れていたので、
なんとかしなければならなった。
抑える為の霊能力…『オーラ』
身を守る為の防御…『結界』
探知機としての囮…『眷属』
浄化する為の方法…『魔法』
これらが開発されたのは、その頃である。
兄弟は天界の者となった。
ありったけの絶望と、
星中に漂うミアズマ。
その中で暮らしていた2人は、すぐに力をつけた。
そして、自分たちの故郷を見捨てた星に、
制裁をした。
それから兄弟は共に過ごすことが少なくなった。
2人が兄弟ではなく、『いとこ』ぐらいに見えてきた時には、ルシフェルの計画は99%完了していた。
兄は、
弟なら自分の言葉で止まってくれると思っていた。
しかし、幼少からの恨みは…
理不尽な世界への恨みは、止まることを知らない。
ミカエルも、すこし考えたことのある内容だった。
この世界の全てが憎い理不尽が憎い
憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い
思い通りに人生を送る奴もいる
絶対に許せない!
殺してやる‼︎
でも、殺すのが決着か?
いや、違う。
殺したいわけじゃないんだ
なら、俺は何を望んでいる?
…時間か
そうだ。時間だ。
俺はもっと時間を良く使えるはずだった。
…同じ目にあってもらおう。
手始めに、尊敬する兄を超える!
そしてこの世を…破壊してやる
ルシフェルはそう思った。
このような悲しい出来事が起こるのも、
全てはミアズマのせいだ。
そしてそのミアズマは、
いつでも人の死によって発生する。
悲しみの感情が、ミアズマを作り出す。
だが、蘇生がある。
命の場所を決めることができる蘇生が。
その存在を知らしめれば、死によって生まれるミアズマが減るはず…私の嫌いな『争い』も消えるはず。
「まあ、そんなところだ」
「絶望するだけ強くなる…」
「それが魔法のルール…」
「だから奴は強いんだ」
「少なくとも君たちじゃ勝てない」
「…」
「勘違いするなよ、私はあくまで今は敵なんだ、や
「普通はこんなこと教えない」
「君たちの実力を買っているから妥協したんだ」
「どうだ?仲間にならないか?」
「なる…とでも言うと思ったか?」
「なるわけがないでしょう…僕たちは、ルシフェルを倒しに来たんです。貴方が一味である以上、協力はできません。それに、ミカエルなら…勝てます!」
「そうだな、今はチェリシュしているが…ダイヤが堕天の分を補えればいい」
「今の戦力は同じほど…」
「と思うだろ?」
「?」
「よく考えな…戦力差は本当に全く無いと思うのか?『ダイヤだって堕天できるんだ』…当然、その対策をしているとは思わないか?」
「…‼︎」
〔そうか…!【堕天】することは悪だというイメージに縛られて、完全に忘れていた‼︎〕
「対策って…?」
「ふっ…」
「『敵にまわしたな、』私を…」
そういうと、ファイアリアンは指をさした。
2階広場の上空に…
「あ、あれは‼︎」
「アシュラさん!あれは一体⁉︎」
「レンー!今すぐ撃て!」
「レジストファイアでぶっ潰せ‼︎早く!」
「あれは【邪宝石】だ‼︎」
「それも、ブレイカーより大きい!」
「まさか…【皇帝】か⁉︎」
「レジストファイア‼︎」
「余所見は禁物だレンくん…」
「!」
〔いつの間にこんな近距離に⁉︎まずい‼︎〕
「アシュラ拳!」
ドォゴオオオオオオオオオ
「遅いな」
「はっ…⁉︎」
〔いつの間に背後にいる…⁉︎〕
〔だが至近距離だ…〕
「アシュ…
「トロい‼︎」
ガシッ
「うう…!」
「アシュラさん!」
〔腕を掴まれた!アシュラ拳が使えない!〕
「レジスト…
「君もだ」
〔め…〕
〔目の前!〕
「レンー!」
「!」
「1階に待機の奴らが来ている!」
「いま連絡した!すぐ来るみたいだ!」
「何ッ⁉︎」
〔厄介だ…さすがに!〕
「悪いが気絶してもらうぞ!」
「レン!レジストファイアで身を守れ!」
「はい!」
「アシュラ拳!」
「遅い!」
シュルルルルルル…
「?」
ガキ!ビシ!
「体が…拘束された!鎖で!」
「かかったな…だが、俺たちものようだ」
「この魔法は!僕はよく知ってるぞ!」
「なんだこれは⁉︎」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
鎖を作った張本人、イカロスは少し笑う。
しかし、焦ってもいる。
「…!どうやら間に合ったようだな」
「ああ」
「これが俺の魔法…」
「【ガンドレク・プログラム】‼︎」
「その鎖は攻撃しようとした者を締める」
「第2の霧だ」
「かかったようだな…よし」
「…軽い」
ルシフェルが、呆れたように話す。
「!」
「…その程度だったんだな」
「貴様らの力…絶望など」
弥生の渾身の一撃が、効いていない!!!!
「!逃げろ弥生!アイ!」
「もう遅い」
「俺はもう10階に帰るさ」
そういうと、ルシフェルは羽ばたく!
「羽を取ったことには感心したが…」
「あいにくながら、再生出来るんだ」
「つまり…無傷で君達の実力を計れたようで…」
「めでたしめでたし…だ」
「待て‼︎」
と、イカロスが追う!
「!」
〔こいつ…どうやって空中に来た?〕




