苦しみこそ美しい
「私の人生はついに90年も過ぎた」
「その中で私が見つけた『真理』が『二つ』ある」
「一つ…」
「《人生とは繰り返しで出来ている》」
「時間が過ぎる、老いる、報われる、生きる」
「人生はこれの繰り返しで出来ている」
「一つ…」
「《苦しみこそ美しい》」
「苛酷は、人生に活気をもたらすのだ」
「活気のある人生こそ、意味がある」
「私が君たちに教えたいのはこの二つの真理だ」
「オーラと結界は、活気を与えてくれる」
行きに12時間
帰りに1時間
そんなに凄いのか…
《オーラ》と《結界》とやらは⁉︎
まずオーラについて説明される。
「破壊力と耐性がつく」
「オーラを発動すればな」
「努力次第では木も素手で殴り倒せるし」
「どんな高さから落ちてもかすり傷すらつかない」
「便利だ…」
「そんな都合の良い力がよく生まれましたね…」
「ほほっそれは違うぞ少年達」
「「?」」
「人間も人形も、どんな生物でも自我がある限り…」
「目指す物は同じ。それは即ち効率の良い物」
「より便利に、より安価で、より強く」
「そうやって進化してきた物なのだよ…」
「都合が良いと感じるのではなく」
「更に進化させることだけを考えるのだ」
「「っはい!」」
次に結界。
「結界は、」
「自分の体に薄く張り付くバリアのような物だ」
「これが全部無くなると、その時点で気絶する」
「どれだけ減ったかは感覚でわかる」
「面積×破壊力の分だけ破壊される」
「バリアと言いつつ、バリアの機能はない」
「…え?」
「あくまで『ような物』…これは防御手段ではない」
「結界は、弱い力しか防げない」
「…では、ダメージメーターとして使うんですね?」
「否、もっと上手く使える」
「?」
「【魔法】だよ」
「魔法が自分に及ぼす影響を無しに出来る」
「魔法…ですか」
「聞いたこともないですね」
「ほほっ仕方ないことなのだよ」
「まあ、魔法のことは今はまだ考えんで良い」
「霊能力の進化版とでも思っていてくれ」
「なんとなく頼りがいのある名前だな」
「魔法…魔法か」
「…まだ考えんで良いと言っている!」
「「っはい!!!!」」
「よろしい…続けるぞ」
…数日後…
「よろしい!2人とも、免許皆伝だ!」
「お、終わった〜!」
「過酷…だったな…」
本当に、死ぬかと思った。
そういえば、ここ数日は寝てなかったか…
「…でも…オーラと結界は…完璧…だな…」
「だな…師匠…ありがとうございます…」
「なぁに、私も久しぶりに人に会えて楽しかったよ」
〔…人…〕
「そういえば、師匠はどうしてドールワールドに?」
「あ、ほんとだ」
「ほほっ…まあ色々あってな…」
「悪運と悪縁のせい、とだけ言っておくよ」
「そら、帰った帰った!」
「おぅわ!」
師匠は、仙人は、わたしたちの背中を押す。
そして、呟く…。
「君たちにも、どうやら悪運と悪縁があるようだ…」
「…え?」
「いや、なんでもない!」
「ほら、早く行け!」
「そんな急かさなくても…」
「2人とも!」
「!」
「…元気でな!」
「「…はい!」」
もし、師匠に会えてなかったら…
この後の人生はどう変わっていたのかな…?
「ありがとうイカロス」
「ああ」
「またどこかで逢おう!」
…よし、ひと段落ついたな。
じゃあ次は…
…魔法‼︎




