おーくたんとようじょさん にぃのさん
「おーくたんおーくたん、こちらにきてきて」
「はいはい、なんでしょうか。ようじょさん」
幼い娘と豚の様な顔をした男は一枚の紙を間に挟み、向かい合っていた。
「おーくたん、これはもんだいです」
「おお、大変な問題ですね。ところでようじょさん、いったいどんな問題なんでしょうか」
頭を突きあわせ紙を覗き込む二人。
「だいもんだいです。おーくたん、まんなかのおこってるこが、あばれてるの。あかおにさんとあおおにさんとくろおにさんときいろおにさんがいます。ないてるのよ。かわいそう」
「そうですねぇ。鬼さん達は泣いてますね。真ん中のは、あー《わたなべさんとこのこども》って書いてありますね」
絵だけを見て考えたようじょさんと文字を読んで、この紙の役割を理解したおーくたん。
「わたなべさんのこどもは、どうしてあばれたのかな。みんなないてるよ」
「鬼さん達が《パーリナィ》で騒ぎすぎた様ですよ。あまりにも騒がしかったから《わたなべさん》のお子さんが懲らしめてくれたんだそうです。鬼さん達から《わたなべさんとこのお子はマジパネェから鬼系は近づくなよし》と注意喚起の回覧板ですね、これ」
「そうなんだー。まわりにめいわくかけるなんておにさんたちも、まだまだこどもね」
ようじょさんは右手を自らの頬にあてると、ほぅと息を吐いて見せた。
おーくたんは、ようじょさんを温かく見つめている。
よくわからない組織をつかって、この鬼さんこちらわたなべのいない方へ、の回覧板は回っていくのだった。