第8話〜俺の使い魔はオナベ!?〜
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「こ、ここはどこだろう。真っ黒だ。ん、何かいるのか?」
体を動かそうとしても動かない。何かに縛り付けられてるみたいな感覚だ。
「汝か、我の主は。」
ん?言ってる事はかっこいいんだけど声が高いぞ?悪魔らしくない女の声が聞こえる。
「ここに契約しよう。我が貴様の使い魔だ。」
「待って。その声でそんな事言わないで。普通低いでしょ?なんで高いの?」
「実は我、オナベです♡」
衝撃の事実! 俺の使い魔になろうとしてる悪魔はオナベ!!
「俺はかっよくて強い、かつ仲良くなれる悪魔と契約したいんですが。」
「そんな贅沢言うでない。我は元女だが今は男だ!」
「そんな断言どうでもいいから! どちらかと言うと女でいて欲しいから!」
何言ってんだ俺。
「しょうがない。我と……私と契約を結びたければ私とキスするお。」
「うん、女になってもらって正解だった。」
周りが明るくなり、悪魔が姿を現す。なんかかっこいい悪魔の着ぐるみみたいなの置いてあるけどまさかあれの中に入って「悪魔〜」とか言わないよね? あれで「オナベです♡」はないよね?
悪魔の姿は赤色の長い髪に髪の色に合った赤い瞳。もちろん顔は整っている。そしてでっかい胸。服装は赤い着物っぽいのを着ている。この世界にも着物なんてあったんだ。
こいつは人生の勝ち組なのにどうして男になろうと思ったのだろう。全ての女に喧嘩でも売るつもりだったのか?
「ファーストキスはする相手を心に決めていたんだけどな。」
それはもちろん来桜である。
「誰も口にとは言ってないお〜。手の甲でいいから早くするお。」
なんだ、口じゃないのか。こんな美人とできるなら嬉しいけど来桜を裏切れないよな。約束はしてないけど。
しかし着物姿で「だお」は違和感しかないのだが……。
「キスすればいいんだろ。」
俺は悪魔の手の甲にキスをした。
「これで契約完了だお。私の名前は炎嚇だお。炎に威嚇の嚇と書いて炎嚇だお。怒ったら世界が炎で包まれるお。」
「だおで包み込まれたら怖いな。」
こうして俺は炎嚇と契約を交わした。
…………………………
その頃来桜も暗闇の中にいた。
「君かな?僕と契約したい猫さんは?」
なんとも可愛らしい声が暗闇の中で響く。
「あ、猫耳と尻尾のことですね? 私は元々この世界の者じゃなかったんですけど、この世界に召喚されてこの耳も尻尾もはえていたという事なんですよ。」
「ふむふむ。君の事を少しでも知れて嬉しいよ。それじゃぁお互いご対面と行こうか。僕は君が想像した姿だ。気に入ってもらえたら嬉しいよ。」
そして周りが明るくなる。
来桜の目の前に姿を現したのは小熊だった。すごくモフモフしていて、抱いて寝たらいい夢が見れそうなモフモフだ。
「僕の名前はチャチャ。僕にキスして契約完了だよ。」
チャチャと名乗る小熊が来桜にキスを要求する。
「キスしていいの!?」
「いつでもどうぞ。」
来桜はチャチャの額にキスする。猫耳の美女が小さな小熊にキスするというなんとも可愛らしい光景だ。
「私は来桜。これからよろしくね、チャチャ♪」
「こちらこそよろしくね、来桜♪」
……………………
俺と来桜が目を覚ましたのは同じタイミングだった。
「契約が完了したようですな。」
王がそう告げる。
手に握られている魔禁石は光っていた。俺のは赤く、来桜のは茶色に。
「魔禁石に魔力を送ってみてください。」
俺と来桜は言われるがまま魔禁石に魔力を送った。
すると魔禁石が白く光り輝き……
「主〜。呼ぶの速すぎだお。それとも私に会いたくなったお?」
「さっきまでオナベ気取ってたやつが何言ってやがる。」
炎嚇が出てきた。
俺達がそんな会話をしていると王が口を開く。
「それが悪魔と契約できる禁忌の石。魔禁石の力です。」
なるほど。魔禁石の名前の由来か。禁忌とか細かい事は気にしないでおこう。
「そういえば言い忘れていましたが、神の紋章を持つ者は魔法を詠唱無しで使えますよ。」
「はっ!まじで!って痛!」
王がいきなり俺達が頑張ってきた詠唱を拒否して来たので驚きの声をあげた。
それと同時にあの時の頭痛が襲った。
「これ……強力な魔力を持った魔物が来ます!皆さん注意してください!」
来桜が痛みを堪えながら皆に注意を促す。
衛兵は戦闘態勢に入る。王の隣にいたライオンは王をシールドのようなもので包むと剣を鞘から抜き出し、その剣に魔力を込める。
「デビュー戦にはうってつけですな。派手に暴れて良いですぞ。」
王が笑みを浮かべてそんな事を言う。全くなかなかに面白くてうざい王だ。
ちょうど頭痛も引いたところだしぶちかますか。
「俺とお前のデビュー戦だ。派手に行くぞ炎嚇!」
「了解だお!」
「チャチャ、頑張ろうね。」
「OK!」
俺達は契約した悪魔と共に飛び出し、壁を突き破って魔物へ攻撃を開始した。
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