第5話〜伝説のドラゴン現る!でも優しかった!〜
ひまわりのたねのフルコースを食べた俺達は魔力を流すと歯車が回り車輪を動かすなんとも異世界らしい乗り物に乗って王都に向かっていた。
ひまわりのたねのフルコースは結構美味かった。猫になったからだろうか? いや普通の猫は食べないか。
ちなみにこの乗り物に俺達が魔力を流すと爆発するらしいので俺達はこの乗り物を運転する事はできない。
「きっと国王からも歓迎されると思います。神の紋章を持ったライオンが居なくなってから国王はドラゴンに震えていましたから。」
ニカナが運転席から俺達に告げる。王に会うのは少し緊張する。王なんて地位の人にあった事すらないのに動物の王に会うのだ。パッと見人間だろうけど。
「そういえば来桜って潰された時のこと覚えてる?」
「うん、覚えてるよ。正確に言えば潰されてないけどね。」
衝撃の事実!! なんと俺達は潰されてないと証言する幼なじみ現る!
「えっと、どういう事?」
「潰されると思った瞬間に来たのは潰された衝撃じゃなくて視界を遮る光だったの。そこで目覚めたらあそこにいたの。」
「俺はてっきり潰されたかと思ってビックリしたよ……。思いっきりお前の前で異世界召喚とか言って異世界転生だったらどうしようって思ってた。」
「大丈夫だよ。詳しくないけどどっちも変わらないと思うよ。」
「それが変わるんだよな。」
「何の話ですか?」
俺達が異世界に召喚された時の話をしていると、そのことを知らないニカナが聞いてきた。
これは話していいのかな?こういうのは話そうとすると頭痛とかするはずだ。辞めておこう。
そんな事を考えていると……ひどい頭痛に襲われた。
「痛った!」
「痛っ!」
どうやら来桜も頭痛に襲われたらしい。話さないといけないやつなのか。
「お、俺達実は異世界召か……痛い痛い。」
話してもダメなのか。どうなってんだよ!
そう思って頭痛に耐えているといきなり乗り物が止まる。そして頭痛が止んだ。
「くっ、何の頭痛だったんだ。ニカナもいきなり止めるな……ニカナ?」
ニカナが怯えた表情をしている。ここでドラゴンが現れるのが俺の予想!
「な、7代ドラゴンの一匹、雪炎龍です! 雪と炎を操り、いつでも季節を変えることが出来る力を持つ伝説のドラゴンです! どうしてここに!?」
予想的中! 俺は内心ドヤ顔をしながら来桜と共に乗り物から降りた。
どうやら頭痛はドラゴンなどの強い魔力を持った魔物が近くにいるのを知らせる警報のようなものだった。
「ここで殺してやる! 風神来たりて……」
俺が決意を固め、なんか凄そうな詠唱を始めるとどこからか声が聞こえてきた。それも直接頭に。
[貴様らは夏と冬、どちらが好きなの?]
その声は今にも泣き出しそうな声だった。
動物のために季節を調節してきたが、邪魔者扱いされて殺されそうになる雪炎龍の声が。
「俺はどちらかと言えば夏かな。水着の女の子とか見れるし、思い出もたくさん作れる。」
「私も夏かな。夏はお祭りとか花火とかあって楽しいから。」
俺と来桜の意見は同じ夏だ。来桜と同じキタコレ!
[なるほど。では貴様らの好きな夏にしてや……]
「待って。今の季節は春だけどちゃんと夏も冬も回ってくるよ! それに今いきなり夏にしたらみんな困るでしょ?」
「むっ。」
来桜が雪炎龍の言葉を遮って説得した。雪炎龍は少しの間何かを考えると俺達に聞いてきた。
俺個人的にはそのセリフはもうちょい後に言うべきなのだがまあ今はどうでもいい!
[では私の存在理由は……。]
「生き物に存在理由なんてねーよ。そんなんあるなら天才かイケメン・美人しかいねー世界になるだろ。」
俺が雪炎龍に言い聞かせる。俺もいいこと言えた!←小学生の脳みそ
[なるほど。では私は貴様らを襲おうとするドラゴンを止めて貴様らの役に立って見せよう。]
雪炎龍はそう言うと勝手に上空に消えていった。一瞬で自分が役立てることを考えるとは頭のいいドラゴンだ。
「だ、大丈夫ですか!?」
ニカナが心配そうな顔で聞いてくる。
「俺達ドラゴンと話せたんだよ。そしたらあいつは人間を襲う気はないとさ。」
「確かに雪炎龍は歴史上私達動物を直接襲った事は無いですね。」
「ちなみに間接的にもないよ。みんなが夏と望めば夏にしてくれる、冬と望めば冬にしてくれる。そんな優しいドラゴンだったよ。」
ニカナは俺達の言葉を信じたらしく「ではドラゴン一匹を味方につけたのですね!」とテンション高めで言っていた。
ちょっと違う気がするがまあいいだろう。
そして俺達はまた王都を目指し出発する。
「革さんと来桜さんがドラゴンと話せたのは魔力が高い魔物と動物だったからですよ。」
「ふーん。」
ニカナがそんな説明をしてくれた。俺はなんとなく流したが。
王都まではここから約5時間。それまで何もなければいいのだが。
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