第4話 比類なき勇気の騎士団
自分がこの群れの頭目に?
あり得ない。
片目と分かれたあと、白毛は思索に耽る。
自分はずっと群れの足手まといだと思っていた。
他の仲間に比べて、力が弱く、体力も劣る自分は出来損ないなのだと考えていた。
白毛は選定を突破していない―――いや、突破する力も持っていなかった。
『俺は生まれた時、母体をぶっ殺してやったんだぜ! すげーだろ!?』
幼いころ、ギザ耳が自慢気によく話していた言葉だ。
これは年上の仲間から聞いた話だが、ギザ耳を産んだ女はエルフとしては体力があり、気性も激しいものであったらしい。
彼女は生まれたばかりのギザ耳の耳に噛み付き、それを噛み千切りながら、何度も彼を殴りつけた。
しかし、ギザ耳は殴られながらも、小屋の中で尖った木片を見つけ出し、それを使って母親を刺し殺したらしい。
―――あいつは生まれながらの戦士だ、俺たちの誇りだよ―――
仲間は、そう話を締めくくったことを覚えている。
ギザ耳は強いオークだ。
豪胆で大胆不敵、やや思慮に欠ける部分はあるが不屈の心を持った戦士。
そして、自分のような出来損ないを親友と呼ぶ、ちょっとした変わり者でもある。
「おい白毛! 遅いじゃねーか、探したんだぞ!」
「うわっ」
不意に当のギザ耳から声を掛けられ、白毛は素っ頓狂な声を上げてしまう。
そんな白毛にギザ耳は訝しげな表情を浮かべて言う。
「なんかお前、俺が声を掛けるたびに驚いてんな。
疚しいことでもあんのか?」
「お前がいつも唐突なんだよ………」
白毛が憮然とした表情で文句を言うも、ギザ耳は気にした様子もなくウキウキと声を掛ける。
「そんなことより早く宴会に混じれよ! 宴もたけなわだぜ?」
「わかった、わかった。引っ張るなって………」
ギザ耳が白毛の腕をぐいぐいと引っ張り、宴会場となっている集落の中心へと連れて行く。
宴会場には大きな焚き火が一つ焚かれており、その周りを円陣で囲むようにオークたちが座りこんで、ガヤガヤと騒いでいた。
ギザ耳は、それに近づくと大声で白毛の来訪を伝える。
「よう! 白毛の奴を連れてきたぜ!」
「ははは………連れてこられたよ」
ギザ耳に腕を掴まれたまま、白毛は仲間たちへ苦笑したところ、オークたちは立ち上がり、白毛の周りへと集まってきた。
「おう! 今日の英雄がご到着だ!」
「待ってたんだぜ! 白毛!」
「英雄って………俺が?」
思わぬ言葉に白毛がやや困惑の表情を浮かべると、オークの中の一匹―――顎が割れた巨漢のオークが白毛の肩を組みつつ陽気に話し出す。
「そりゃそうさ! 今日の狩りで一番厄介なのを仕留めたのは白毛だ!
あの人間はやばかったからな! お前がいなけりゃ、もっと大勢が死んでたぜ!?」
顎の割れたオーク―――顎割が白毛を褒め称える。
それを受けて、白毛ははにかみながら
「いや………あの人間を仕留めたのはギザ耳だし、俺は別に……」
と呟くが、顎割は更にまくし立てるように言葉を続けた。
「謙遜するなよ、ギザ耳もすごかったが、お前もすごかった!
おい、今日の主役を案内しろ、白毛の為に肉の一番いいところ、取っておいたんだからな」
顎割は白毛よりもやや年上であるが、どこか控えめな所のある白毛を気に掛け、何かと声を掛ける陽気なオークだ。
彼は白毛やギザ耳など、群れの若いオークたちの兄貴分としていつも世話を焼いていた。
「ほら、来いよ白毛」
顎割に促され、ギザ耳が白毛の手を引く。
白毛が仲間たちに称えられているのを見て、ギザ耳もうれしそうな笑顔を浮かべていた。
「こ………困ったな」
白毛ははにかみながらも、案内されるがまま用意された席に座り込む。
白毛の席の前には、今日の狩りで捕まえた馬の肉が酒と共に置かれていた。
白毛はその肉を掴むと、そっと口に運び咀嚼する。
「お、美味しい………?」
「はっはっは、そうじゃろ?
時間をかけてよく煮込み、旨みを肉に染み込ませたんじゃ。
それにホレ、肉が溶けるように柔らかいからワシでも食える」
感嘆の声を上げる白毛に、歯が抜け落ちた年寄りのオークがカラカラを笑いながら答える。白毛は感動した様子でそのオークへ賛辞を送った。
「本当に美味しいよ、歯抜の爺さん。こんな旨いもの食べたことがない」
「白毛、お主は味がわかるようで嬉しいわい。
この群れの馬鹿舌共は、塩辛ければ旨いと勘違いしておる。飯の作り甲斐がないったらもう………」
「ははは………」
白毛の惜しみない賛辞を受け、年寄りのオークは目を細める。
彼の名は歯抜。
この群れで最も高齢のオークであり、狩りなどに出ることは出来ないが、食料の備蓄や仲間たちの健康状況、幼体のオークたちの生育状況など、群れの管理を一手に引き受け、片目からも頼りにされる相談役であった。
「この馬肉の煮込みはなかなか力作なんじゃ、厳選したヤマニンニクの風味を閉じ込め、狩りで手に入れた酒で味を調え、更に―――」
「まーた歯抜ジジイの薀蓄が始まったよ………白毛、適当に聞き流しとけ」
気分のいい様子で調理方法を語り始めた歯抜に水を差すように、一匹のオークから横から口を挟む。
「なんじゃ牙折! お前は生意気ばかりを言って可愛くないのう!」
「年寄りの話は、長い癖に得るモンがねぇんだよ」
「もういい、お前は食うな!」
「まあまあ、歯抜の爺さん落ち着いて………牙折もそんなこと言うなよ」
「相変わらずお人よしだな、お前は」
興奮した歯抜をなだめつつ、白毛が憎まれ口を叩いたオーク―――牙折に苦言を呈するが、当の牙折は他人事のように気怠い様子で鷹揚に頷くのみだ。
「ほら鼻欠、例のアレやってくれよ!」
「任せとけ!」
群れで一番ひょうきんな鼻欠が、焚火の前で踊り始める。
その踊りはへんてこな物で、思わず白毛も笑ってしまう。
がはは、というオークたちの笑い声が響きわたるなか、白毛は思う。
俺は、この群れが好きなのだ。
冷酷で、情に薄く、弱い固体はすぐに切り捨てられる―――それが一般的なオークという種族であるとされている。
なのにこの群れは、虚弱で、外見上は異物でさえあるアルビノの自分を自然と受け入れてくれた。
困っている時、当然のように助けてくれた。
そして今も、俺をこんなに褒め称えてくれている。
彼らには感謝してもしたりない。
『お前、この群れを束ねるつもりはないか?』
片目に言われた言葉。
あの時はありえないと思っていたが………自分のような者が微力でも群れに貢献できるのならば、受けてみてもいいかもしれない………。
宴会の喧騒の中、白毛はそんなことを思うのだった。
◇
「団長! どういうことですか!?」
早朝の朝靄の中、凛とした声が響き渡る。
「………やっぱり来たか」
ブラウンは罰が悪そうに声の主へ眼を向ける。
そこにはヴァイスが納得のいかないような表情でブラウンを睨むように見つめていた。
ブラウンは深くため息をつく。
まあ、こうなるだろうと予想はしていたのだ。
ここは、王都の城壁付近に所在する『比類なき勇気の騎士団』の宿営地である。
王国からオーク討伐の勅命を受けたブラウンは、騎士団の幹部であるチェスナット、ブルーと共に遠征へ向けて団員の編成を行っている所であった。
「何がどういうことなんだ、ヴァイス?」
「今回の遠征、参加名簿に私の名前が入っておりません。
まさか私に留守番をしていろと言うのですか!?」
興奮したようなヴァイスの言葉に、ブラウンは肩を竦めて答える。
「その通り。今回の遠征、お前は留守番だ、ヴァイス」
「な、何故ですか………」
「なぜって………そりゃあ、お前………」
ブラウンがやや言いよどむ。
別に紳士を気取るつもりは無いが、どこまでも真っ直ぐなヴァイスに対して、性に関わる言葉を使うのは、どうも躊躇ってしまうのだ。
「団長、私の方からお話します」
「チェスナット………?」
そんなブラウンの態度に気付いたのか、傍らにいた上品な佇まいの栗毛の騎士―――チェスナットが口を開く。
「ヴァイス殿、我々の今回の任務はオーク族の討伐です、知っていますね?」
「無論、承知しています」
「それではヴァイス殿、オーク族の生態については理解していますか?」
「団長から聞いています。
オーク族は種族的に巨漢であり、性質は獰猛で残忍。
まして今回討伐対象であるオークはその規模、拠点、武装状況などが全て不明であり、危険な遠征となると………でも、だからこそ私も同行させるべきではないですか!?」
「確かに、あなたは若いながらも剣術の腕は一流、部隊長としても聡明で優秀です。
あなたの不参加は、騎士団にとって大きな痛手となるでしょう」
「ならば………何故………?」
チェスナットは一つ咳払いをして、言葉を選びながらヴァイスに言う。
「それでは、オーク族の繁殖方法についても聞いているでしょう? 今回あなたに留守番をしてもらうというのは………まあ、そういう訳です」
「オーク族の繁殖方法? そんな話は何も聞いていませんが………?」
「え?」
チェスナットの言葉にヴァイスがキョトンとした表情で答える。
「団長………肝心なことを伝えていないのですか?」
チェスナットがブラウンへジロリとした視線を向けると、ブラウンは明後日の方向へ眼を向けつつ答える。
「………だって、なんか言いづらいじゃん?」
「じゃん? じゃねぇよ、全く………」
ブラウンの言葉を受けて、もう一方の傍らにいた青髪のやや粗暴な様相を帯びた騎士―――ブルーが口を開く。
「いいかヴァイス、こいつらはハッキリ言わねぇから俺が言ってやる。
オーク族―――奴らは種族的に雄しか生まれねぇ。
奴らが子孫を増やすためには、他種族の雌が必要になるんだ」
「他種族の………雌?」
「そうだ、オークに子種をぶちこまれると、どんな動物でもオークを孕んじまう。
豚でも、馬でも………人間でもな」
「な………?」
ブルーの言葉を受けてヴァイスが絶句する。
(くそ、俺だってこいつにこんな事言いたくねぇんだぞ)
傍らで「いいぞ、その調子だ」等と忌々しいエールを送るブラウンを睨みつつ、ブルーは言葉を続ける。
「オークってのは繁殖に対しても貪欲な種族でな、雌であればどんな動物でも片っ端から攫って交尾………いや、強姦する」
「ご、強姦………? それでは壊滅したというエルフの集落は………」
「ああ、恐らく集落の女が攫われ尽くして、今も慰みものにされているんだろう」
「慰み…もの……」
呟くようにそう言って、ヴァイスは俯いてしまう。
その表情は伺うことが出来ない。
「ヴァイス殿、お分かりでしょう? 団長は貴女をそんな場所へ連れていきたくないのですよ、今回は私たちに任せて、留守番をしていてください」
最後にチェスナットがそう言葉をまとめるが、ヴァイスは俯いたまま何も答えない。
あまりの現実に言葉を失ってしまったのだろうか? 何にしてもこれで彼女を遠征に連れて行かずにすみそうである。
「これでいいのか? 団長」
「年若い彼女に、こんな話をするのは不本意なのですよ?」
「ああ……恩に切るぞ」
ヴァイスに聞こえないよう、騎士団の幹部3人がこそこそと話していると、不意にヴァイスが俯いたまま声を発する。
「許せない………」
「へっ?」
ヴァイスがキッと顔を上げる。
「女性を攫って慰みものにする等という狼藉。
騎士として………いや1人の人間として見過ごすことは出来ません!
団長! 絶対に私を連れて行ってください!」
「え、そうなっちゃうの!?」
ヴァイスの瑠璃色の瞳が義憤に燃えている。
この女騎士はこうなってしまうと、テコでも動かないことをブラウンは知っていた。
「お、おいヴァイス、俺の話を聞いていたか!? 奴らは雌であればどんな動物とだって交尾する―――お前だって例外じゃ無いんだぞ!?」
「男性であっても命がけなのは一緒でしょう? 別に私だけが危険という訳ではない」
「ま、まあ、そうなんだけどよ………」
ヴァイスの反論に今度はブルーが口ごもる。
確かに彼女の言う通りで、男であっても命がけであることは変わらない、オーク族は雄であれば躊躇うことなく殺す。
彼らにとって性別とは、繁殖対象であるか殺戮対象であるかの違いでしかないのだ。
「騎士道精神は人一倍、正義感は10倍か………仕方ないな」
ブラウンはあきらめたように息を吐く。
「わかったよヴァイス、お前も連れて行こう。
ただし今回お前は拠点の防衛、守りを中心にやってもらうからな」
ブラウンの言葉にヴァイスはうれしそうな表情を浮かべるが、すぐに少し申し訳なさそうな色を混じらせる。
「団長………ありがとうございます。その………我侭を言ってすいません………」
「そんな殊勝な言葉を吐くなら、最初っから言うなっつーの」
少し申し訳なさそうな態度のヴァイスを尻目に、ブラウンは自分がほっとしていることに気付いていた。
戦闘能力に優れ、戦いの際は先鋒と務める『特攻部隊』部隊長、ブルー・アスール。
諜報能力と汎用性に秀で、行動が多岐に渡る『遊撃部隊』部隊長、ヴァイス・ゴルトー。
支援能力が高く、後方支援、破壊活動等を行う『工兵部隊』部隊長、チェスナット・マロン。
「比類なき勇気の騎士団」はこの3名を中心にこれまで団員の編成を組んでいた。
確かにこの3人の内、1人でも欠ければ部隊の運営が厄介な物となるのは事実である。
ヴァイスもそのことを知っているからこそ、ここまで強固に参加したがるのだろう。
「よし、話は決まった。
明日には王都を発つぞ、装備、兵糧の確認と補充を急げ!」
ブラウンは手をパンパンと鳴らしながら、団員たちへ激を飛ばす。
事は一刻を争うのだ。
「おいヴァイス、行くぜ?」
ブルーが城壁の外、はるか彼方を見つめるヴァイスに気付き声を掛けるが、彼女は厳しい目付きで南西の方向に目を向けたまま答えない。
(待っていろオーク共、貴様らを一匹残らず殲滅してやる!)
そんな思いを胸に、女騎士は決意を固めるのだった。
登場人物を一挙に出してしまったので、設定なども含めて簡単にまとめておきます。
『オーク族』
王都からはるか南西に位置する、名も無き広大な森に集落を構えるオークの群れ。
森に散在していたエルフの集落を蹂躙、何世代も交配を続けたことにより、通常のオークを遥かに超えた高度な知能を持つ。
群れの総数は200匹を超えており、これは史上例のない大規模な群れである。
周辺のエルフの集落を全て壊滅に追い込み、知的種族の雌が補充できなくなってしまったため、エルフ族の次に知能が高く、数が多いとされる『人間族』に目をつけ、人間の村を探している。
(主要なオーク)
1 白毛 年齢7歳(人間年齢20歳程度)
本編の主人公(1)。
純白の体毛、真紅の瞳を持ったアルビノのオークで、高い知能や豊富な知識を持っており、また弓矢を使う唯一のオークでもある。
自分の母体であるエルフ―――プリムラを慕っており、劣悪な環境にある彼女のことを常に心配している。
2 ギザ耳 年齢7歳(人間年齢20歳程度)
白毛の親友。耳がギザギザに裂けている。
幼少の頃から剣術に興味を示し鍛錬を積んだ結果、群れで一番の戦士と呼ばれるまでに成長した。
やや思慮に欠ける所はあるが、不屈の闘志を持った戦士。
3 片目 年齢18歳(人間年齢54歳程度)
群れの頭目。左目が潰れており隻眼。
群れを束ねる聡明なオーク。自他ともに厳しいが、懸命な者を評価する傾向がある。
誰よりも群れを大事に思っており、和を乱す者には容赦しない。
4 頬傷 年齢14歳(人間年齢42歳程度)
群れの副頭目。右頬に大きな十字傷がある。
高い戦闘力と賢さを持った、群れの序列で第2位の位置にいるオーク。
好戦的な性格で、虚弱な白毛を見下しているところがある。
片目に対して時々不満を感じることもあるが、逆らう意思はなく、頭目として尊敬もしている。
5 鼻欠 年齢7歳(人間年齢20歳程度)
白毛の友人。鼻が欠けている。
小柄な小心者であるが、ひょうきんな性格で群れを和ませるムードメーカー。
決して賢くはないが、群れで一番舌が回る。
(その他のオーク)
1 牙折 年齢8歳(人間年齢22歳程度)
白毛の友人。牙が折れている。
オークとしては珍しい細身の体を持ち、俊敏性が高い。
怠け者で皮肉屋、憎まれ口をよく叩く。
2 顎割 年齢13歳(人間年齢38歳程度)
群れの兄貴分。顎が割れている。
仲間思いで、群れの幼体などの面倒をよく見る世話焼きのオーク。
身長が276センチメートルあり、群れで一番体格が良い。
3 歯抜 年齢32歳(人間年齢86歳程度)
群れの長老。歯があまり残っていない。
手先が器用で、群れの料理や備蓄管理などを担当する相談役。
◇
『エルフ族』
オークの群れの近辺に散在して居住していたエルフたち。
オークたちの「狩り」によって壊滅状態に追い込まれ、生き残っているのは繁殖用に監禁されている女性のエルフのみである。
1 プリムラ 56歳(人間年齢15歳程度) 女性
本編の主人公(2)
純白の髪に紅い瞳を持ったアルビノのエルフ。体が弱い。
10年ほど前にオークたちの狩りを受け、住んでいた村は壊滅、家族は皆殺しにされ、繁殖用として「家畜小屋」と呼ばれる小屋に監禁されている。
オークたちからの陵辱を受けたが、同じアルビノである白毛を産んだことにより、現在はオークたちからの交尾行動は受けていない。
息子である白毛を溺愛している。
2 菖蒲色の目をしたエルフ 78歳(人間年齢17歳程度)女性
プリムラの隣の部屋に監禁されているエルフ。
オークたちからの絶え間ない陵辱により、正気と狂気の狭間を彷徨っている。
◇
『比類なき勇気の騎士団』
人間族の国の首都である『王都』に存在する『王都騎士団連合』において『精鋭騎士団』の称号を持つ、王国有数の実力を持った騎士団。
国王からオークの群れを討伐するように指示を受け、南西の名も無き森を目指す。
総数は856名、オーク討伐の遠征へは512名を選抜した。
(主要騎士団員)
1 ヴァイス・ゴルトー 17歳 女性
本編の主人公(3)
輝くようなプラチナブロンドの髪に瑠璃色の瞳を持った、この世界では例のない女性の騎士。
騎士団の遊撃部隊長を務める。
同世代から逸脱した高い戦闘能力、高潔な精神を持っているが、やや頭が固い。
「ゴルトー家」という王国でも有数の貴族の一人娘でもあるが、現在家とはほぼ絶縁状態。
2 ブラウン・カスタード 35歳 男性
『比類なき勇気の騎士団』の団長。短い茶髪に精悍な顔立ちをした騎士。
代々、騎士の家系であるカスタード家の長男。家督を継ぎ騎士団の団長となった。
飄々とした所があり、やや悪戯っぽい側面がある。
3 ブルー・アスール 22歳 男性
騎士団の特攻部隊長を務める、青髪の燃えるような闘志を滾らせた騎士。
庶民の出身であり、元は一介の冒険者であった。
故に言動が粗雑であり、態度も粗暴なところがあるが、特に誰も咎めない。
戦闘経験という面では騎士団でも随一であり、高い戦闘力を誇る。
4 チェスナット・マロン 29歳 男性
騎士団の工兵部隊長を務める、栗色の髪をした上品な騎士。
大きな商家の息子であり、経歴に箔をつけるため騎士団に入団した。
物腰は穏やかで、言動が丁寧。丁寧すぎて時々慇懃無礼。
◇
『フール傭兵団』
大陸の海岸都市を拠点としていた傭兵組織。
団長である「英雄グレイ」を旗印として、多くの武芸者が集まっており、傭兵組織としては大陸でも最高峰の戦力を持つ。
1 グレイ・ケラブ 46歳 男性
傭兵組織『フール傭兵団』の団長を務めていた戦士。
王国に忠誠を誓わなかったことから身分は低いものの、大陸中で名を知らない者はいないとされる伝説的な戦士。
オークの襲撃により命を落とした。
2 コン・ブルスクーロ 18歳 男性
『フール傭兵団』に所属していた傭兵戦士。
オークの襲撃後、半死半生の状態で王都まで辿りつき、オークたちの襲撃について報告した。