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妹、幼馴染、二股物語

「お兄ちゃん、ホンット最っ底!」


 そう言って、妹は俺の頬を平手で叩き、俺の彼女は、部屋の隅で縮こまって泣いている。


 あーあ……(こいつ)彼女(あいつ)くらい大人しかったら、こんな修羅場にはならなかったんだろうな。


 ……っていうか、なんでこいつは俺の彼女気取りなの? おかしくね?


 男がいないなら、自分で取りに行けよ。

 得意だろ? そういうの。


 俺が脳内で激しく思考を展開していると、妹は俺のみぞうちにフックを決めてくる。


「いって……」

「話しまだ終わってないんだけど!」


 ああ……もう我慢ならねぇ。

 もっと早く俺が兄である自覚を持たせれば、こんなことにはならなかったのかもしれない。

 色々と、悔やまれることは多いが、そろそろ俺もキレるぞ?


「うっせぇなぁ……」

「は? 何逆ギレしてんの? 怒りたいのはこっち、ていうか怒ってんのはこっちなんだけど!?」

「お前、いつまでもぐちぐちぐちぐちうるせえんだよ! 俺は、お前の兄貴なんだよ! お前が彼女になることはできないし、俺には俺の恋が、人生があるんだよ! お前のせいで、いっつも彼女なくして、俺がお前から何を奪ったってんだよ!」


 俺は、唾が飛ぶくらいに、怒号と一緒に文句を妹にぶちまける。


「なにさ! 私たちが兄妹だからって、妹が兄貴を愛したらいけないの!?」

「ああ、いけないさ! 日本には、守るべき法律があって、それを守るのは日本に住む人間の義務だ!」


 やめろよ、止まれよ、俺の口、なんで止まんないんだよ!

 俺は……俺は、妹も、彼女も、どっちも愛していたじゃねえか!


「義務? ハッ、笑わせんな! 人間としての心情も読み取れねぇクズに、義務もクソもあるか!」

「ああ!? 義務が守れないなら、人間は罰を受けるべきなんだよ! 俺の自由を奪うってんなら、今すぐ俺の家から出てけよ! お前は、俺の身内でもなんでもねぇ! 今から他人だ!」


 俺は、そこまで言葉が溢れ出して、初めて気がついた。

 妹は、目尻からツー……と、一筋の涙を流している。

 そのまま、扉を開けて、どこかに消えてしまった。


 残ったこの家にいるのは、俺と、大人しい、俺の彼女だけだった。


 あぁ……なんで俺はあんなこと言ったんだよ……


 俺が、悔やみきれないほど後悔している中で、彼女は俺の直ぐ横に立って、俺に声をかけてくる。


「後悔してるなら、探してきなよ。私も手伝うからさ」


 俺は、差し伸べられた手を掴む暇もなく、勢いよく立ち上がり、家を飛び出した。

反応が良かったら、連載するかもw

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