残酷な現実
コンコン。
「真菜、起きてる?」
『…うん、なに?おかあさん』
「ご飯食べれる?今日は真菜の大好きなうどん作ったのよ。」
『…うん。少しなら』
「開けるわね」
ガチャッ。
扉を開けた先にはベットに横たわる愛する娘がいました。
あんなに健康的だった肌は青ざめ、ふっくら愛らしかった頬はこけています。
『おかあさん?』
「ううん。なんでもないのよ。さあ、食べましょう!今日はよくできたのよ」
『うん』
「真菜、おいしい?』
『うん。…あのね、おかあさん』
「なに?真菜」
『また、学校いけるよね?みんなに会えるよね?』
不安そうな真菜に、私は意地悪そうな顔をして返します。
「うーん、このままじゃ無理ね。」
『えっ?』
「最近、真菜ご飯食べてないじゃない。このままじゃ学校いけないわよ」
『うー、それは困るよ』
「なら、まずはこのうどん食べちゃいなさい。まずはそれからよ!」
『わかった。食べる。だからね、おかあさん、学校いけるよね?みんなに会えるよね?ねぇ」
一層不安そうな真菜に、私は精一杯の笑顔で返します。
「ええ、もちろんよ。ほら食べちゃいなさい」
『うん!』
真菜は一心不乱にうどんを食べています。そんな真菜をみていると胸が痛みます。
『もうお腹いっぱい。ふああ、眠くなっちゃった。おやすみなさい。おかあさん』
「ええ、おやすみなさい。真菜」
◆◆◆◆◆
あの日、小学校で真菜が倒れたあの日。
あれから、真菜は何度も倒れるようになりました。
病院に何度も連れて行きました。
原因が分からないとなると、次の病院、次の病院と連れて行きました。
小さな真菜には検査がどれだけ辛かったことでしょう。
でも、真菜は決して泣き言を私たちには言いませんでした。
しかし、現実は残酷なものです。
原因はどこにいっても不明。
日本で最高の医者といわれる方にも診てもらいましたが、それでも駄目でした。
私たちは途方にくれました。真菜が日々病室で痩せていくのを見るしかなかったのです。
そんな時、真菜が初めて我がままをいいました。
お家に帰りたいと。
私たちに真菜の小さな我がままを嫌とはいえませんでした。
私は仕事を辞め、真菜とずっとに一緒にいることにしました。
夫も仕事を辞め、今もなんとかならないかと四方八方駆け回っています。
そんな時、真菜の小学校の諏訪先生から、電話がありました。
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