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召喚言霊使いの異世界放浪記  作者: アルカナ
7/7

1ー6  出会い④

「グルァァァァァァァ」

「……ッ。今のは…」

聖霊の泉でマナ水を貰い受け、祠へと歩みを進めていた茜の耳に、獣声が届いた。

響いてくるのこの先、祠の方向。

声の主は、恐らく大型の魔獣。

魔獣が生きている中で、咆哮をあげるのは特定の場合しかない。

それは、獲物を狩る時のみ。

(咆哮、それが聞こえてきた方角、そしてタイミング……)

茜の頭の中で、それらはパズルのピースのように組み合わされ、1つの仮定を導き出す。

(恐らく、狙われているのは…人)

その仮定が頭の中に弾き出された瞬間、身体は動き始めていた。

『風よ、我が身に集いて、いと速き道を示せ』

茜の周囲に風が集まり、その身を包む。

感じる重さが遥かに軽くなり、背中からは強い風が吹きつける。

地を蹴れば、風が遥かに早く、より遠くまで茜を運ぶ。

地を蹴り、木の幹を蹴り、枝を蹴り、不自然な軌道を描く弾丸の様に、茜は道を急ぐ。


「グル、ガァァァァァァァァァ」

あと少しで、祠のある開けた場所に辿り着くという所で、咆哮が再び響いた。

募る焦りを感じながら、茜は翔る。

祠の場所に飛び出た矢先、茜は見た。

倒れ伏す少女、彼女を庇う様に立つボロボロの少年、そして彼をまさに襲わんとする巨熊。

『大地よ、我が力を糧に彼の者を護る楯を成せ--ガイアシールド』

言葉にマナを乗せ、その言葉と共に大地に触れる。

茜の見つめる先、少年と巨熊の間に土壁が湧き上がり、熊の爪撃を受け止める。

それと同時に、少年が崩れ落ちた。

茜はそれを確認すると、続けて言葉を紡ぐ。

『大地よ、我が力を糧に、彼の敵を貫く槍を成せ---ガイアランス』

土壁に攻撃を阻まれよろけたレッサーベアーの足元から無数の土槍が伸び、レッサーペアーの体を貫いた。

「ガッフッ……ガァァァ……」

断末魔を上げ、倒れ伏したレッサーベアーを一瞥し、それから少年達の下へ歩みを進める。

幸い少女は気を失っているのみ。

だが少年は、重傷だった。

「これは……急がないと不味いなぁ」

とりあえず止血をし、家へ運ぶ事にする。

『風よ、彼の者達へ集いて、大翼を成せ』

風が倒れた2人を包み、茜にも動かしやすい重さへと軽減する。

そして、茜自身にも先程の言葉を纏わせ、3人(まぁ、2人は抱えられてだが)は茜の家がある大樹へと向かった。

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