第05話 仲間
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あれから僕は、なんとか14体を倒すことができた。
やっぱり、この魔法は頭に描いた通りの数の光の弾が出現する。
でも、7個ずつ14個でも大丈夫だった。それでも、限界はあるよね。きっと。
1時間立つ前に、生き残った生徒達は全員目標を達成した。
まあ、上級生は15分もかからずに何人か抜けていったのが見えていたけど。
僕は、立っていられるのがやっとだったけど。
でも、これで長い緊張感と不安から解放されたんだと思ったら気持ちが軽くなった。
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ホライゾン校長は、皆が目標を達成したことを32人の教師から確認し、
「それでは、1週間の休日をはさんで第2期の授業を始める。じっくり休養するように」
そう言って、ホライゾン校長と32人の教師はスタスタと歩いて、エントランスホールから去っていく。
「あ、リュウ!」
リズが手を挙げてこっちに向かってかけてくる。
「あ、・・・リズ」
僕は少し、息が上がっていた。
「大丈夫?もう、終わったからさ、休もうよ」
そう言って、ゆっくりと僕とリズはエントランスホールの外へ出る。
後ろから、ウリッドとアヤメもやってきて
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「お疲れ!」
と、アヤメが言い、
「皆、クリアって事だよな」
ウリッドが言った。
皆がうらやましかった。僕は、ただ、魔法を使うだけで息が上がっているのに、
皆は疲れているけど、息は上がっていなかった。
リズはもともと、別の魔法学校にいたってことだから分かるけど。
やっぱり、それが“才能”の違いなのかな?
ところで、ジンの姿が見えない。
「あれ?ジンは?」
と、僕は皆に言うと、
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「それがさ、終わったとたんにどこかに行っちゃったんだ」
と、ウリッドが言った。
僕は、さっきの事を思い出した。
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「二度と、そんなこと言うんじゃねぇよ!」
ーーー
あの時のジン。僕はジンにとって嫌なことを言ってしまった。
ジンはウリッドも言っていたけど、悪そうな人っぽかったけど、実はそうじゃ無かった。
僕は誤解していた。話してみると結構優しい心を持ってる人なんだなって。
逆に嬉しかったような、驚いたような、不思議な気分だったけど。
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「じゃあ、皆、僕の部屋に集合する?」
と、僕は提案をする。
「うん。いいよ、どうせ、このまま放課後扱いだし」
と、リズは言った。
「さっきも言っていたけど、放課後扱いなの?まだ、午前中だよ。授業は?」
と、アヤメが言った。
「さっき、ホライゾン校長の後ろにいた教師が言っていたの。このまま自習扱いを含めて放課後扱いだって」
「そうなんだ。てっきりリズの勝手事かと」
と、リズが言ったあと、アヤメが言う。
「ひどーい!」
と、リズは言い返した。
「それにしても、リュウも無事クリアできたし、ホント皆進んで良かったよな」
と、ウリッドは言う。
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「うん。ありがとう。でも僕は、本当にクリアできないって思いこんでいたから。自分でも正直驚いてる」
と、言うと、
「でもさ。皆して先に進めたんだもん。この調子で行こうよ」
リズは僕の背中をたたき、気持ちを前へと押してくれた。
僕は、一言ジンに謝りたかったけど。今はいないから、そっとしておこう。
きっと、自分からくるよね。たぶん。
ーーーその一方でジンは・・・・・・。
学校の屋上にいた。
学校は全部で6階だて。その上が屋上だ。
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ジンは屋上の床で大の字であおむけになって空を見上げていた。
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「リュウ。お前のことも助けてやりたいけど、今のままじゃ・・・」
「ジン。まずは、自分のことを優先に考えてよ」
ーーー
「リュウ・・・・・・」と、ジンは心の中でつぶやいた。
ーーー
「お前、何言ってるんだよ!」・「二度と、そんなこと言うんじゃねぇよ!」
ーーー
「なんで、リュウに向かってあんなこと言っちまったんだろう・・・・・・俺って、、バカだよな・・・・・・」
ジンは小さな声に出して言った。
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「あら?ジン君じゃない?どうしたの。あんなことがあって緊張抜けた?」
と、レム先生が屋上にやってきた。
「あ、レム先生」
「あ、いいの。私の事は気にしないで」
「なあ、レム先生」
「何?ジン君がおとなしい感じに言うなんて珍しい!」
と、レム先生がおかしそうに言った。
「わ、悪いか?俺が、何か考え事をすることが?」
ジンはほっぺを少し赤くさせながら。
「ううん。意外だなって思っただけ。ジン君って結構前に突っ走っちゃう事とかあるし。考え事とかしそうな雰囲気でもなさそうだったから」
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そう、レム先生が言うと、ジンはゆっくりと立ちあがり、
「俺さ。リュウがせっかく心配してくれたのに、逆に怒ってしまったんだ。リュウ、自分のせいじゃないかって責めてないのか心配になって」
「・・・・・・心配になって、逆に自分から謝りに行けなくなったの?」
と、ジンが言った後、レム先生は推理をして言った。
「まあ、な」
ジンは照れながら言った。
「大丈夫よ。リュウ君は友達とか仲間とか絆とかまだ、知らないって言ってたし。リュウ君だって自分のせいだとは思っていないと思うけど?」
と、レム先生は励ますつもりで言った。けど、ジンはこう言った。
「そうかな?・・・・・・俺、リュウ見たいなさ、すっごい優しい人って今まで見てきた人達の中にはいなかったからさ。逆に一緒になにか頑張ろうって思うんだよな」
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「そうね。あの子が、自分を変えたいって思うのも分かる気がするけど」
と、レム先生が言うと、
「え、どう言う事だよ?」
と、ジンは驚いた。
「たぶん、友達とか、もう一度作ってみたいって思ったんじゃないかしら?リュウ君のお母さんから聞いたんだけど、小学校や中学校とか、まともに受けなかったけど、信用できるお母さんの友達の家庭教師に頼んだって言ってたの」
「家庭教師?・・・え。って事は、リュウは正式には小学校や中学校を卒業したわけじゃないんだ」
「まあね。一応、家庭試験で合格しているから、小学校と中学校を卒業した“形”にはなってるけどね。でも、卒業証書とか受け取っていないって言ってた」
「そうだったのか」
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「別に、自分を責めなくていいのよ。こんな事、自分の口から言いたくもないだろうし」
すると、ジンはそのまま屋上から下に降りる階段を降りようとする。
「あら、もう行くの?」
「あとさ、レム先生。あんまりさ人にいろいろと話さないほうが良いぜ。レム先生はもう少し気持ち考えた方が身のためだ」
ジンはそのまま階段をゆっくりと1段ずつ歩いて下りていく。
そして、誰もいなくなった屋上で、レム先生は、ふと青い空を見つめて
「ジン君って、あんなセリフ言うキャラだっけ?・・・・・・リュウ君と出会ってから、変わったのかもね。それにしても、言い過ぎの件。ハイハイ、気を付けますよーだ」
と、言った。
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でも、僕は、その事について、皆に話していた。
「ーーーーって訳なんだ」
と、僕は言った。小学校や中学校とか、まともに受けなかった話とか、信用できるお母さんの友達の家庭教師に頼んだことも。
「じゃあ、リュウはその家庭教師から、いろんな事学んでたんだ」
と、リズは言った。
「なるほど、だから漢字とか読めるんだね」
「ウリッド!その言い方、バカにしてる」
と、アヤメが言った。
「あ、リュウ。ゴメン」
「あ、全然気にしないでいいよ。学校に言っていないって言ったら、誰だって、そう思うから」
と、僕はウリッドに言った。
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「それにしてもさ、これから俺たちどうなるんだ?」
と、ウリッドがイスに腰かけ、両手を合わせ、深刻な顔をして言った。
「確かに、私たちも、こうして仲良くしていられないのかもね」
アヤメが言うと、
「ちょっと!皆!・・・まさか、バラバラになるつもりなの?」
と、リズが言う。
「誰も‘今すぐ’って言ってないでしょ!・・・・・・もし、あの何か企んでいる校長が、私たちをバラバラにしようと計画しているって可能性も考えられる」
アヤメは言った。
「そうだよな。俺たちだけだもんな。あの遊戯でも、皆自分のことだけしか考えてなさそうだったもんな」
ウリッドが言うと、
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「ねえ、どうしちゃったの、2人とも?・・・・・・おかしいよ!暗い顔しちゃってさ」
リズは言うと、僕は、
「・・・・ウリッド、アヤメ、そしてリズ」
3人は何?って顔で僕を見る。
「3人は、僕と・・・その、友達って感じで向き合ってるの?それとも、ただのクラスメイトって感じなの?」
「リュウ?どうしたの?」
と、アヤメが言うと
「急に、そんなこと聞き出してさ」
ウリッドは言った。
すると、僕の寮の部屋にバンっと扉を開けるジン。
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「リュウ、さっきは言いすぎた。・・・・・・お前が抱えている悩み、俺たちを信じて打ち明けてほしい!」
「?ジン、何、急に言いだすのかと思えば、突然」
ジンが言った後、リズが言った。
「・・・俺、本当はさ、新たな友達とか、仲間とか、作るの、怖かったんだ。ウリッドだけが頼りだったんだけど、2人だけでは勝てないって、そう思って、魔法学校に入学したら、いろんな人達と仲良くなれるだろうなって。でも、俺は今の方針の状況を見て思ったんだ」
「な・・・何を?」
僕はジンが言った後に言った。
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「たぶん、ホームン‘さん’はさ、バトルロワイヤル方針に書きかえられても、仲間や絆を失うなって言いたかったんじゃないかって」
ジンは言った。
「ジン。・・・・・・じゃあ、ジンは僕のことどう思ってる?」
「リュウ」
リズは言った。
「俺は、お前に出会って良かったって思う。俺は、今までウリッドの2人で十分だと思ってたんだ」
「え?ジン、そう思ってたの!?」
ウリッドは始めて聞いたのか、すごく驚いていた。
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「あ、いや、わりぃ」
「まあ、いいけどさ・・・・・・過ぎた事だし」
ジンが言った後、ウリッドが言った。
「でも、どうして急に?リュウに出会ったからじゃないでしょ?」
アヤメが言った。
「いや、俺たち、リュウに話しかけるように言われた“謎の声”があっただろう」
「うん」
ジンが言った後、ウリッド、アヤメが声を揃え、顔をうなずき、言った。
「僕に話しかければ先が進むとかなんとかってセリフの事?」
「ああ。・・・俺、ずっと考えてたんだけど、その“謎の声”が聞こえいたんだけど、実はこの学校に入学しようと思った時からだったんだ」
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「なんて言われたんだ?」
ジンが言った後、ウリッドが言った。
「『仲間は多くいればいいほど、自分は強くなれる』とか『強気でいたら後で後悔する』とか、いろいろ」
「一体さ、その“謎の声”って一体何者?」
リズが言うと
「あ、そっか。リズはその声を聞いたわけじゃないんだよね」
アヤメが言った。
「うん。私はだた、隣がリュウで、別に悪い人じゃないなって思えたからだけど?」
「意外と単純!クスス」
ウリッドが小声で笑う。
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「ウリッド!!なぜ、笑う!?いけない?」
と、リズが怒った。
「あ、いや。ゴメン!だって、結構単純なんだもんな」
必死にウリッドは言う。
「それって、僕がそういう感じってことだよね?」
僕は、その時は、まだ思ってもいなかったけど、そんなこと言わけれも、別に傷つく必要なかったよね。
「あ、いや。ゴメン!別にリュウの悪口を・・・・・・」
ウリッドはまた、必死になって言う。
「ウリッド、2回もおんなじこと言ってる!」
「おいおい。なんか会話の内容がずれてるぞ!」
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「あの・・・話。ジンが言ってた、僕の心の打ち明けの話に戻しても良い?・・・・・・なんか、話がすごくずれっていってる気が・・・・・・」
「・・・・・・そうね。なんか何言ってるのか分からないもの」
「じゃあ、一度整理してみないか?」
ウリッドは提案すると、
リズとジンとアヤメの3人は声を揃えて
「しなくていい!!」
と言った。
「あ、そお?」
ウリッドは小さな声で言った。
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「前にも話したことあるけど、僕は小学校低学年の時から周りから避けられていた。でも、自分でも何がいけないのか良く分かってなくて・・・・・・」
と、僕は言うと
「心当たりとか無いんだよね」
と、リズは言ったから僕は、横に首を振る。
「そっか・・・・・・」
リズが言うとアヤメは
「仲間とか友達とかいなかった訳なんだね」
「うん。だから友達とか仲間とか全然分からないんだよね」
「私たちと一緒にいると、やっぱり気まずい?」
と、リズが心配そうに言った。
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「ううん。こうして皆と話していると、楽しく感じるんだ。たぶん、これが“友達”っていう力なんだろうね」
僕は、右手を自分の心臓にある部分に合わせて言った。
「私は、リュウと一緒で良いと思う、ってか一緒じゃなきゃダメ!」
アヤメが椅子から立ちあがって僕に向かって言った。
「?、?。」
僕は驚く。
「どうしたの急に?」
リズも一緒に驚く。
「私さ、リュウに学校をやめようって話ししたことあったよね」
「あ、うん。あったね。そんな話」
僕は苦笑いで答えた。
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「!ちょっと2人してそんなこと話しをしてたの」
リズは驚く。
そうだよね。アヤメとしかそんな話してなかったから。
「でも、残る気になったんだよね?」
ウリッドは言った。
「うん。やっぱりホームンさんが僕のことを信じてくれたから、僕も信じ返したいって思ったんだ。やっぱり逃げてきた分、自分も逃げないでやってみようと思う」
「うん。その気持ち、大事だと思う!」
リズは笑顔で言ってくれた。
なんか、その笑顔が励みになった。
「・・・・・・ってか、ジン。さっきから黙ってどうしたの?話しふった本人が」
アヤメは鋭いところを突く。
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「あ、いや。これから先、リュウを狙ってくる奴が増えてくるんだろう?」
「へえ、ジンは守る気ないんだ」
ウリッドは言った。
「そんなこと言ってないだろう!」
ジンは怒る。そして、続けてアヤメが
「リュウだけじゃないと思うよ。私たちだって特別な魔法使いなんだから!」
「確かに!」
ジンは驚いて言った。
「絶対ジン。忘れてたな!」
ウリッドが言った。
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「一緒に協力してくれる」
僕は皆に頼んだ。
皆は、当然!って顔をして皆で右手を出し合い、重ねて。
そして、皆笑顔で誓った。
絶対、『生き残ろう』って。
僕は、初めてだったから、あんまりうまく説明できないけど。
友達とか仲間とか、生きていくうえで必要なんだね。
僕は泣きたかった。こんな弱い自分なのに。
上手く自分が生まれ変わる自身も、だんだん無くなってきているのに。
この時間だけが、すごくゆっくり進んでいるように感じた。
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そんな日の夕方。
ウリッドは図書室にいたらしく、僕も偶然、図書室に向かおうとしていた。
すると、一瞬だけど、紫の帽子とマントを覆った人にすれ違ったように思えた。
僕はすぐに後ろを振り返るけれど、誰もいない。静まり返った廊下。
僕は図書室に向かう。
僕は、気分転換にミステリー小説の本を借りようと思った。
すると、ウリッドから声をかけて
「あ、リュウ。本借りに来たのか?」
「あ、うん。ちょっと気分転換に」
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「そっか。俺は宿題終わらせたくってさ」
「ああ、昨日の薬草の授業の宿題だよね」
「!もしかして、リュウ。終わったのか?」
「え、あ、うん。昨日のうちに終わらせておいたけど?」
すると、ウリッドは目をキラキラして僕に言った。
「なあ、宿題見せてくれよ!」
「え?宿題って人に見せるものなの?」
「ああ。リュウは真面目だな」
「え?」
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「あ、気にしないで。別に人の宿題みようとかしないし。ってか、1人1人やる内容違うし」
「あはは。確かにそうだったね」
「それにしてもさ、このペンテン草って薬草はさ、本当に毒に効くのか?」
ウリッドは僕に聞いてきたから、僕は知っている範囲で答えた。
「確か、ペンテン草は葉の部分は毒を持っているけど、茎なら解毒になるって先生が言っていたけど?」
「何!そうか。じゃあ、ここの部分は、こうだな」
僕は心の中で、ウリッドも授業まともに聞いてなかったんだ。って思った。
すると、ウリッドは書くのをやめ、
「リュウもさ、疲れただろうからさ、早めに帰りなよ!お前が一緒にいるとさ、自分で考えられなくなっちゃうし」
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「え、うん。でも・・・・・・」
「大丈夫。あさってには提出、出来るって!」
ウリッドは笑顔で言った。僕はその笑顔を信じてしまった。
ううん。僕たちは友達であり、仲間であるから信じた。
だから、僕は間違っていない。そう。あのときまでは。
僕は、3冊くらい選び、本を借りる。
先生がいなくても、自動的に管理しているなんかすごいシステム。
コンピュータって魔法みたいにすごい道具なんだね。
まあ、コンピュータは相当高級品みたいだけど。
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「じゃあね」
僕はウリッドに手を振って図書室を後にする。
すると、ウリッドの表情が変わり、
「そこにいるんだろう?ユージン」
ウリッドは何も振り返らずに言った。
すると、本棚の間から15歳くらいの男の子が出てきた。
紫の帽子とマントを覆った人が。
「・・・ケケケ。どうして俺の存在に気付いた?」
するとウリッドは目つきを怖い表情に変えて
「お前、まだ、あいつの言いなりになっているのか?」
「あいつって?」
ユージンはとぼけた様子で言った。
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「とぼけるなよ!俺は見たんだ。お前がホライゾン校長と何か企んでいることを!」
ウリッドは朝の集まる前に、偶然にも目撃していた。
「ケッ、見られたくないところを見られたか・・・・・・」
「お前、なんで変わったんだよ急に。俺たちの親父が亡くなってから。・・・お前は急に人を殺す魔法を学びたいって言いだしたし・・・・・・」
「うるせえな!あんなクソ親父。二度と思い出したくねぇ!」
「・・・!クソ親父だと!」
ウリッドの右手、力強く握りしめる。
ウリッドは自分が小さかった頃。その親父に育てられた事を頭の中に思い出していた。
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「あんな弱っちぃ奴なんか、俺たちの師匠でもない。本当に俺が手にしたいのは、人を操れる力だ!」
すると、ユージンという男は、札を1枚取り出し、それをびりびりに細かく破いていく。
すると、ユージンは
「我の前に姿を現せ、無限に噛みつきる暗黒の狼よ!いでよ≪ウルフ≫!」
そう言うと、狼のような魔物を5体出現させた。
体全体が真っ黒く、目の瞳は赤い。そして、爪は銀色の狼を。
ウリッドはその姿に驚き、
「・・・お前、いつの間に魔物召還術師に!?」
ウリッドが言うと、
「俺は自分の力で手に入れたんだ。だれにも頼らず、弱い奴をけなしてでもな!」
ユージンは力強く言った。
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「まずは、お前から死んでもらおうか!それからあのリュウって奴も生け贄の餌食にしてやるよ」
ユージンはニヤニヤとした顔つきで言った。
「や、やめろ!」
ウリッドは必死に言う。
「ああ?」
「リュウには手を出すな!!」
「お前、バカっじゃねえの?あんな奴に協力してなんになるって言うんだ?」
すると、ウリッドは一間間を開けて、
「お前なんかに、リュウをバカにする権利は無い!」
そして、ウリッドは両手に赤い炎を巨大化し、
「いいぜ、真っ向から受けて立とうじゃないか!」
ウリッドは言うと、ユージンはウルフを5体全てをたくみに操り、ウリッドにダメージを負わせていく。
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ウリッドが避けたところで、別なウルフが足をかみつき、足のウルフにウリッドが攻撃を当てようとするとウルフはその場から引き、ウリッドは自分でダメージを喰らってしまう。
「・・・・っく!」
「あははは、間抜けじゃん!自分でくらってやがる!!」
ユージンは高笑いでウリッドをバカにする。
ウリッドは心の中で
『ヤバい、ユージンが俺を追い詰めているなんて。あんなまともに魔物を倒せなかったユージンが、一体どうして?』
そう思っていると、ユージンは5体のウルフをユージンの目の前に横一列に並べさせ、
「一斉にウリッドを噛み殺せ!」
ウルフはウリッドに向かって突進していくる。
人間が走るよりも、素早い動きで。
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そんな戦いが起きているのを全く知らない僕は、急いで校舎を出ようとしていた。
自分のげた箱から自分のそとばきに履き替えて、外に出たところだった。
すると、
ガッシャーン!
と大きな音とともに、3階にある図書室のとある窓ガラスが割れ、黒い炎がそこから放射された。
「え、な、何!?」
僕はその場で立ち止まった。
すると、僕は一瞬だけど煙の中に人がいるのを。
あれって、もしかしてウリッド!?
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どうしよう。僕はどうしたらいい?
もう、日が暮れ始め、先生たちはほとんど帰って、いないのに。
どうしよう。どうしよう。
僕は、前に魔術の授業で先生から教わったことを思い出した。
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魔法書にはまだ真っ白です。
何も書かれていません。
自分でその1ページ1ページ毎に魔法を刻んでいくのです。
もし、困ったことがあたら、その魔法書にお願いしてみるのも良いでしょう
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結構、皆朝一番の授業で眠たくて居眠り者が多かったあの授業。
僕は、ちゃんと聞いていた。
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もう、僕にはこれしかない。ウリッドを助ける方法が。
お願い。僕に、僕にウリッドを助ける力を下さい!
お願いします。自分には助ける力が無いのは分かってる。
でも、このままだと、せっかく皆で誓った‘約束’が守れなくなる。
お願い、僕の魔法書!答えて。
キラーン!
僕の魔法書が光り出し、【プリズメリウム】という名前が載っているページの次のページに新たな名前が出現した。
【フォルトーン】と。
僕は、もう、これにかけるしかなかった。
自分の魔法書を信じて・・・。
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僕は精一杯力を込めて呪文を唱える
【フォルトーン】
すると、光が雲のような形になっていき、白い光を放ちながら、僕の目の前を漂う。
「光の雲?・・・・・・あ、お願い。ウリッドを助けて」
僕がそう言うと、その光の雲はウリッドの下に配置し、ウリッドをクッションのように優しく乗せてくれた。
そして、ウリッドをそっと地面の上に移動すると、フワフワと消えていった。
僕は、走ってウリッドのそばに駆け寄る。
すると、ウリッドは力を振り絞って口を開き、
「俺の、事は、構うな!・・・早く、逃、げ、ろ!」
ウリッドは全身が大けがを負っている。
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「ちょっと、ひどい怪我だよ。一体、何があったの?」
僕は言うと、
「ケケケ!探す手間が省けたぜ!」
なにか不気味な声がする。
すると、3階の図書室から窓の枠を片手で押え、そのまま1階に何も骨折もせず、無事に地面に着地する。
「え?・・・ちょっと、3階から飛び降りた?」
あれ、あの格好どこかで・・・?
「ウリッドはもう、動けないだろう!次はお前だリュウ。ウルフ、あいつを噛み殺せ!」
僕は、無防備だった。
すると、ウリッドは自分の最期の力を振り絞って、
「リュウ、ありがとな!」
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そう言って、僕の立てとなったウリッド。
僕は、言葉が出なかった。
ウリッドは5体のウルフの攻撃を直接受けた。
ウリッドはそのまま倒れる。
「ウリッド!!」
僕は、名前を呼ぶけれど、返事がしない。
なんで、なんで、皆、僕の周りから何が何でも奪っていくの・・・・・・。
恐怖の時間は14から13に時を進む―――。
To Be Continued.....
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