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クズが軽蔑する話

 謎の声の言い草から、頭の中がパンクするほど膨大な情報が送られてくると考え意気込んでいたクズは、想定していた半分にも満たぬ情報量に、少し拍子抜けした。

「エ、情報っつって、こんなモンなの?」

 自らの中に沸いた血液も、段々と冷めてくる。

「ハッハッハ、どんな情報を想定していたか知らないけれど、私が君に送るべきだと判断した情報を、実に簡易的にまとめてみたんだ」

 ここで、用心深い人間ならば、謎の声に取捨選択をさせずに、全ての情報を送ってくるように要求するのだが、

「ナルナル」

 結句として詰めの甘いクズは、納得してしまった。

 そしてクズが情報の中身を確認すると、クズの表情はみるみる強張っていった。

 なんと、ノートパソコンを盗み出し、ソレを悪用しようという敵は、たった一人の人間だったのである。無論、少女が主犯ではなく、その裏で手を引いている者がいるのだが、その少女と言うのも、元々は孤児院で育てられていたところを主犯によって引き取られ、そのまま戦闘兵として改造されたのである。

 ここで、戦闘兵として育成された、ではなく、改造された、と表したのは、彼女もクズと同様に、自らとは全く関係の無い目的の為に、実際に改造人間にされた為である。

 ここまでの情報の時点で、クズは

(ああ、同じ戦闘要員として、危うく死んでいたのは俺だったのか……クワバラクワバラ)

 と、改めて自らの生に安心をした。

 更に情報を読み込むと、主犯は、特殊な性癖の持ち主であった。他者から精神的、肉体的に攻められることに快楽を覚えるマゾヒストである上、相手が苦しみながら死んでいくことを眺めることによっても快楽を覚えるサイコキラーであった。

 この性癖こそが、今回のノートパソコンを盗み出した火種となった。

 どうして謎の声がマインドコントロールの技術を開発したことを知ったか、や、どのようにして盗み出されたのか、等の細かい情報は入っていなかったのだが、それでも、少女の脳内にハッキリと、主犯の目論見は残されていた。

 主犯は、己が性癖の為に、ソレを自らの手を汚さずに発散する為に、少女を改造したのである。

 まず、少女の欲望のリミットを解除する。そして、殺人欲を極限まで高めておいて、それを性欲に結び付ける。さすれば、少女は主犯がパソコンのボタンをポチリと押すだけで、恍惚とした笑みを浮かべながら人を殺す人間になる。

 そして、少女の感情や感覚を主犯とリンクさせてしまえば、主犯は自らは安全地帯にてイチモツをしごきながらも、その特殊な性癖を十分に満たすことが出来るのである。

 これには流石のクズも、侮蔑の念を抱かずにはいられなかった。

(いやいや、コイツはキモ過ぎるだろう)

(変態なのは誰でもそうだからいいけどさ、ソレに他人を使っちゃうのはマズイだろ……)

(マゾなのに人が苦しむのを見るのが好きとか、一人でSとMを担っちまってるじゃねえか)

(それなら、そういうAVでも見とけって話だよな)

(てか、他の誰を巻き込んでも、俺を巻き込むなし!)

 結句、自らの災難に対する憤りになってしまったが、それでもクズは、自分の嗜好の為に他人を巻き込む主犯に対して、ひどく軽蔑した。

 更に、容量としては少なめであったのだが、少女の記憶の中には、少女が改造される以前の記憶まで詰まっていた。

 その記憶の内の少女はとても卑屈であり、他人からの介入をことごとく拒むタイプの人間であった。しかし、その分だけ少女の内面には大きな鬱憤の様なモノが溜まっており、それが欲望という形で主犯によって引きずり出されたことによって、彼女が人をいたぶる際に発せられた欲望は、相当大きなモノとして主犯に送られていた。

 無論、クズからしてみれば少女が発信した欲望の大きさなぞはさっぱり知らぬのだが、それでも元々からの少女の性格がひん曲げられた挙句に、クズは嫌味こそは理解していなかったのだが、それでも散々酷い目にあわされたので、やはり主犯への憎悪感は、ドロドロとした気味の悪い形としてクズの中に湧いてきた。

「オイ、こんな情報を俺に送ったってことは、もうサッサと潰しに行こうってコトだよな?」

 クズは、どこにぶつければよいのか分かった怒りを、主犯にブチ当てたくてウズウズとした。

「ハッハッハ、君はトコトン真っ直ぐだね。よし、じゃあ、真っ直ぐ敵さんのアジトへと向かおうか!」

 謎の声は、完全に落ち着きを取り戻しながら、クズの言葉に応じた。

「まあ、アジトってほど立派なモノにも見えんが、それでも敵は敵だ! 俺がやられた分だけでも、苦痛を味あわせてやる!」

 クズノ頭の中は、主犯が苦痛を受けるほどに性的快感を感じるマゾヒストだというコトも忘れ、主犯を痛めつけるコトで一杯になった。

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