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27 疑心暗鬼のテーブルゲーム。

 ☆☆☆☆


 刺殺体で発見されたはずの高水義正(行方不明)。

 バラバラ死体で発見されたピカイチ。

 部品の状態で発見されたセキュリティのみんな。


 しかし、推理するにはあまりに危険すぎる。



 ☆☆☆☆




「……詳しく聞かせてもらおうか、マジカル」


「手順はこう。まず昨日深夜から今日早朝にかけて、ピカイチが高水義正、セーフティのみんなを殺します。んでもってゆっちゃんに死体を見せる。ここで、ピカイチはこの厨房に息を潜めていたと仮定しよう。そしてゆっちゃんがみんなを呼びに行った後、よっちゃんの死体をバラバラにするの。そんで、向かいにある集会場にピカイチの死体としてばらまいてこのセーフティから去る、以上」


「確かにそれならつじつまがあうけどよ、なんでそんなことをする? ダーリンにはヨッシーを殺す理由なんてないんじゃねーの」


「それじゃあなんで殺人鬼はなぜこんなことをしたのか考えようか。わたしは『存在の抹消』だと仮定する。ピカイチは最初からこのルートを自分の墓場にしようと考えてたの」


「存在の抹消だと!? どうしてそんなことをする必要がある」


「たぶん、疲れたんだよ。ヒーローで在り続けることに」


 意味深なセリフだった。

 まるでピカイチさんの事情を知り尽くしているかのような、いわゆる『知っている者の余裕』とも言える雰囲気がしずるから読み取れた。


「ピカイチはね、この仕事を最後に現役を退こうとしたんじゃないかな。あの人は持病で大量の薬を服用してたし。あ、これは言っちゃいけないって口止めされてたんやった。でももう死んじゃったから別に構わんよね」


「そんな話、わたしは聞いてないぜ?」


「極秘情報やからね。ピカイチもキリングに絶対言わんよ」


 とっても意地悪な笑みを浮かべるしずるさん。


「でも、マーキングとセーフティのみんなを殺す必要はないんじゃね?」


「ううん、大ありだよ。おそらくトリガーを引いたのはよっちゃん、高水義正の方じゃないかな」


「ヨッシーが、大量殺戮の原因だって? なんの根拠があってそう言ってんだぁ!?」


 このとき、しずると俺の目が合ったような気がした。

 おそらく、俺の脳裏に描いたものとしずるが思っていることは一致している。高水義正が犯罪の引き金になった理由を俺は知っている、としずるは気付いているようだ。


「高水さんは、もう復帰することが出来なかったから」


「ああ!? 何でだよ。あんなにピンピンしてたじゃねーか」


「あれはカラ元気、本当はもう歩けるような身体じゃあなかったの。それをピカイチに話して、きっと絶望したんじゃないかな。ピカイチ自身もそうやけど、高水義正がこれから歩む辛い人生を悲観してしまった。結果として今回のような殺人を引き起こした」


「じゃあ、なんでセーフティのみんなも殺したんだ?」


「たぶん、最初はセーフティの誰かを死体に使うつもりやったんじゃないかな? でも突発的にヨッシーを殺してしまったから今回のような死体が消えたりする事件へと発展した。つまりセーフティに匿ったみんなはーー」


 最初から殺すつもりで助けた、と。

 富山しずるは最後まで言わなかったけれど、たぶん合っていたと思う。ヒーローという役職を利用して、誰にも怪しまれることなく人を集めることをこんな形で利用するなんて。


「わ、わたしは信じねえ。マジカル、お前の言うことは信じるに値しない」


「ふーん、まあいいよ。なにか言いたいことでもあんの?」


「殺したのはダーリンとは限らない。もしかしたらマジカル、お前なんじゃあないのか?」


「……何を根拠にそんなことを言ってんの?」


「お前、今までどこにいたんだよ。わたしと新入りちゃんがいた時、ひとりで何をしていたのかって聞いてんだよ? ちゃんと説明してもらおうか」


「あたしはさっきまで個室に引っ込んでたよーースプラッシュの準備は見られるわけにはいかんからね。でも、セーフティにいる六人は寝る前にすれ違ったよ、たぶん午後11時くらいじゃないかな」


「ほう、つまりお前にはアリバイがまったくないってことか?」


「そうやけど、何? まさか本気であたしが犯人だと思ってんの?」


「ムキになんなって。それとも何かやましいことでもあるのか?」


 まさに攻撃ならぬ口撃。

 風船のように膨らんだストレスーー自分が疑われる不安が爆発して、お互いを傷つけている。黙って俺もいますぐこの場を離れてさっさとルートから逃げ出したい気持ちにさせられた。


「まあ、アリバイがないのはお前もなんだよ、新入りちゃん」


「え?」


「お前、本当にヨッシーの死体を見たのか。そして、本当にヨッシーの死体だったのか?」


 キャンディさんの矛先は俺に向けられる。

 確かに、その疑問はもっともである。いきなり死体が消え、その目撃者が俺しかいないのだから。

 むしろ俺が犯人である疑いが筆頭だったのではないか?


「こんな状況で、言いたくもねえんだけど。はっきりと言わせてもらうぜ」


 キャンディはもう話すことなどない、と言いたげに席を立つ。

 一度だけおれとしずるを見据えると、不敵な笑みを浮かべて一言だけ捨て台詞を残した。


「こんな殺人犯のいるかもしれないところに居られるか、わたしはここから出て行くぜ」



 続き。


 








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