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第三羽:うさぎと金色が出会った。

 俺はどのくらい歩いたのか、同じ道を歩いていたのか、と疑問になり始めた時、俺はまだ森の中にいた。

 ただでさえ、この木々によって太陽が遮ぎられており暗いというのに、太陽が沈みかけている中、更に暗くなっていた。

 そして、潮の匂いがする。他にも、嗅いだことのない、嫌悪感を感じさせるような匂いが漂い始めている。俺の肌は鳥肌が立ち、これはただ寒いだけだと思いながら、歩みを止めない。

 この嫌悪感の正体は、俺は知っていたのかもしれない。

 人の本性として。

 そんな俺の思考を止めるような音が耳に響いた。

「・・・だれだ!?」

 俺の声より少し低めの音で、俺に小さい銃の口を俺に向けている人がいた。

 見たとき、金色の何かと思ったけど、ただの金髪で少し長髪の人。年齢は俺と変わらないか、少し年上のオニーサンぽい。俗に言う、不良だ。

「・・・・はー。あんたはさっきのやつより、話が出来そうだな・・・」

 座れ。と、銃口を俺に向けたまま顎で指示を出す。

 落ち着いているように見えるけど、俺はただこの現状にまだ追いつけていないだけ。いつもの俺ならきっと、無我夢中になってこの男から逃げている。

「あんた落ち着いているってことは、このゲームは初めてという訳じゃないようだな?前回ので生きてるってことは、かなりの手練れか策士か・・・・」

 俺には分からないようなことを言っているオニーサンは、銃口を下げずに俺を品定めをしながら見ていた。

 オニーサンは俺が何も言わないので、勝手に自己完結をしては、怪しく笑った。それと同時に俺には聞き馴れない、いや平和な日本国民は誰だって聞き馴れるはずのない銃声が聞こえた。ゲーセンに行くと、発砲音はよく聞くがアレとは違う重い音だった。

 その発砲音の先は分からないが、弾は俺の頭があった場所を狙っていた。弾を避ける術を持つはずのない俺が避けれたということは、誰かによって俺の頭を無理矢理移動させたということ。つまり、俺の体は俺を押し倒しているオニーサンにおかげで生き残れたということ。

「・・ッチ」

 小さな舌打ちが聞こえたと思うと、オニーサンは音がした方へ銃を向けて撃った。

 なんの躊躇いもなく。ただ生きるために引き金を引いた。

 オニーサンの撃った弾は、ただ草むらを撃つだけで、あの舌打ちをした以外何も聞こえなかった。

 悲しく地面をえぐる音が響く。

「さっきので、他のやつに知られたかもな・・・・。あんた、取り乱したりしないから手練れだと思っていたけどよ、初めてだな?それにしても、少しはここのルールを知っていてもいい気がするが・・・・そんなことはいいか。でだ、あんたの名前は?」

「・・・・」

「・・・あんた日本人だよな?口が利けねえってか?」

「・・・けい、た」

「ケイ、タ?まさかケイが苗字でタが名前か?」

「ちがっ・・・・ケイタ。啓太」

 久しぶりに声を出したために擦れてしまい、上手く自分の名前が言えなかった。3回目で自分の名前“啓太”を上手く言えた。

 オニーサンが何を話しているのかは分からないけど、俺にはオニーサンが悪い人には見えていなかった。本当はここで出会えた初めての人間だからなのか、オニーサンに対して安心感を抱いていたんだ。

「啓太か。よし、ケイ。今から安全な場所って言っても、ここに安全な場所なんて無いが・・・・狙われるよりかはましだろ。ほら行くぞ」





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