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幼少編  作者: 豆タン9
5/12

お隣のお姉さん

この物語はイジメを助長する目的ではありません。この話はイジメを含む一部作者の体験を織り交ぜたフィクションです。精神的に不安定な方や気分を害す方、感情的になりやすい方などは閲覧を控えてください。


登場人物


早川イサム(勇)

一卵性双生児の兄。弟より小柄で気弱な面もあるが努力家。父のサッカーに憧れる。


早川マサル(勝)

一卵性双生児の弟。明るくて素直な活発な少年。気弱な兄を支える優しい子。いつも兄と勘違いされている。


早川ソウスケ(宗佑)

双子の父親。サッカーJ2リーグのプロ選手。


早川ヨウコ(陽子)

双子の母親。フリーのカメラマン。取材の時に宗佑と出会い結婚。双子を出産している。

集団登校が当たり前になって来ている中、地区ごとに一年生から六年生が一緒に登校する様に学校側は推奨してはいるが近年子供の数も減り全ての地区で実施ができなくなっている。集まれる地区はいいが中々それも叶わない。


イサム達は運良くマンションの隣りに住む伊藤さん夫妻の子供で五年生と二年生の姉妹が住んでいた。姉の舞ちゃんと妹の美月ちゃん。二人共に優しく面倒見の良い子で毎朝双子を迎えに来てくれていた。始めは照れてマサルの背中に隠れていたイサムもすっかり懐き、特に妹の美月ちゃんとは歳が近いからか学校から帰るとよく二人で遊んでいた。

 

サッカースクールで美月に会えない日にイサムがぐずる日もあったが、その話を陽子がママ友でお隣の伊藤さんの耳に入れない筈も無く、伊藤ママも二人の娘を連れてサッカースクールで練習をしているイサム達を見学に来る事が増えていった。


もちろんイサム達の邪魔にならない様に離れた位置から見学しているのだが、イサムやマサルを見つけると目を輝かせてはしゃぐ美月を見て母も姉も笑顔になった。


双子を見つけれず悄気しょげている妹を見ると姉の舞が、

「ほらあそこ、イサムくんいるよ」

と指差すとパッと笑顔になった。サッカーと言うスポーツは理解はしていないがイサム達が懸命にボールを追いかける姿が美月の目には新鮮に感じていた。

 

サッカーの練習といっても入ったばかりの一年生や4、5歳児達は詳しくルールを教えるより、ボールを蹴り追いかけるといった遊びから楽しさを学び体力と足の動きを自然に出来る様指導している。


動きの良く吸収の速い子はより高度な動きを遅い子も遅いなりの対応の仕方を指導し子供達が楽しく成長出来る環境を整えられていた。中でもマサルは飛び抜けて覚えも良く運動神経が高いのでより技術の高いグループに入れられた。


一方でボールをうまくコントロール出来ていないイサムは焦りを感じていた。マサルの成長が特出しているなどまだ幼いイサムには理解出来る筈もなかった。蹴り損なったボールは偶然にも美月の足元に転がって、ボールを取りに来たイサムへ手渡しした。美月達の存在に初めて気がついた。


「み…ミズ姉ちゃん。マイ姉ちゃん…来てたの?」

自分の情け無い姿見られたと思い顔を真っ赤にしてパニックになってしまった。練習間の休憩時間に早川家、伊藤家が芝生の一角に集り差し入れのスポーツドリンクをマサルは一気に飲み干して、

「マイ姉ちゃん達が来てるなら教えてよ『お母さん』」

と普段はママと呼ぶマサルが女の子の前でカッコつけている事に気が付き思わず笑ってしまい、

「なに?ボク変なこと言った?」

と少し不機嫌になる。


それでも美月達が見に来てくれたことにはしゃぐマサルとカッコ悪い姿見られて肩を落とすイサム。


いつもの光景に見えたが少し違っていた。美月がイサムの側に来て、

「私、サッカーの事わかんないけど。一生懸命なイサムくんカッコよかった」


その言葉に目の前が弾ける様な不思議な感覚が広がった。閉じられた扉が一斉に開くように光が差し込んだ。

「僕、もっと頑張る。頑張ってまーくん勝つ」


今まで燻っていたイサムの心に初めてマサルを頼れる兄弟でなく越えるべきライバルと無意識に認識させていた。穏やかでのんびりとした性格だと思われたイサムだが誰よりも負けず嫌いで諦めの悪い性格である事は今の段階では誰も知ることはなかった。



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