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幼少編  作者: 豆タン9
20/20

予選大会

この物語はイジメを助長する目的ではありません。この話はイジメを含む一部作者の体験を織り交ぜたフィクションです。精神的に不安定な方や気分を害す方、感情的になりやすい方などは閲覧を控えてください。


登場人物


早川イサム(勇)

一卵性双生児の兄。弟より小柄で気弱な面もあるが努力家。父のサッカーに憧れる。


早川マサル(勝)

一卵性双生児の弟。明るくて素直な活発な少年。気弱な兄を支える優しい子。いつも兄と勘違いされている。


早川ソウスケ(宗佑)

双子の父親。サッカーJ2リーグのプロ選手。


早川ヨウコ(陽子)

双子の母親。フリーのカメラマン。取材の時に宗佑と出会い結婚。双子を出産している。今は専業主婦になっている

マサル達少年野球の県大会予選が始まる。マサルは四年生ながら勝山ファイターズのエースとして期待されていた。その実力はチーム一同認めるものだった。陽子は苦手な裁縫でマサルのユニフォームの背中に背番号を付けるのだと息巻いていたがママ友に簡単に取り付け出来るスナップボタンの事を教えてもらい安心していた。


「次の日曜日が試合だよね、俺も応援に行くから頑張れよ」

「えっ兄ちゃんも来るの?」

イサムの意外な言葉に驚くマサル。


「俺が行っちゃダメなの?」

口を尖らせ不満を漏らす、

「ダメって事じゃ無くて兄ちゃんが野球に興味ある事に驚いただけ」

「野球に興味ってよりマサルの試合見たこと無いなって思ってさ」


照れて頭を掻きながら答える、マサルは嬉しくなり満面の笑みで

「これは負けられないね」

と鼻を擦った。

 

その日の夕方、日課のランニングを行うためジャージに着替えて家を出た。予選大会前という事もあり気持ちが昂っていて何時もより走る距離を伸ばす為にいつものコースを外れて見慣れない道を走り出す。

 

土地勘はないものの方向感覚は良い方なので気にせず進むと顔見知りが大きな白い犬を散歩させていた。


「マモルくん。犬の散歩?」

「マサルくん。あれ?ここまで走って来たの?家って逆方向だよね」


マサルはここまで走って来た経緯を話した。護は笑いながら近くの公園まで行く事を提案してそれに応じる。


「大きい犬こだね」

「ミルクって言うんだ。僕の弟みたいな存在だよ」


マモルがミルクを撫でると嬉しそうに尻尾を振る。マサルも白くてふわふわの大きな犬を見たのが初めてで触りたい気持ちと大きさへの恐怖で戸惑っていると、


「そっと撫でてみて、ミルクが僕意外でここまで接近許したの母さんくらいだから。マサルくんも撫でさせてくれるよ」


そう言われ頭をそっと撫でると予想以上のふわふわにマサルは感動した。


「でもなんでミルクなの?」

素朴な疑問に、


「本当は柴谷ミルクチョコって言うだけど呼ぶ時長いからミルクって呼んでるの」


マサルはそこは『チョコ』じゃないのか、と思ったが突っ込むのをやめた。しばらくマモルと会話して遅くなると行けないという事でマサルは帰宅した。マモルの家も教えてもらったので今度ミルクの散歩にいっしょに行く約束をして。



「遅い!心配したのよ。何でスマホ持っていかなかったのよこの子は」

母の怒りもごもっともで家に着いた時間は夜の7時を過ぎていた。夕食が6時半からなので陽子も心配していたのだ。


「いっくんもご飯食べずに待ってくれたんだから謝りなさいよ」

「ごめんなさい、兄ちゃんもごめんね」

「これは俺の予想だけどランニングコース変えて柴谷くんに出会えて遅くなったね」

「えっ?何で分かるの?」

「顔に書いてる」

マサルは慌てて顔を擦って慌てるが


「冗談のつもりだったけど当たったらしいよ」

と母の顔見てイサムがおどけて見せた事でマサルはこれ以上叱られずに済んだ。


「今度ランニング行く時はス・マ・ホ、必ず持って行きなさいね」

母に叱られシュンと落ち込みながらその日は終えた。

 

次の日も昨日と同じくらいの時間に同じコースでランニングをし始めた。マサルはマモルに会う事よりミルクと触れ合いたいと言う気持ちで周囲が見えず、でも車の行き交いには注意しながら走っていると突然背後から抱き付かれ首元に刃物が光るのが見えた。


「静かにしろ」

声はまだ子供だと分かるがマサルより遥かに背も高く力が強かった。顔も見えなければ聞いた事も無い声で


「早川マサルだろ言う事聞けば痛い目には遭わずに済む。大人しくしろ」

マサルは静かに頷く、恐怖心に負け唇を振るわせながら


「何でこんな事するの?」

「今度の予選大会でお前が投げるなら…」

そう言った瞬間マサルのスマホが鳴り始める。後ろでマサルを捕まえていた少年は驚いて手を離した。その一瞬の隙に白い大きな塊がその少年を押し倒す。


「マサルくん!大丈夫?」

間一髪、マモルとミルクが駆けつけ事なきを得てマモルが警察を呼んでくれていたので警察が来るまでミルクが少年を押さえつけていた。

 

話の内容はこうだ。予選で当たる勝山グレートシャークスのキャプテンである濱田裕樹がエースであるマサルを脅して負けを強要もしくは脅す事で不調にして試合に勝とうと言う算段だった様で1週間前から行動を見張っていたのだと言う。それにたまたま気が付いたマモルがマサルに電話をかけた隙にミルクをけし掛けたと言う。濵田は小学生という事も有り警察から厳重注意と保護者に連絡され大会出場を止められたようだ。一方でマサルを助けたとしてマモルとミルクには警察からの感謝状が手渡された。

 

後日、濵田の両親と勝山グレートシャークスの監督が謝罪に来て大会を辞退すると言っていたが、シャークスの他の子供達には関係ないとして濵田のみ出場停止となった。

 

その後、マサル達の勝山リトルファイターズは県大会優勝、地区大会4位と好成績を残して六年生の引退となった。


幼少編    完

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