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幼少編  作者: 豆タン9
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転校

この物語はイジメを助長する目的ではありません。この話はイジメを含む一部作者の体験を織り交ぜたフィクションです。精神的に不安定な方や気分を害す方、感情的になりやすい方などは閲覧を控えてください。


登場人物


早川イサム(勇)

一卵性双生児の兄。弟より小柄で気弱な面もあるが努力家。父のサッカーに憧れる。


早川マサル(勝)

一卵性双生児の弟。明るくて素直な活発な少年。気弱な兄を支える優しい子。いつも兄と勘違いされている。


早川ソウスケ(宗佑)

双子の父親。サッカーJ2リーグのプロ選手。


早川ヨウコ(陽子)

双子の母親。フリーのカメラマン。取材の時に宗佑と出会い結婚。双子を出産している。今は専業主婦になっている。


日高リュウセイ(流星)

マサルの親友。サッカー少年団で友達になった。


日高ノリヒロ(範洋)

リュウセイの兄で6年生。野球少年団に入っている。

イサムが飛び降りてから一週間が過ぎた。


一命は取り留めたが意識は未だ回復しておらず、真相が不明になり掛かったが美月が勇気を振り絞り


いじめを受けていた事を告発した。


それを止める為にイサムが身代わりになった事も暴露したが佐々木達は未成年でかつ小学生という立場で厳重注意に留まった。


一方で美月の母親の不倫疑惑の噂を流していたのが佐々木の母という事が分かりそちらの方が問題とされていた。


美月のクラス担任と佐々木の母が密会をしていたのだがPTA役員会の時に美月の母親と担任が目が合ったと言うだけでヒステリックになり嘘の噂を広げていたのが原因と知った。


当然担任は停職一年の懲戒処分になり、罰の悪い佐々木家は転校。

美月もイサムに合わす顔も無かったからか転校を決めた。

 

早川家も学校側と佐々木家、野口家等と裁判で争う姿勢はあったものの時間が掛かる上に双子達の心のケアに努める意味で訴えを取り下げた。

そしてイサムの入院している病院の近くに行くという意味で子供達の転校を決めた。

 

イサムに関しては一命は取り留めと言っても両腕の上腕骨、橈骨(とうこつ)尺骨(しゃっこつ)の圧迫骨折や斜骨折しゃこっせつ。尾てい骨骨折と中々の重症で

運良くか頭蓋骨、鎖骨、胸骨、肋骨、脊髄と脚の骨には異常は見られなかった。

内臓もダメージが無く打撲や切り傷、擦り傷で青くなっているが見た目より回復が早く後は意識の回復を待つだけとなった。

 


引越し当時、家具家電は業者に任せ、車一台で引っ越す事になった。

見送りには日高兄弟が来てくれ兄の範弘から真新しい野球のボールを、弟の流星からは少し汚れたサッカーボールを渡された。


「これ、オレが始めてシュートを入れたボール。ちょっと汚れてるけどお前に受け取って欲しくて…」


全てを言い終える前に流星の顔は涙と鼻水でぐしゃぐしゃだった。


マサル(まざる)オレ(ぼれ)最高(ざいごう)親友(じんゆう)だから(だがら)向こう(むごう)行っても頑張れ(がんあれ)よよな」


マサルと流星は泣きながら抱き合い友情を確かめるように互いの右腕をクロスさせた。

 流星はマサル達の車が見えなくなるまで手を振り続け、姿が見えなくなると範弘の胸にしがみつき大声で泣いた。範弘も弟の肩をそっと抱きながら涙を堪えていた。


転校と言っても直ぐに登校できる訳でもなく手続き諸々の時間もあり時間がかかる。

それでも事が事なので一週間で終えれるように優先してくれるとの事だった。


学校に行けない期間の勉強を補う為以前の担任に、少し多めに提出不要の復習問題の宿題を出して貰って勉強していた。


今は落ち着いているマサルも、事故当時はイサムから離れようとしなかった。


「いっくんごめん。兄ちゃんごめん…もう嫌きらいとか嫌いやだとか思わないから。戻って来てよ。お兄ちゃん…」


この日以来、マサルはお兄ちゃんと言い続けていた。

転校したその日も、学校帰りに意識の戻らない兄の元へ面会に行っていた。


痛々しいギブスと包帯、命を繋ぐ酸素マスクや点滴も変わりなかった。

頭や顔を覆う包帯とガーゼの見た目とは裏腹に外傷のみで脳への異常はみられなかった。

医者曰く、建物の6階から落ちこれだけの重症を負いながら命に関わる部位へのダメージがほぼ無いに等しいレベルで、尾てい骨骨折は起こしているものの『歩行』という機能は守られているという。

推測の域を出ないが無意識で落下時に身体を丸めて尻から落ち両腕で受け身をとったのでは無いかとの事、とにかく色々な奇跡に守られたのは事実だった。

 

転落から二週間、未だ空は晴れぬ。


イサムの意識の回復はまだ先になりそうだ。

いっぽうマサルは初の転校先での登校となり珍しく緊張していた。


初日と言うこともあり母陽子が車で連れて行く。

制服がまだ届かなかった為、以前いた学校の物を着用し親子共に職員室へ挨拶に向かう。

無論、制服の違う生徒を見かけるとはしゃぎ出す子供は何処にでももいて、転校生の噂は直ぐに広まるまでのお決まりのパターンはになるのはお約束である。

そうなると学年、クラスを偵察する子もちらほらどの学年の何クラスというのは直ぐに伝達される。

興味のある子ない子はそれぞれで、朝礼で先生が教室の扉を開けるまで転校生も在校生もドキドキワクワクしていた。


教室の扉が開きクラス内の騒ぎが嘘のように静まり返る。

先生が転校生を招き入れ、自分たちの年齢より小柄で幼い容姿ながら整った顔立ち丸顔の少年姿を見せるとクラスが騒めく。

自己紹介をするよう求められ一礼と共に口を開く、


「早川マサルです。よろしくお願いします」


大海に一滴の雫が落ち、混ざり合うのには時間はそうかからなかった。

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