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幼少編  作者: 豆タン9
13/17

深淵

この物語はイジメを助長する目的ではありません。この話はイジメを含む一部作者の体験を織り交ぜたフィクションです。精神的に不安定な方や気分を害す方、感情的になりやすい方などは閲覧を控えてください。


登場人物


早川イサム(勇)

一卵性双生児の兄。弟より小柄で気弱な面もあるが努力家。父のサッカーに憧れる。


早川マサル(勝)

一卵性双生児の弟。明るくて素直な活発な少年。気弱な兄を支える優しい子。いつも兄と勘違いされている。


早川ソウスケ(宗佑)

双子の父親。サッカーJ2リーグのプロ選手。


早川ヨウコ(陽子)

双子の母親。フリーのカメラマン。取材の時に宗佑と出会い結婚。双子を出産している。今は専業主婦になっている。


日高リュウセイ(流星)

マサルの親友。サッカー少年団で友達になった。


日高ノリヒロ(範洋)

リュウセイの兄で6年生。野球少年団に入っている。

『今日の夕方頃、

黒崎市のマンション6階から小学四年生の男の子が転落、

病院に搬送されましたが未だ意識は戻っていないとのことです』


マンションの周囲には警察、報道そして一般の野次馬で埋め尽くされていた。

子供の転落事故という事で近隣住民もショックを隠せなかった。

子供の安否は?どんな状態だったなど色々と話が飛び交っていた。

近くの木の枝が激しく折れていた事と落下したと思われる駐輪場の屋根が凹んでおり、

その周囲に大量の血痕が残されていた。

子供が遊んでいる最中、誤って転落したものと考えつつも事故、

事件両方で捜査するとのことだった。


転落事故のニ週間前


マサルは次の日曜日に野球の練習試合で先発に選ばれ嬉しそうに家族に話をしていた。


最近元気のないイサムもサッカーの練習が無い為試合を観に行く約束をしていた。


しかし当日イサムは熱を出してしまい宗佑と留守番する事になった。


「ボクいっぱい三振取って、いっくんを元気にするんだ」


とマサルはイサムを励ます様に試合へ向かった。


宗佑は熱にうなされるイサムを日曜日でも診察可能な小児科に連れて行った。


診断の結果はおそらく風邪だろうとの事で注射と点滴を打ち風邪薬と解熱剤を処方され自宅で安静にする事でになった。


昼過ぎには熱も下がりイサムは眠りについていた。


しばらくするとマサルと陽子が帰宅し試合に勝った事、三振を十ニ個取った事を嬉しそうに語っていた。


宗佑はイサムの容体を陽子に伝えて看病しやすいよう、


子供部屋ではなく寝室に寝かせている事を告げた。


「明日も様子みて学校は休ませた方いいと思うよ」


宗佑がそう話すと陽子もそれに同意した。


息子の寝る寝室に行き陽子は優しくイサムに声をかけた。


「皆勤賞途切れちゃうけど、明日は休もうね」

「うん」


力無いイサムの返事に心配しつつもマサルを放って置く訳も行かず、


汗まみれのマサルに風呂に入る様に言った。

 

その日の夜、兄のいない子供部屋でマサルは独りスマホで書き込みを見ていた。


古備(こび)少の早川レギュラー落ちしたらしいよ』


『メッキ剥がれたんじゃね?』


『ここだけの話、父親のコネでレギュラーって噂。これオレが言ったんじゃ無いぜ』


『怪しいと思ってたんだよ。四年のチビがレギュラーってw』


マサルはスマホの電源を切りため息をついた。


「いっくんには見せれないね、この書き込み…スランプなのかな」


マサルは兄を心配しながらベッドに横になった。

 

火曜日にはすっかり熱も下がり登校できる様になっていた。


最近少食気味だったイサムも食欲が出たのか今日はしっかりと朝食を食べて登校していた。


マサルは最近登校の減っている美月を心配しながら兄と教室前で別れた。


イサムがレギュラー落ちしていたのは流星から聴いたはいたが、


家でのイサムはいつもより元気が無いくらいでさほど異常は感じなかった。

 

マサルは野球を始めた頃からだが少しずつだがイサムに感じていたもう『一人の兄』の存在を感じなくなっていて


自分が感じていた嫌悪感も気のせいの様に思えてきた。


マサルはもう一人の『イサム』を忘れ始めていた。

 

イサムの方はと言うと美月を庇ったあの日から佐々木達から嫌がらせを受けていた。


休み時間のトイレを邪魔されお漏らさせられることから服で隠れる部位を殴る蹴るの暴行まで学校の人目につかない場所に呼び出されてはいじめを常に受けていた。


この時期からイサムは治っていたオネショも頻繁に起きるようになってしまっていた。

何故イサムはいじめを受けても誰にも言わずにいたのか、それは美月を守るためだった。

言う事を聞かないと美月をいじめると脅されていた為、限界まで耐えた…


その限界が振り切れた時、

マンションの6階から飛び降りていた。


「ごめん、ミズ姉…ごめん、まーくん…」

落ちる感覚に気を失いながら駐輪場の屋根にぶつかる。


完全に気を失う直前に頭の中に声が響く、


『この身体、要らないならぼくに頂戴』



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