異世界での初めての徹夜
こ〜んなに本を積まれてなんにもやらないってのもなんか癪だ。どうせだったら、全部やってルカを見返してやる。そう思い、高―く積まれた参考書(魔導書?)を手に取り始めた。
「えーと、なになに?まず、魔法を使うためには、魔力をコントロールする必要がある。より繊細にコントロールした者がいちばん強力な魔法を放ち、他を圧倒する。、、、分かってはいたが、ファンタジーな世界に来たものだ。」
とりあえず魔力?を自覚しようと思い、自分の内に神経を尖らせる。なんか、漫画とかだったら、ここで内なる力が、、、的な展開だが、僕には何も感じられない。というか、自分に何ひとつの変化を感じない。となると、次のお決まりの展開は、誰かに魔力を流してもらうってものだが、見返してやろうとしてるルカに頼るのは絶対に嫌だから、あてがない。ひょつとしなくても、詰んだなぁ。まぁ、ルカの口ぶり的に魔力はあるような感じだから、内容だけ覚えるか。実践は明日だ。そう思い、次々と魔法を暗記していく。
「ええと、マジックボックス。魔法で作る空間。うわ、魔法陣こまか!これで簡単とか嘘だろ?ええっと、、、ここがこうでこうでこうで。これは、魔力とかじゃなくて器用さもいりそうだ。」
魔法陣を書き写すのはほんとーに難しい。見ている感じ、魔法陣をストックし、必要な時に取り出す魔法とかもあるから、いいのだが、それもまた細かい。この世界、細さを要るとか不器用な僕にはハードモードすぎる、、、。
「なんじゃ。そなた。もう起きたのか。朝日すら昇っとらんぞ。いや、寝とらんのか。一晩でよくこんなに進んだの?」
「ルカか。魔法陣ムズすぎないか?」
「ん?あぁ。それは最適化されてないからの。それは誰でも使えるように出来ておる。じゃが細かいじゃろ?簡略化しようにも、魔力は個人差が激しすぎるからの。できないんじゃ。じゃから、自分で自分に合うように簡単にするんじゃ。」
「なるほど。じゃあ、これ全部覚えたの無駄足だったってことか。はぁーー。」
「そんな事ないぞ?そなたは簡略化できんじゃろう。魔力の性質的に。じゃから、どのみちおぼえておった。それに、簡略化と言っても、簡略化するのに相当な専門知識が必要じゃからの。」
「なるほろ。あ、あと、僕魔力わかんないんだけど。」
「それは当然じゃろう。魔力というのは危険じゃからの。体が封印しよるんじゃ。それを他者に解いてもらわねばどうにもなるまいて。じゃが、それを解くのは神にしかできん、はずじゃが、なんかわらわができるのでお主にはわらわがやる。」
「それは、安心できるのか?」
「それは問題なしじゃ、多分な。まぁ、解くには、儀式がいるんじゃ。ごってごてした装飾とかな。じゃから、時間は貰うぞ?それまでは魔法陣を覚えておれ。」
「りょーかーい。ちょっと寝てからね。」
「昼夜逆転せんように気をつけるんじゃぞ。」
「ルカもね〜」
朝日が昇ったのを見届けながら意識を深い深い闇の底に落としていく。
いや、傷が痛むから、全然寝れん!!!!!