世界の終わりと始まり
5367年 暑い夏の日。世界が割れる音がした。それは、とても不快な音。
きっと本来であれば、誰の記憶に残るでもなく、ただ無意味にすごすはずの日。僕にとってもきっとそうだった。だって、誰だって思わない。昨日ことを、地球が、未来が紡いでき長い長い歴史を、僕以外伝えられる人がいないなんて。
すごいポエミーなことを言ってしまった、、。誰かに見られていたら、もう人生の終わりだ。死にたい、、が、「僕以外もう居ないんだよなぁ」とひとりぼやき、改めて周りを見る。
辺り一面何も無い。真っ白だ。とりあえず、僕の人生終了の危機は無くなったが、どーーしよーもない。時間感覚なんてとうにない。あの音が鳴って、そこからの記憶が無い。何があって僕はここに来た?僕の腹時計的には、そろそろ3日くらいか?そういや、人間3日水なしだったら、死ぬんじゃないか?腹ぺこで何考えてんのかよく分かんないが、またもや人生終了の危機か?何も無い白い空間で1人。気も狂いそうだ。いや、既に狂ってそうだ。僕は元々こんなんじゃなかった。死にかけたら、性格変わるってマジだったなんて、知りたくなかった。暇すぎて一人称変えてたら、すっかり慣れたし。いや、そんなどうでもいいことはともかく、これからどうしよう。死にそうだ。
3日も動くことのなかった重い重い腰をあげる。見る限り希望をなかったから、消耗を避けたかったがどうしようも無い。消耗を避けていたら、死にかけているのだ。消耗を気にしている場合では無い。そう思った。よし、何事もはじめの一歩が肝心と言うから、ちょっと気合いを入れて踏み出そうか。まぁ、1歩で何か変わる訳でもないが、まぁ、いい。さぁ、はじめのいっ
バキッ
地面が割れた。嘘、だろ、、?僕が長時間座ってても問題ないのに、ちょっと気合いを入れた1発で割れるとかないだろ、、?しかも、いい感じに僕が通れるだけ穴が空いて、落ちるとか、どんな奇跡だよ!?宝くじすら当たったことないんだぞ!?怖すぎて、下、見れねぇよ!?全然下つかないし、落下死確定なんだが!?もう家帰りたい!!
ドンッ!!!!!
下から何かで打ち上げられた。背骨折れた気がする。すんごい痛い。だが、下に落ちる勢いと上に上がる勢いがいい感じになって、地面に身体を強打するだけで済んだ。だけ、では無いな。もう痛いとも感じない。すごい健康に思うが、体はピクリとも動かない。生き、てただけ、儲けもん、、かな、、、?そ、ら、が、ぼや、けてきた、、な、、、、
「おーおーおー、生きておったか。下から打ちたげたが、まぁ、恨まれてはおらんじゃろう。なんせ、命を救ってやったんじゃからなぁ。」
そう、それはもう殴りたくなるほどの、クズの笑みで女が笑ってたような気がした。
ズキンッ
全身に激痛が走った。いっっっった。嘘だろ?まぁ、嘘であるはずがない。実際痛いしな。どうせ気絶するなら、怪我が治るまでしててもいいだろがっ!!!ガチャっと、ドアが開いた。え?僕って今部屋にいたの?あの、白いところはどこへいった?色々と考えたいことはあったが、入ってきた人を見て全部吹き飛んだ。
あの、クズだ。改めて見ると、正しく絶世の美女だろう。だが、そんなことは今関係ない。僕のこの痛みはこいつのせいだ。まぁ、だから、そう仕方の無いことだ。僕の拳が、こいつの頭にめり込んでいることは。自業自得だ。
「ぎゃあーーーーー!なんじゃ、そなたは!わらわは!そなたを!助けて!やったのだぞ!!!感謝こそすれ、殴るとは筋違いな!!!!」
と、ふざけた事を宣い始めた。馬鹿か?いや、間違っては無い。だが、痛いものは痛い。ぼっこぼこにしてやりたかったが、仮にも命の恩人だから、1発で済ませてやっただけ、マシだろう、うん。やりすぎたきらいはあるが、反省して欲しい。若干申し訳なく思いつつ、悶える少女を置いて、外に出る。
城だ。もう、一面城だ。なんだ、ここ。某ねずみのテーマパークか?でも、なんか違う。あそこの城は、確か、てっぺんが、金色で、外装は、クリーム色だったはず。ここのは、空色と、白色だ。え?なんかおかしくないか?こんな城あったか?世界に。というか、あれ?腹が減ってない。あんなにも腹ぺこだったのに。なんなら、腹ぺこが原因であんなことになったのに。
「わらわを殴るだけ殴って退散か?のう、『 』」
さっきの少女だ。よくみると、ほんとーに美人だ。なんか、美しいと可愛いの境くらいの年齢に見える。腰まで伸びたストレートの黒髪に蜂蜜のように甘い黄金の瞳、およそ普通の人では無い。こんな色彩見たことないしな。あと、ビジュも、わらわの一人称も、古典的な話し方も、全てが尊い!!!!!!だというのに、中身がこんなにもクズだから、、浮かばれねぇ、神も二物は与えないってか!僕の性癖に刺さりまくってる。性格以外は。
「はぁ」
「なんじゃ。人の顔みてため息つきおって。失礼がすぎるぞ。」
「はぁ。、、、すまん。」
「もういいわ。それで?お主はここがどこだか分かっとるんか?というか、お主、自分の名前、分かっとるんか?」
「いや、わからん。」
「じゃろうな」
「え?」