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07-10 晴天

これは斜陽街から扉一つ分向こうの世界の物語。

どこかの扉の向こうの世界の物語。


廃墟を駆け回る三人娘がいる。

それぞれ名前を、

カモメ、アオイ、アカネ、という。

ネットワークで知り合った三人娘は、

ゲームのように現実と虚構の境目の廃墟を駆け巡る。


三人娘は、お互いのことを良く知らない。

ただ、気があって、

ただ、仲間が欲しかっただけ。

そして、ひどく似ていることを良く知っているから、

お互いの深いところまでは立ち入らない。

彼女達の深いところは、

晴天の光の届かない、

薄ぼんやりした影のようでもあった。

影を見せないように、彼女達は努めて明るくばかばかしく。

きらきら笑いながら、

廃墟を駆け回る。


彼女達は、

砂に埋もれかかっている廃墟にやってきた。

「あれ、こんなのだっけ?」

カモメが携帯端末をいじって、情報を引き出す。

アオイが覗き込む。

「情報が古いのかな」

アオイがそういうと、カモメは顔をしかめる。

「宴会場の廃墟って言うから、どんなものかと思ったけどね」

アカネはそういい、入り口を探す。


地下にものすごい宴会場の廃墟があるらしいけれども、

地上から見えるそこは、

砂に埋もれ、植物が繁茂している。

建物の姿はほとんどとどめていない。

ただ、晴天の下に、

崩れきった残骸が残っている。


アオイは空を見た。

のんきなお日様がきらきらしている。

「何にもなくなっちゃったのかな」

アオイのつぶやきに、

「結局そうなるんだよ、廃墟なんて」

カモメがそう答える。

「何にもないね」

アカネがそういう。

異論はなかった。


三人娘がたたずむ。

廃墟ですらない、崩れきった場所で。

いつか心に抱えている影も、

こうして砂のような感情に埋もれてしまうのだろうか。

お互いに言うことはなくても。

崩れきってしまう前に、

すべてが晴天のもとにさらされる前に、

何かを確かめたかった。


宴はいつか終わる。

そのことは、彼女達もよくわかるような気がした。

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