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01-42 羽根

これは斜陽街から扉一つ分向こうの世界の物語。

重そうな鉄の扉の向こうの世界の物語。


レオンは力仕事を任されるようになった。

とりあえず今は薪割りをしている。

ベッドでいろいろ考え込むより、身体を動かしていた方がいい。

義手の調子は悪くないし、義眼もよく見える。

レオンは随分薪を割った。

そこでふと手を止めた。

汗をかいた身体に心地よい風が吹いていった。


「…飛べないんだ…僕は」

少しかなしそうなギアビス。

微笑むギアビス。

大笑いするギアビス。

レオンの記憶はほとんどギアビスで埋められていた。

それでも…

ふと、ここに来る前のことを思いだそうとする。

こんなに穏やかな生活。

その前、一体自分は何をしていたんだろう?


「レオン」

自分を呼ぶ声で我にかえる。

「また何か余計なこと考えてたでしょ」

ギアビスは微笑む。

レオンは頷く。

「昔のことを思いだそうとしていた」

レオンは包み隠さず話した。

ギアビスは一瞬寂しそうな顔をした。

でもすぐ、それを微笑みで隠した。


「俺はここの人間じゃない。それだけはわかっている…」

ギアビスは頷く。

「一体何を求めてここに来たのか…自分は何者なのか…何を残してきてしまったのか…」

「レオン…」

「俺は…不安なのかもしれない…」

ポツリとレオンが呟く。

ギアビスは眼を閉じた。

そして呟く。

「僕も不安なんだ…」


「レオンはどこにだって行けるよ。あの鋼鉄の扉をくぐって、戻ることだってできるはずなんだ…」

ギアビスは眼を開く。

「僕はこの草原を動けない。多くの祖先が残してきた知識を守る義務があるんだ。知識の結晶が…君の義手や義眼、そして僕の身体なんだ」

ギアビスの眼に涙が光る。

「こんな身体抱えて…一人はもう…嫌なんだ…」

ギアビスの眼から涙が溢れた。


レオンは衝動的にギアビスを抱きしめていた。

その背には…大きな純白の羽根があった。

『こんな身体』とはこれなのだろうか?

レオンは羽根もまとめて抱きしめた。


レオンは頭で何かがはじけた気がした。

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