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07-08 不眠

少年は探偵を探している。

世界一の探偵を。

少年は眠れない。

眠りという身体の現象はあるようだが、

夢を見ない。

少年は、夢を失っている。


眠らないこと、夢を見ないことを、

不自由だと感じたことはあまりなかった。

過去形だ。

夢が気がついたらなくなってしまっていて、

少年にとっては夢がないことが当たり前だった。

でも、少年は気がついてしまった。

みんな夢を持っていると。

心の内側に、

夢を持っていて、それでバランスが取れているのだと。


少年はそのことに気がついてしまった。

将来の夢という、

憧れと同義のことも、

少年は持っていないことに気がついてしまった。

成長するにしたがって、

日常にかえってしまう夢を、

心の内側に根ざすであろう夢を、

少年は持っていなかった。

それに気がついてしまった。


少年は、不思議な少女と空を飛んだ。

それは夢でない。

空を飛ぶ少女がいた。

少年はマフィアに追われていた。

夢でない。

あいつらは少年の夢が、邪魔らしい。

夢を手に入れなくちゃと少年は思う。


少年は扉をくぐって、

斜陽街へとやってきた。

風の噂に聞いた、

世界一の探偵がいるという街だ。


この街の探偵ならば、

少年の夢を見つけてくれるだろうか。

憧れも、ときめきも、

言葉だけ知っているいろいろなものも、

わからなくなっている様々の感情も、

全部見つけ出してくれるだろうか。

世界一の探偵ならば、あるいは。


少年は…カヨは、

改めて斜陽街という街の空気を吸った。

風の匂いがする。

その匂いは、少女を思わせた。

海の向こうから来たと、空を飛ぶ少女は言っていた。

カヨは斜陽街の空を見て、

少女の記憶をなぞる。

名前が思い出せないけれど、

夢を手に入れたら真っ先に報告しよう。


カヨは歩き出す。

斜陽街のごみごみした路地を。

世界一の探偵といわれる探偵のもとへ。

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