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01-37 教会

斜陽街三番街。

一番街のバーの路地から、右へ行くとがらくた横丁、左に行くと教会がある。

この教会は荒れ果てていて、誰も住んでいるものはいない…らしい。

時折人影があったという噂も流れる。

草はぼうぼう。

取り囲むように木が茂っている。

入り口らしい扉から中に入ると、屋根が所々抜けて、妙に明るい広間がある。

教会らしく真っ正面には十字架が掲げられている。

ボロボロしてはいるが、一応十字架だ。


ある日。

螺子師は散歩がてら教会にやってきた。

そこで人影を見付けた。

「誰だ」

声をかける。

「誰?」

質問に質問で返された。

螺子師はちょっと拍子抜けしたが、

「僕は螺子師だ」

と、真面目に返した。

すると、

「あなたは螺子師、私は誰?」

さらに訳のわからない質問で返された。

「そういえば…」

思い当たる節はあった。

浮浪者かもしれない。

浮浪者は自分である証を失った者。

誰でもない者だ。

「浮浪者か?」

そう聞いてみる。

「そうかもしれない…そうじゃないのかもしれない…」

曖昧に返された。


「祈るんです…罪が早く癒されるように…」

「罪?」

罪の意識があるということは、浮浪者とは違うのかもしれない。

身なりは普通だ。

浮浪者のようにボロボロしていない。

(はて、この人は一体何者なんだろう?)

螺子師は疑問を持った。

「黒い風…吹いた…」

また断片だ。


黒い風…

夜羽あたりだろうか?そんな事を言っていた気がする。

番外地に黒い風が吹いた。

それ以来人形師が膨れた人形を持ってくるようになった。

胸が張り裂けそうなくらい、強い思いの歌が流れているらしい。

黒い風…

それが原因なんだろうか?


「いつか…罪が…黒い風が消えるその日まで…」

女性はそう言うと掻き消えた。

今までそこにいたのが夢のように。

あとには呆然とした螺子師が残った。

螺子師は頭をぶんぶんと振ると、

また散歩の続きをした。

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