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01-20 螺子

斜陽街三番街のがらくた横丁はゴミゴミした通りだ。

配線や配管は剥き出しになっており、

店同士が寄り添うようにして営業している。

どうでもいい場所にダンボールなどが置かれており、通りは余計狭くなっている。

螺子師はそんな、がらくた横丁で営業している。

螺子を扱うのが仕事だ。


螺子師は螺子を扱う。

日用品、機械、螺子があればなんでも扱う。

特殊なものとしては人間自身。

人間の頭の螺子を締めるのだ。

頭の螺子を締めると、考え方が理性的になるらしい。

緩めると、どことなくぼんやりした感じになるらしい。

螺子師はその調整もする。

その微妙な調整が螺子師の腕の見せ所だ。


螺子師には商売敵がいる。

螺子ドロボウという。

螺子ドロボウは頭の螺子を盗む。

螺子に支配されるのがよくないというのが持論らしい。


「本当にほしい螺子はこんなんじゃないんだ…」

螺子ドロボウは螺子を盗む度にそう言う。

螺子ドロボウを追ってきた螺子師と対峙する。

螺子師はいつか螺子ドロボウを懲らしめなければと思っている。

だから追う。

しかし、螺子ドロボウはそれを楽しんでいる節すらある。

「君の螺子が欲しいね…」

螺子師を指差し、ククッと低く笑う。

そうしていつも、螺子ドロボウは闇に消えてしまう。

螺子師は螺子ドロボウの意図が掴めない。


ある時、番外地の人形師が人形を持ってきた。

不格好に膨れた人形に螺子が食い込んでいた。

「番外地の廃ビルから崩壊の歌が聞こえる…」

人形師は言う。

「私は耳を塞ぐ…心の耳も塞ぐ…人形は耳が塞げないから体に溜めてしまうのだ…」

他にも膨れている人形はあるそうだ。

螺子師は取り合えず螺子を緩めて、人形に溜まった思いを抜いた。

酒屋を呼んで思いを持って行ってもらわないと、こっちがどうにかなりそうだった。


そんなこんなでも螺子師は元気に螺子を回している。

今日も螺子師の螺子は、しっかりおさまっている。

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