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エピローグ  片倉蓮太郎

 銭湯の帰りにコンビニに寄ったのは、ユーリの提案に従ったからである。

 アイスが食べたい、小豆あずきのヤツ、というワガママを聞く僕の度量はなかなかに大きいのではなかろうか。

 アルバイト店員から受け取ったアイスバーをその場で開封して小さな口に突っ込んだユーリはやっぱり可愛かった。ユーリと僕の共通の友人は、口を揃えて七園ユーリはなんだか気味が悪いというけども、全然そんな事はなかった。


「お前、勝手にいなくなるなよな」

「だってレンタローが出てくるのが遅いんだもん」

「だからってあんな河川敷にいたら危ないだろ。どこぞの野球部と違って不審者に襲われたらどうするんだよ」

「それはまぁ、大丈夫だよ」

 ユーリは顎に指を当てて、小さく花のように微笑んだ。その笑顔だけで許してしまう僕はやっぱり彼女に恋しているのだろう。


 コンビニを後にしてオフィス街を右折すると我が家がみえてくる。

 人通りの少なくなったその通りに人が無造作に転がっていた。ユーリが星のない狭い空を見上げたのに倣って僕も夜空を仰いだ。


 どうやら頭上のオフィスビルから落下したらしい。自殺だろうか。


「ねぇ! ねぇ! ねぇ! 見て見てレンタロー」

「僕はぐろいのとか駄目なんだよ」


 黒い地面に、鮮やかな赤色が咲いていた。

 潰れた顔面と曲がった手足。頭から覗いた脳漿とその具に、腐臭を連想して鼻を抑える。


「レンタローと同じ制服を着ているよ」

 その亡骸が誰のものかなんて、僕には知る由もなく、また興味もなかった。


「うへぇ、気持ち悪い」

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