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想い出の期限

作者: 鶏ノ宮幕ノ内

決して明るいとは言えない私の青春時代に区切りをつけるのに執筆しました。

楽しかった想い出。

悲しかった想い出。

沢山の感情が入り混ざった

言い表せない想い出。

ことあるごとに蘇る想い出達に

期限があるとしたら、

我々は今日という日を

どう生きれば良いのだろう?

振り返ってばかりでは、前に進めない。

それとも、人は振り返りながらも常に前進しているのか?

そんな事を考えている昼下がりの午後、私は眠りについた。


ねぇ、知ってる?

恋の始まりは、その人を呼び捨てで呼ぶようになった時だって。

ラブアンドヘイトっていう感覚、分かる?


意気揚々とした少女の声が聞こえた。

でも彼女が誰なのかは分からない。


彼女の言葉は、あながち間違いではない。

愛情と憎しみは対照的に見えて実は紙一重な要素を持っている。その人のことを愛したことがあるから憎むこともできる。それほどその人を知り尽くした結果だろう。しかし、その憎しみの先には、より深い愛情が待ち構えている。それが、真実の愛なのかも知れない。


愛していると同時に憎んでもいる。

そんな関係は、結局のところ長い期間一緒にいないと生まれない。


私は少しずつ歩きながら何度も後ろを振り返った。

背負ってきた想い出が夕日に影を伸ばしているのではないかと気になって振り向いた。

しかしそこには想い出の影はなく、ただ歩いてきた道のりが伸びているだけだった。


想い出の期限、

今日で切れちゃったみたいだね。

でも、いいじゃん?

また新しい想い出、作っていこうよ。


さっき話をしていた彼女が

沈んでゆく夕日の中から

弾むような声で私に語りかけた。


その時私は気がついた。

彼女は過去の私がなりたかった自分だということに。

過去の自分とは正反対の底抜けなく明るい

存在だということ。理想の自分が自身に語りかけていたのだと。


そして、役目を果たした彼女は、静かに消えていった。


ありがとう。

想い出に期限があったおかげで、

過去に囚われず

自由に生きていけるよ。

自由に生きる。

幸せな想い出を、これから沢山作って、

明るい未来を生きるよ。


防災無線から鳴る夕焼け小焼けの

メロディで、私は目を覚ました。

なんだかとても長い夢を見ていたようだ。

ほんの少しの長い時間。

それはとても儚いもの。

その間に、私は何を得ただろう?

これからどう生きる?

どこが終着地?


そんなことわからない。

ただかけがえのない愛情を得て、

毎日違う風に吹かれて、

心の安らぐ場所へと向かって、

少しずつ人生を歩んでいるのかも知れない。


今の私にはそれしかわからない。

この作品を書いたことにより、私の過ごした青春が限りなく孤独でこの上なく幸せだったことがわかりました。

明るい未来を生きていく勇気を夢の中の自分に与えられました。

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