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人間は時として悪魔よりも悪魔的要求をする

*********************


女神ティアは元々心の優しい知哉を勇者にし、この世界を救って貰いたいが、肝心の知哉自身は勇者になることを拒否し続けてる。

イフリート自身も悪魔ではあるがこの世界の魔王とは顔馴染みでもなく、人間が滅ぼされようが魔王が撃ち取られ様がどちらでも良いのだ。

魔界といえど、人間に強い恨みを持つ悪魔よりも何らかの風習によって迫害された人間の怨念が悪魔として姿を変えたり、天界で謀反を起こした天使が堕天した姿が悪魔でもある。イフリート自身も悪魔ではあるが炎の上位精霊の地位もある為、ある程度の精霊達から崇められている存在である。


「だーもう埒が明かない… イフリート。

面倒だから、この世界を滅ぼす契約に変更できないか?この女神と話しても切りがない。

俺が勇者として救えというなら、この世界を滅ぼしても文句はないよな?」


「なっ!?あ、貴方、正気ですか!?」


「出来んこともないが…異世界人の身体と記憶だけでは対価にならんからな。

うーむ。この場合は殺した人間の魂を生け贄に全てする契約に変えれば、魔王もろとも全てを滅ぼす事は可能だが?」


「女神・ティア様よ。

俺はイフリートに愛する人を作って守るという契約を結んでいたんだが、あんたがその気なら俺はその契約に変えるぞ?そもそも女神様が魔界に落とした人間が人助けするとでも思うか?」


確かに知哉はティアに暴言を吐いた為、魔界に落ちてイフリートと契約を結んでいる。イフリートが地上で愛せる女性を見つけて守るだけならば、他の人々は殺させることはない。だが、契約内容を変更し、魔王諸共滅ぼそうとする知哉こそ【悪魔の所業】に見えた。


ギルド内では場合によっては大悪魔・イフリートに世界を滅ぼされるかもしれないという恐怖の為か、どうするべきか小声で話し合っていた。


例え、ここでイフリートや知哉を倒しに掛かっても勝ちはない。そもそもティアは戦闘タイプの女神ではない。幸運と癒しを司る女神だ。

一方で、炎を操り粗暴で怒ると鬼神の如く暴れる悪魔を対峙できる人間はこの世界にいない。強いていえばその役目を任命された人物が世界を滅ぼそうとする契約を脅しに使っているのだ。


「さて、どうしますか?女神ティア様。大悪魔の恋愛を見守るか世界を滅ぼされるか。どっちが良いですか?そんな男を勇者に任命しようだなんて人を見る目が無いですねぇ~俺は悪魔よりも非道ですよ?」


「うぅ…心の優しい人だと信じていたのに…!!」


「そのせいで家族にも会社にも良いように使われて

それが嫌で自殺したんだよ!!

諦めろよ!!この年齢不詳の貧乳神が!!

2度と俺の前に現れるな!!」


知哉の脅しに折れたティアは涙目になっていたが、女の泣き脅しを何度も経験している知哉にはまるで効果はなく、ティアを無視しイフリートに最初の契約で良いか再度確認する。

イフリートからすれば面白ければ何でも良かった為、知哉との契約を成立させ再び身体に憑依した。


「女神ティアよ。

俺は契約は必ず守る悪魔故、俺が愛する女の願い事は聞く事にする。

言ってしまえば、その者が知哉みたいな事を願えば俺はそれを遂行するぞ?」


「…つまりは貴方が惚れた女が悪い人なら世界は滅ぼされる可能性や国や種族を滅ぼすと…?」


「逆にいい女で私を一生愛し、寿命が尽きるまで楽しい一時を願う女であれば、従順に付き合おうと、考えている。

いってしまえば愛を知らぬ悪魔を惚れさせた女の願

い事1つで世界の命運は変わると言うことだな」


ティアは悔しそうに知哉の身体に憑依したイフリートの言葉に下唇を噛み締めた。

性別の無い悪魔を愛せる女、つまりはイフリートが興味を引かれる女等、とんでもない悪女かもしれないと推測したからである。

イフリートはそんなティアの心を見通したのか同じ大悪魔の一人であるリリアーヌにはそういった感情を抱かなかった事とティア対しても何ともおもっていないことをハッキリといい放ったのだ。


「…わかりました。

それではそれを見守るとします!!

ですが、万が一世界を滅ぼすというのであれば天界の総力を上げてあなた方をとめますからね!?」


「案ずるな。そもそも愛だの恋を解らぬ悪魔がそれを何時実現できるか俺にも解らぬ。だから世界中の女と出会い見極める為に冒険者登録をし、身分証が必要なだけだ。」


受付嬢達はすっかり萎縮してしまい話しあいにならない。こちらとしては脅すつもりは無かったが、知哉のが悪魔のような契約を成立させようとしてしまった故に受付嬢達は粗相を起こして機嫌を損ねてしまったら国処か世界を滅ぼされる恐怖を植え付けてしまったのだ。


「うーむ、困ったな。

取りあえずは冒険者登録をしたいのだがな。

よし、ならこうしよう。

他のギルドの支部にもこの事は伝えていい。

場合によっては拒まれてもしかたないからな…。

脅すつもりは毛頭なかったのだが、俺は喧嘩は好きで粗暴で獰猛で短気な悪魔で有名だが、契約を破らない大悪魔としての仁義は通す方だ」


「で、でしたら種族の処に【魔族】と記入して頂いてイフリート様として冒険者カードを発行させていただきますが…」


イフリートが大人の対応を見せると最初に対応していた受付嬢が勇気を出して冒険者登録を進めてくれた。なかなか見所がある女であるが…。


「なかなか勇気のある受付嬢よ。

汝には想い人がいるであろう?

大悪魔にも、勇気を出したように幼なじみの宿屋のせがれに想いを伝えるのが良いということだけ教えておこう。

勇気を出して冒険者カードを作ってくてた礼だ。必ず上手くいくであろう…」


受付嬢は顔を紅く染め、照れるとイフリートは豪快に笑い受付嬢から冒険者カードを受けとり上機嫌でティアに冒険者カードを見せつけると頬を膨らませ天界へと戻っていってしまった。イフリートの愛と恋の冒険はようやくスタートラインに立つことが出来たのだ。

勇者したところでゲームは魔王討伐に戻ってオマケクエストが追加されてるだけ…魔王が本当にいなくなったらそれに立ち向かう力を持った勇者は英雄ではなく化け物扱いされるからって考えを持っていた時期があったなー

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