豪快な英雄・ダグラス参上!!
*********************
黒髪の短髪でバンダナを着けた巨体な身体をした重戦士の少年・ダグラスは豪快な笑い声をあげて名乗りを上げると、体格にあった巨大な大鎚【正義の剛鎚】を両手で握り締めると、伝説の魔物・古代の暴君蜥蜴に単独攻撃を仕掛けたのであった。
エデンの街でイフリートはリディーナをお姫様抱っこして高台に上がり、文字通りの高みの見物をしていたが、リディーナがイフリートに疑問を投げ掛けてきた。
「イフリートさ、部屋で話してた計画だと、この街の外れに【サキュバス街】作って定期的サキュバス達に精を奪って貰って魔界を潤すんでしょ?なら、イフリートがあのデッカイ蜥蜴倒した方が領主にも気に入られるんじゃないの?」
「だろうな。だが、現にこの地には魔王が存在するのは事実だが、魔界の大悪魔にちょっかいを掛けれる強さを持ち合わせてはおらんのだ。
それに豪気な戦士は色々と扱いやすいから色々と利になるのだ…」
「ふ~ん…な~んだ。てっきりカッコよく倒してウチを惚れさせるとか言わないんだね…」
「…リディーナ、逆に俺が一撃であれを葬り去って豪快に高笑いしたら引くだろ?」
リディーナはイフリートに抱き抱えながら、頬を指で突いた。
確かに、それは普通に惚れる要因の切っ掛け作りには基本かもしれない。
だが、あの程度の魔物なら生身の拳でぶっ飛ばしたり、首をへし折るのも容易に出来るし、得意の獄炎で焼き殺してスミ消しにするもの出来るが、そんな化け物の能力で惚れるかと逆に尋ねると、恋人よりも性奴隷って感じになるから嫌だと即答したのであった。
早い話がリディーナからの評価が上がらん喧嘩をしても仕方ないし、そもそもエルフのソフィアの英雄は元は知哉のパーティーの前衛を担当する予定だった男だ。
勇者という仕事を拒否した知哉のせいで仲間になる筈だった者にも何らかの影響が出ていたのだ。
本来ならあの古代の暴君蜥蜴が勇者と呼ばれる切っ掛けの為の噛ませキャラだったが、主役不在という演劇で悪者側が暴走してしまっているのだ。
おそらくだが、ティアが仲間側を聖騎士にしたり、英雄に書き換えたのだろう。
イフリートはリディーナを抱き抱えてまま、戦況を再び見つめた。ダグラスの登場によって、流れは冒険者側に向き始めていた。
無駄に数の多い手長蜥蜴の群れの討伐に当たっていたゴッシュとリリアーナ、そして街の後衛兵の一人であるアレックスの活躍により、手長蜥蜴は全滅寸前であった。
一方で強敵の古代の暴君蜥蜴に単独攻撃を仕掛けるダグラスをソフィアが弓で援護し、スティルが土魔法でダグラスを支援してカーラが支援魔法や強化魔法を掛けて手助けをする。
「おぉ、ありがとうな!!デカパイの姉さんに茶髪の少年と金髪の少年!!!正直助かる!!」
「失礼ね!!!私は女よ!!!何を見て判断したのよ!?」
「そうか!!!胸の膨らみがないから少年だと思っていた!!!スマン!!」
「馬鹿正直に答えてくれてどうも!!!この件が片付いたら一発殴らせろ!!!」
強敵の古代の暴君蜥蜴に前衛で一人で戦っているにも関わらず、ソフィアと会話できるだけの余裕がある。巨体に加えて大柄な大鎚を使用しているにも関わらず、古代の暴君蜥蜴の大木の様な尻尾の攻撃を避けるなど意外と機敏性を見せた。
「このデッカイ蜥蜴は初心者向けの魔物なのか!?俺、冒険者登録してねぇんだが…」
「嘘でしょ!?」
「嘘は着いてない!!それよりこいつの弱点は無いのか!?いい加減倒さんと腹が減って俺が倒れそうだ!!!」
「伝説の魔物相手にしてるのに…なんて緊張感の無い事をいうなんて無知って怖いわね…」
カーラが古代の暴君蜥蜴の弱点は存在しないと言うのだ。硬い鱗に覆われた身体に太く逞しい尻尾に巨体を支える脚ですら頑丈で武器も魔法も効果がない。
だからこそ、多くの魔法使いが長期に渡る休眠状態にして岩山に封じ込めたのだと伝えるとダグラスは悩んだ。
だが、直ぐ様開き直り、豪快に笑い始めてたのだ。
「つまり、こいつの鱗を叩き潰せば問題ないということか!!ならば、この【正義の剛鎚】と俺の怪力でぶっ潰してやるだけだ!!!」
「あー…あれは完璧にあれね。脳筋思考だわ…」
「け、けど、ダグラスの怪力と我々の支援魔法で…なんとか?」
「あーもうそれでいこう!!ダグラス!!私が弓での古代の暴君蜥蜴の気を引き付けるから思い切りぶっ叩いてやりな!!」
ダグラスはソフィアの言葉にニッと笑い、両手で柄の部分を握り締めてソフィアが弓矢で攻撃し、意識がそれた所を狙って跳び跳ねて思い切り大鎚を振りかざしての古代の暴君蜥蜴の脳天を叩き潰したのであった。
その場にいた多くの冒険者が伝説の魔物・の古代の暴君蜥蜴を討伐したダグラスに歓喜の声をあげたのであった。




