悪魔好みの女
サマンサ【人間】13
ダリルの一人娘で茶髪の三つ編みの少女。ダリルから英才教育を受けている為、上品な性格をしている。
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エデンの街に着くも門の前でダリルがオロオロしながらイフリートの帰りを待ちわびていた。
すると、見張り台に立っていた門兵が、イフリートが戻ってきたと大声でダリルに伝えると感極まって大粒の涙を流した。
イフリートはダリルの愛娘である茶髪の三つ編みの少女・サマンサを無事に連れ帰ってきたのだ。
サマンサは父のもとに駆け寄り、ダリルはサマンサの無事を喜び、再び涙を流した。
イフリートはアルマを呼び出して捕まえた山賊達を魔界へと送り出し、最後にテキーラに悪魔にならないか勧誘したが、舌をだして断られてしまった。
「それで領主のダリルよ。お主にたのみがあるのだ…この女を貰ってもいいか?」
「えっ…わ、私の娘ではありませんが…?」
「はっ!?あんた何言って…!!!」
「そうか。それは良かった…。それからジャンセンの店の改装の許可を許して貰いたいのと出来れ何処か土地を買いたいのだが…良いところを斡旋してくれないか?」
褐色肌の少女はイフリートに担がれたまま、抗議するが、イフリートは暴れる彼女を気にも止めずにダリルと交渉し始めたのだ。
ダリルは愛娘であるサマンサを救ってくれて恩人なら大悪魔であろうと力を貸すと握手を求めて来たのでそれに答えると、アルマを引き連れて冒険者ギルドへの報告をするために2人とはそこで別れたのであった。
冒険者ギルドへ着くとマリナとセリアがホッとした様子でイフリートを出迎えたが、何故か褐色肌の少女を担いで訪れたのだ。
「い、イフリートさん?彼女は…?」
「知らん。だが、気に入ったから山賊にしておくには勿体から俺の恋人にする事にしたのだ」
「ちょっ!?さっきからあんた何勝手に事を言ってるのよ!?」
「この口の悪さに態度の悪さ…悪魔好みだ…」
イフリートは褐色肌の少女を恋人にするのいうと隣でいたアルマが「名前も知らないのにですか?」と首を傾げた。褐色肌の少女は口を割らないが、大悪魔のイフリートに隠し事は無駄であるのだ。
「ほほぅ…リディーナというのか?」
「な、なんで知ってるのよ!!?」
「大悪魔のイフリート様に隠し事など無駄な事である。それからマリナ、今回の山賊討伐の報酬はいくらになる?」
「賞金首の山賊なので金貨500枚ほどになりますが…」
イフリートはリディーナに冒険者登録をする為に金貨200枚で登録して欲しいというとギルド内がざわついた。リディーナは何が何だか解らずにいると、イフリートが耳のイヤリングを外そうとするのでそれを抵抗するが、イフリートはアルマに身体を押さえさせてイヤリングを外すと耳が長くなり、まるでエルフのような姿になったのだ。
金髪のセミロング褐色肌、彼女・リディーナはダークエルフであったのだ。
エルフであるソフィアがリディーナの耳の長さから高貴な種族である耳長族でそこからダークエルフが産まれたと風の噂で聞いた事であるというとリディーナは俯いて居心地悪そうな感情を出していた。
「まぁ、そういう理由で悪魔の恋人にするの女でありダークエルフなのでな…高額ではあるが金貨200枚で手を売ってくれんか?」
「いや、そのギルド的には問題は無いのですが…」
「… 知ってるわよ。ダークエルフとパーティーを組みたい奴なんていない…!!!」
「ここにおるではないか?安心しろ。俺はその気になれば世界を炎の海に変えること出来るイフリートだ。お前が望むなら今から追い出された耳長族の里を焼き殺しに入っても良いのだぞ?」
「い、イフリートさん本気なのですか!?」
マリナの言葉にイフリートは当然だと返答した。粗暴で暴力の権化といわれ数多くの国や街、人を焼き殺してきたイフリートにとっては些細な事である。言ってしまえば、リディーナの気持ち一つで世界が滅亡するかもしれない状況になってしまったのだ。
だが、リディーナはそんな事は望まず、大人しくイフリートのいう通りに冒険者ギルドへの登録を済ませ始めたのだ。
「はい、これで良いんでしょ…?」
「うむ。てっきりこの提案は呑むと思ったのだがな…」
「…別にあんな里どうなろうと知った事無いわよ。私はあんたの「所有物」って事でしょ?前と変わらないわよ…次は何をどうしたらいいのよ?」
リディーナの心には感情が存在しない。いや感情が理解できないのだろう。今まで誰からも必要とされず利用され続けただけの人生で、それが山賊から大悪魔に変わっただけとそこまで深くは考えていない様子であった。
リディーナについては次の話で詳しいキャラ設定をのせます。




