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俺の腕のなかで眠っている
里菜の頬にはまだ涙の跡が
うっすら残っている。
わかってる…
里菜が春太のことを
好きだということくらい。
何があったかは知らない。
でもこいつが最近春太と
何かあったのは間違いない。
もしかしたら、
今がチャンスなのかもしれない。
勇樹は静かに里菜の頬に
キスを落とした。
「…春太……」
里菜が呟いた。寝言だ。
しばらくして、
里菜がゆっくり目を開けた。
「……勇樹、ごめんっ」
「良いよ。帰る?」
「…………まだ帰りたくない」
里菜の上目遣いの大きな目。
思わず目をそらして
「じゃあうち来るか」
気づいたらそう言ってた。
「何か、飲むか?」
「ううん、いい」
俺の部屋の絨毯に座り
うつむく里菜。
「話せる?」
「…………うん」
里菜が泣きそうな目で
話し始めた。
そして全部聞いた。
春太が里菜にしたこと、
春太と彩美のこと。
話し終わった頃には
里菜の目は涙でいっぱいに
なっていた。
「春太のことは…好き?」
里菜が黙り込む。
好きなんだな……
俺は春太に嫉妬して
言葉を続けた。
「春太は誰でもよかったんじゃないの?里菜でも彩美でも。身体目当てだったんだよ」
里菜の顔がまた悲しくゆがむ。
「そんな奴が好きなの?」
「…………」
里菜はやっぱり答えない。
いや、答えられないように
仕向けてるのは事実だけど。
「俺は、里菜が好きだよ」
里菜がかたまる。
「…………え?」
聞こえないくらいの返事。
「里菜のこと好き。春太とは違うよ。大事にする。里菜じゃなきゃダメ」
「…………」
「付き合って。春太を忘れさせるから」
続きは言われたら書きますので
そこんとくよろしくです