ストーブ
ストーブつけた。
冬になると、脱衣所にはストーブが不可欠だ。
我が家のストーブは少し古い。
元々白かったであろう部分は少し黄ばみ、洗面台や洗濯機のあせない白から少し浮いてしまっている。
腰骨くらいまでの背丈。
1番上にはまわすタイプのスイッチがついていて、500W、500W(首振)、800W、800W(首振)から選べる。
私はいつも、800W。
1番体を温められる強さ。
スイッチを入れる。
ブゥゥゥン、と蛍光灯のような発熱体に電気が通り、発熱する音がする。
周りに音のない脱衣所だから聞こえる、小さな音。
私の冬の音。
スイッチを入れてすぐにあたたかくはならない。
蛍光灯の赤みが増して、そのまわりを放物線を描くように置かれたアルミのような金属板も蛍光灯の赤に染まって、そうして始めてストーブの熱は私に届く。
あたたかさを感じられる頃には、ストーブの音はもう聞こえない。
本当に音がしていないのか、耳が慣れて聞こえなくなってしまったのかはよく分からない。
毎年ストーブを出して二、三日は少し焦げくさいにおいもする。
一年分の薄く積もった埃が燃えるにおい。
嫌いじゃない。
ストーブがあたたまってから、服を脱ぐ。
早く脱ぐか、ゆっくり脱ぐかは気分次第。
いずれにせよ、ストーブがあるから冷えることは無い。
風呂に入っている時も、ストーブはつけっぱなしだ。
電気代が気になるところではあるが、風呂から出てからスイッチをつけると体を拭いたあとでもストーブがあたたまっていないことがあるからだ。
ストーブの熱につつまれながら、湯冷めしないまま寝間着を着る。
風呂上がりのいろいろを済ませたら、脱衣所に用はない。
ストーブを切り、電気を消す。
脱衣場から出る時に振り返ると、暗い室内でストーブの赤が浮かんでいる。
取り残された温もり、少ししたら消える熱。
電気と一緒に消えられない光。
我が家にはこたつがないので、冬の代名詞はストーブです。
冬にストーブなしで着替えるのは無理ですね。