冬の夜
冬の夜、思ってたのと違う。
始めて意識した、冬の夜
窓を開けたけれど寒くてすぐに閉める
立ったまま右腕を押し付けるように窓にもたれかかる
外の冷たさは、窓と服越しでも鮮やかに感じられる
雲がかかっているのか、思い描いた濃紺よりも曖昧な色の空
濃紺と、ほんの少しの白とオレンジが、混ざった色
正面にあるアパートや、少し遠くのマンション、その廊下や階段を照らす光の色
オレンジと、白があるけれど、視界にある大半はオレンジ
人を守るためのそれは夜空を濁す
もちろん星なんて見えない
空は1面曖昧だけど、左側の方がオレンジはより濃い
そちら側は建物が1番多いところじゃないから、雲が低い位置にあるらしい
右側が見えるように身をよじる
冷たい窓には左腕。押し付けた瞬間が1番冷たく感じる
右側は濃紺と白が混ざった色。オレンジはない
光る建物も、雲もないようだ
街灯が、闇を奪ったのだと思っていた
でも、目の前にあるのは街灯の100倍もあろうかという安全灯
見える範囲で、その廊下や階段を通る人はいない
外を見始めてから今まで、いなかった
腕の奥まで寒さが染み渡ってきた
窓から体を離し、思わず腕をさする
もう一度窓を開ける
3分の1程で顔が楽に出せるから、それくらい
ふ、と香る草の匂いは、隣の家の庭のもの
直接見ればやはり、空のオレンジは雲に反射していた
真夜中ではありえないと思っていたオレンジ
夕焼けの少しあとに許されそうな色
室外機の音だけがきこえる
モーターが回転する音、そんなに低い音ではない
ふと見上げると、星が1つ、またたいている
他の星は?
上の階のベランダがあるせいで上の方まで見えないからしゃがんでみる
ひとつしか見えない
目を離すとすぐに見失うほどの弱い光
白とオレンジに負けずにここまで届いた強い光
なんだか安心して窓を閉める
ベッドに腰かけ、冷えた太ももをさする
もう真夜中、寝よう。おやすみなさい
足が主にひえひえで、レンジでチンする湯たんぽで温めています
冬と言えば満天の星を期待してしまいますが、まだ叶ったことはありません