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魔物使いの弟子  作者: 天利ミツキ
第一部
9/560

第9話:魔物騒動 その2

複数投稿の最後です




※一部修正しました(2020/11/29)

 

 この世界には、様々な種族がいる。


 まず最初は―人間族。

 特徴がないのが特徴の種族で、僕やパウリナのような人が多い。

 でもたまに、師匠のような一芸に秀でた人が出やすい種族でもある。


 次に―亜人族。

 耳が尖っているということを除けば、見た目は人間族とほぼ同じ種族だ。

 亜人族にはエルフ族とドワーフ族がいる。


 エルフ族は魔道具作製に長け、高身長の人が多い。


 ドワーフ族は武具作製に長け、低身長の人が多い。


 最後に―魔族。

 この種族最大の特徴は、『魔獣化』と呼ばれる魔物に似た姿に変身出来る特殊能力を有すること。

 竜人族、吸血族、獣人族、妖族の四種族がいる。


 竜人族は全種族中魔力が最も多く、強力なブレスを操る。


 吸血族は相手の魔力を奪う能力がある。

 魔獣化時の変化が最も小さい種族でもある。


 獣人族は動物の特徴を兼ね備えた種族で、身体能力が高い。


 妖族は竜人族の次に魔力が多く、東大陸の端にある島国にのみ存在する種族だ。




 だから僕は疑問を抱いた。

 南大陸に妖族がいるハズがないから―――。




 ◇◇◇◇◇




「世界を旅してるって言ったけど、本当?」


 僕は両手を挙げたまま、ヨーコにいくつか質問をする。


「ええ、本当よ」

「でも妖族って、自分の国から出ないんじゃなかったっけ?」

「あたしにも理由があるのよ、色々と……」


 彼女が苦虫を噛み潰したような顔で言うので、質問を変える。


「ええっと……最近町を騒がせてる魔物騒動の犯人って、君のこと?」

「そうなんじゃないの? この大陸に来てから魔獣化しっ放しだったから、魔物に間違えられても仕方ないし」

「そっか……」


 彼女の言葉を聞き、僕は手を降ろした。

 そしてこの騒動の原因を説明するために、彼女にギルドまで同行してもらうことになった―――。




 ◇◇◇◇◇




 ギルドに戻り、ヨーコと一緒にナナリーさんに事情を説明した。


「……なるほど、わかりました。後で上にも報告しておきます」

「お願いします」

「それとアルスさん、しばらくヨーコさんと行動を共にしてくれませんか?」

「僕はいいけど、何でまた?」


 僕の疑問に、ナナリーさんは答える。


「魔物騒動の犯人がわかったとはいえ、また騒動を引き起こす可能性がないとも言い切れないので」

「あたしはそんなことしないわよ」

「ええ……ですから念のためです」


 ヨーコが反論すると、ナナリーさんは彼女を宥めつつ続ける。


「それに、アルスさんが一緒に行動しているとなれば、問題はありませんから」

「何で?」

「後で説明す―――」

「それはアルスさんが、このギルドで一番信頼度が高いからです!」


 ヨーコの疑問に後で説明しようとしたら、ナナリーさんが割って入ってきた。

 そんな彼女に、ヨーコは質問する。


「そうなの?」

「はい! なぜなら彼は……」

「ナナリーさん」


 僕は口元に人差し指を当て、黙るようジェスチャーをする。

 彼女が言いそうになった事はだいたい予想つくけど、六年経った今でも人前で言われるのは未だに慣れない。


 すると彼女は口をつぐみ、慌てて取り繕った。


「あは、あははは……。これは私が言うことじゃなかったですね。……話は変わりますけど、この件の報酬は後日支払われることになります。よろしいでしょうか?」

「わかりました。それじゃあ、僕達はこれで」

「はい、お疲れ様でした」


 そして何か言いたそうなヨーコを連れて、僕達はギルドを後にした―――。




 ◇◇◇◇◇




「それで……ナナリーさん、だっけ? 彼女が言いそうになった事を説明してくれるのよね?」


 町中を歩きながら、ヨーコが尋ねる。

 その質問に僕は苦笑いしながら答える。


「するよ。するけど……まずは落ち着ける所に行こう」


 そう言って、彼女を連れてある店の中に入って行った。


 その店は、僕が居候させてもらっているデルさんの食堂だった。

 僕達の入店に気付いたのか、近くのテーブルにいた女性店員ーパウリナが振り返った。


「いらっしゃいま…………せ?」


 語尾が疑問形なのは、僕の隣にヨーコがいるからだろう。

 パウリナが僕に尋ねてくるので、僕は答える。


「アルス、その人……誰?」

「彼女はヨーコ。訳あってしばらく行動を共にすることになった。詳しく話したいから、パウリナも僕達と一緒に席に着いてくれないか?」


 そう言いながら僕は席に着くと、ヨーコとパウリナも同じように席に着いた―――。






修羅場ではありません。ええ、決して。

ナナリーさんが言いそうになったことは、次回説明します。




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