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魔物使いの弟子  作者: 天利ミツキ
第一部
8/560

第8話:魔物騒動 その1

複数投稿2話目です




※一部修正しました(2020/11/29)

 

 僕が冒険者になって一年が経過した。


 この一年で僕の冒険者ランクはCランクまで上がり、もうすぐBランクに昇格できるところまできていた。


 この一年、いろんな同業者と出会った。彼らとは臨時パーティーを組んだり、強い魔物が出現した際は情報を共有したり、討伐部隊として一緒に戦ったりした。

 魔物使いとしては、一人前になったとギルドから評価されている。

 けれど、未だに本契約した従魔がいないのは大問題だろうと、個人的には思っている。


 ジョブ関係の出来事はこのくらいで、普段の私生活は、パウリナの実家にまだ居候させてもらっている。

 というのも、他の大陸に移動するにもお金がかかるから。

 南大陸と東大陸は一部が地続きだからいいとしても、他の北、西、中央大陸は海で隔てられているので、大陸間の移動は船になる。

 その船代が馬鹿にならないので、未だに今の町から他の町に拠点を変えずに、冒険者活動をしながら、クエスト報酬をコツコツ貯金している。それに、宿代も別途かかるしね。


 師匠が課した課題を一つもクリア出来ていないまま、焦らず、けれど早くクリアできるように日々努力をしている。


 これはそんなある日のこと―――。




 ◇◇◇◇◇




 今日もギルドに顔を出し、知り合いの冒険者に挨拶しながら、受付まで進んで行く。

 そして、すっかり顔馴染みとなった受付嬢のナナリーさんに話しかける。


「こんにちは、ナナリーさん」

「あ……。こんにちは、アルスさん」


 彼女は事務作業をしていたらしく、顔を上げる。

 そんな彼女に、僕は問いかける。


「ナナリーさん、何か新しいクエストとかない?」

「そうですねぇ……今朝出されたばかりのクエストなんですけど」


 そう言って彼女は、手元にあった紙をこちらに差し出してくる。

 僕はそれを受け取ると、そこに書かれていた内容を読む。

 そこには……。


「未知の魔物?」

「そうなんですよ。最近、町の周囲に出没するようになったんですけど、大型の四足獣の魔物ということ以外わからないんですよ」


 僕は周辺に生息している魔物を思い出す。大きくても中型しかいないハズ。

 だから……。


「確かに、この周辺にはいない種類だね」

「それで今、捜索隊を募集してまして」

「それって、ソロでも受けられる?」

「はい、今は人手が欲しい時なので」

「じゃあ、このクエストを受けるよ」

「はい、承りました」


 ナナリーさんに紙を返し、クエストを受理してもらう。

 彼女が提供してくれた情報によると、その魔物は森の中に出没するらしい。

 早速僕は身支度を調え、森に向かって出発した―――。




 ◇◇◇◇◇




 森の中を進み、遭遇した魔物と仮契約して、いざというときのために戦力を増やしていく。

 そして、ちょっとした広場のようになっている場所にたどり着いた。


 するとそこに、ソレはいた。

 僕の気配に気付いたのか、ソレは体を起こして僕を睨み付け、殺気を放ってきた。


「くっ……!?」


 僕はなんとか耐えたが、仮契約をしていた魔物達は怯えてしまった。

 このままでは戦力にならないと思い、仮契約を解除する。

 すると魔物達は一目散に逃げていった。


 改めてソレと対峙する。

 ソレは、金色に輝く体毛をしたキツネのような魔物だった。

 ような、というのはその魔物は尾が九本あったからだ。


 ……確かに、この周辺では見ない種類だ。


 そう思いながら剣を構えると、予想外のことが起きた。


「……また、あたしを傷付ける人が現れたのね」


 ……喋った!?


 僕は驚愕しつつも、冷静に情報を整理する。

 魔物は喋ることが出来ないので、この人(?)は魔物じゃない。

 と、いうことは―――。


 僕は剣を納め、敵意が無いことを示すために両手を挙げながら、問いかける。


「僕はアルス。見ての通り冒険者をしている。君のことを傷付けるつもりはない。それと、君のことを教えてくれ」


 僕の言葉に嘘が含まれていないのを感じたのか、相手は殺気を放つのを止め、警戒をいくらか緩めた。


 そして相手の姿は、人間の姿に変化した。

 その姿は金色の髪をポニーテールに纏めた、僕と変わらない年代の少女だった。


 獣耳とシッポを生やした金色の少女は、僕に向かって言った。


「あたしはヨーコ。世界を旅しているただの妖族よ」




 ―――これが、僕とヨーコの出逢いだった。






本編開始&新ヒロイン登場です。

魔族については次回あたりに説明できるかもです。




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