Re:22 ガールズside:実力測定 その1
前回のあらすじ
フェーンとリルが仲間になった
※一部修正しました(2021/12/20)
わたし達はアルスを見送った後、ソラさんが待っているある場所に向かった。
王城の中を通り抜け、隣接されている建物の中に入る。
その建物は、ソラさんが個人的に所有している訓練場だった。
訓練場は、闘技場の半分ほどの大きさだけど、わたし達四人が練習するには十分な広さだった。
訓練場の中央で、ソラさんがわたし達を待っていた。
「みんな来たみたいだね。それじゃあ練習を始めようか」
「「「「はい! よろしくお願いします!」」」」
わたし達は声を揃えて頭を下げた。
「だけどその前に」
「「「「?」」」」
わたし達は頭に疑問符を浮かべながら、顔を上げてソラさんを見つめる。
「みんなの今の実力を鑑みて個別に課題を出す。そのためにぼくと、一対一で模擬戦をしようか」
ソラさんが突拍子もなくそう言った―――。
◇◇◇◇◇
「さて、誰から始める?」
「それじゃあわたしから」
わたしは自分の杖を握り締めながら、ソラさんに向かって一歩足を踏み出した。
「パウリナからか……分かった。じゃあ、簡単にルールを説明するよ。制限時間は五分、勝敗はナシ。ぼくは超級魔法を使わないけど、ヨーコ達は魔獣化を使ってもいい。ルールとしては、このくらいかな?」
超級魔法を使わないとソラさんは言ったけど、それだけわたし達とソラさんの間に実力差があると、暗に言っているような気がした。
そして、彼女と本気で闘ったアルスとの実力差も……。
わたしがそんなことを考えていると、ソラさんがヨーコちゃん達に向かって言う。
「ヨーコ達は自分の番になるまで、壁際まで下がっていてくれ」
「分かりました。……パウリナ、頑張って」
「うんっ!」
ヨーコちゃんはわたしに激励を送ってから、ミラちゃんとステファニーちゃんと一緒に壁際まで下がっていった。
わたしはソラさんと対峙する。
こうして一対一で向き合っていると、彼女からは強者のオーラがひしひしと感じられて、戦意が削がれそうになる。
するとソラさんがわたしの緊張を和らげるかのように、普段の柔らかい雰囲気を纏う。
「そんなに緊張しなくても大丈夫だよ、パウリナ。今君に出来ることを、ぼくに向かってやるだけでいいからね」
「……はい、分かりました」
わたしはスーハーと何回か深呼吸をして、緊張を解きほぐす。
「緊張もほぐれた様だし、早速始めようか」
ソラさんの言葉を受け、わたしは杖を構える。
ソラさんは「どこからでもかかってこい」と言う風に、剣と杖を持つ腕をダラリと下げていた。
わたしは杖の先端を彼女に向けて、一番得意な魔法を放つ。
「《ギガサンダー》!」
雷撃がソラさんに向かって行くけど、彼女は同じ魔法で相殺するでもなく、剣を振り上げて雷撃を真っ二つに斬り裂いた。
わたしは次々に魔法を放っていくけど、その悉くをソラさんは剣で斬り裂いていった。
さすがに気になったので、ソラさんに聞いてみる。
「ソラさん。ソラさんの剣って、いったい何で出来てるんですか?」
「ん? ああ、アダマンタイトとマナタイトの合金製だよ。だから魔法を斬り裂くなんていう芸当が出来てるんだ」
ソラさんの言葉に、わたしは納得した。
「聞きたいことはそれだけかい? なら……今度はこちらから行かせてもらう」
そう言ってソラさんがわたしに接近してくる。
わたしは彼女の接近を阻もうと、魔法を連射するけど、ソラさんはさっきと同じように魔法を斬り裂いていった。
接近したソラさんが杖を槍のように突き出してきたので、わたしは《エアロ》で軌道を反らしつつ《シャイン》と《ダーク》を立て続けに放つ。
ソラさんは今度は魔法を斬り裂かず、剣の腹で魔法を防いでいる。
わたしが次の魔法を発動しようとした時に、ソラさんが戦闘体勢を解く。
「……五分経ったね。お疲れ様、パウリナの実力はだいたい把握出来たよ」
「そうですか……?」
わたしも戦闘体勢を解きながら、ソラさんに聞き返す。
「うん。それで、パウリナの課題は……」
わたしはゴクリと喉を鳴らして、ソラさんの次の言葉を待つ。
「超級魔法の習得だね」
「…………へ?」
今、超級魔法の習得って聞こえた気が……。
ソラさんがわたしのことなど気にせずに続ける。
「パウリナの長所を最大限に活かすには、これしかないと思ったんだ。不服かい?」
「!? いえいえ、不服だなんてそんな!?」
わたしは両手を振って否定する。
わたしの反応にソラさんは一人頷きながら、ヨーコちゃん達の方に目を向ける。
「次は誰だい?」
「……あたしが」
わたしはミラちゃん達のところまで行き、入れ替わるようにヨーコちゃんがソラさんの下に向かった―――。
パウリナの課題は超級魔法の習得。もちろん、全属性です。
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