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魔物使いの弟子  作者: 天利ミツキ
第三部
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第361i話 原初の魔王VS初代勇者 その11

前回のあらすじ

アルスがアーサーに奇襲を仕掛けた

 

 穴の中から飛び出したアルスお兄ちゃんは、オオカミの足のように変化した腕を振るってくる。

 突然の出来事に防御が間に合わず、鋭利な爪が私の左腕を抉った。


 アルスお兄ちゃんは飛び出した勢いのまま私を通り越す。

 私は魔獣化して再び天使の翼を生やし、後ろを振り向く。

 するとアルスお兄ちゃんは今度は竜のような翼を生やして、鞘から剣を引き抜きながら私目掛けて降下してきた。


 降下の勢いも乗ったアルスお兄ちゃんの一閃を、両手の剣を交差させて防ぐ。

 でも、勢いだけは受け止め切れなかったようで、剣が振り抜かれるままに真横へと吹き飛ばされてしまった。


 そんな私に追撃を仕掛けるように、アルスお兄ちゃんが翼を羽ばたかせて私に接近してくる。

 彼の接近を阻もうと、私は魔法で反撃する。


「《ギガアイス》!」


 氷属性上級魔法で吹雪を引き起こし、アルスお兄ちゃんの足を止めるのと視界を奪うことの両方を同時に行う。

 だけど幾度の戦場を潜り抜けてきた彼の方が、私よりも一枚も二枚も上手だった。


「《ギガエアロ》!」


 風属性上級魔法で竜巻を巻き起こすと、それに吹雪を吸い取らせて視界を確保する。

 そして彼が最も得意とする雷属性の上級魔法が放たれた。


 それを左右の剣で斬り裂くけど、その隙にさらに私との距離を詰めてきた。

 そしてそのまま剣による突きを繰り出してくる。


 私は必死に翼を動かし、なんとか紙一重でアルスお兄ちゃんの突きを回避する。

 半身の状態となった私は、反撃とばかりに彼に横薙ぎの一閃を繰り出そう――としたけれど、彼の方が早かった。


 ベルトに挟んでいた杖を引き抜くと、逆手に持ったまま杖の先端を突き出してきた。

 首を捻ってそれを回避する。


 まったく……油断も隙もありゃしない……。


「《ボルテクスバースト》!」


 そう思った直後、ほぼ零距離で雷属性超級魔法が自爆紛いに放たれた。

 防御を取る暇なんてなく、私は雷撃をモロに受ける。

 そしてそのまま、近くの建物まで吹き飛ばされた―――。




 ◇◇◇◇◇




「《ボルテクスバースト》!」


 ほぼ零距離で、ほとんど自爆紛いに雷属性超級魔法を発動させる。

 超が付くほどの至近距離で雷撃を受けて、防御行動を一切取っていなかったアーサーはそのまま近くの建物まで吹き飛ばされていく。


 僕の方も無事では済まなく、翼が麻痺して空を飛ぶことが出来なくなってしまった。

 そのまま地面に墜落し、ズザザッと地面を滑っていく。


 墜落する寸前に受け身を取って背中側から落ちたから、大した怪我は負っていない。

 落下のダメージはあるけど……。


 ジンジンと痛む背中に回復魔法を掛けて、擬似魔獣化を一旦解除してから立ち上がる。

 アーサーは……まだ出て来ていないようだ。


 追撃を仕掛けようと左手に握った杖の先端を向けると、アーサーが空けた穴の奥から一条の純白の光線が放たれてきた。


「くっ……!」


 攻撃を中断して身体を伏せると、光線は僕の真上を通り過ぎた。

 そして穴の奥から、二本の剣を構えたアーサーが翼を羽ばたかせて飛び出してきた。

 彼女は一直線に、僕目掛けて飛んでくる。


 僕はまた擬似魔獣化して、今度は吸血族へと変化する。

 変化すると同時にアーサーは剣の間合いへと入り、両手の剣を振り回してくる。

 交互に飛んでくる斬戟を、右手の剣と左手の杖を駆使して捌いていく。


 剣戟の合間に僕は魔法を発動したかったけど、アーサーは僕に魔法を発動させたくないようで、剣戟の勢いを増していく。

 そのせいで、魔法を発動出来ずにいた。


 だけどそれも長くは続かなかった。

 アーサーが息継ぎをするほんの一瞬、今まではなかった隙が確かに出来た。


「《ブラッディソーン》!」


 その一瞬を逃さず、鮮血魔法で生み出した真っ赤なツタでアーサーの身体を雁字絡めに縛り上げていく。


「なっ……!? くっ……!」


 ツタの拘束を振りほどこうとアーサーが身動ぎするけど、そんなことで振りほどけるほど甘くはない。


「こうなったら……」


 すると突然じたばたともがくのを止め、そう呟く。

 嫌な予感がしてアーサーから全速力で離れようとしたけど、彼女の方が早かった。


「《ウインドバースト》!」


 風属性超級魔法を発動させて、凄まじい突風を巻き起こす。

 その風に煽られ、僕は盛大に吹き飛ばされていく。

 そして近くの建物の壁を突き破り、中をゴロゴロと転がる。


「ゲホッゴホッ……」


 咳き込みながらも、なんとか上体を起こす。

 擬似魔獣化は、まだ維持出来ていた。


 すると、自らが空けた穴からガラガラと何かが崩れる音がした。

 そちらに目を向けると、六枚の純白の翼を携え光輝く光輪を戴いた、金色の死神の姿がそこにあった―――。






勇者を死神呼ばわりとか……。




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