第45話:新生活
前回のあらすじ
央都に向かって出発
※一部修正しました(2020/12/01)
央都に向かう途中、町が一つもないので野宿で一泊する。
次の日の昼頃に央都にたどり着いた。
央都に着いた僕達は昼食を摂った後、冒険者ギルド本部に向かった。
ギルド本部に入り、受付に向かう。
そこで受付嬢に紹介状を差し出しながら用件を述べる。
それを聞いた受付嬢に案内され、別室でAランク昇格の手続きをする。
手続きが終わり、受付嬢が言う。
「はい、これでアルスさんはAランク冒険者になりました。おめでとうございます。……あら? アルスさんは冒険者になってから、まだ二年しか経ってないんですか? すごいですね!」
「ありがとうございます」
僕は素直にお礼を述べる。後、僕は先日十七才の誕生日を迎えた。
十五才の誕生日の時に冒険者になったので、受付嬢の言うことに間違いはない。
手続きも終わったので、僕はもう一つの用件を述べる。
「ところで、この央都で一軒家とか借りられないですか?」
「理由を聞いてもいいですか?」
「はい、しばらく央都に長期滞在しようと思って」
「……それなら、オススメの物件がいくつかあります。資料をお持ちしますので、少々お待ちください」
受付嬢はそう言って部屋を出ていった。
しばらくして、資料を持ってきた彼女の説明を受け、その中のある一軒家に入居することに決めた。
入居手続きを終えて、彼女に連れられ僕達は一軒家に向かった―――。
◇◇◇◇◇
僕達が案内されたのは、央都北部にある庭付きの一軒家だった。
受付嬢が言うには、家具は前の住人が使っていたのがそのまま残っているらしい。
僕は彼女にお礼を述べると、彼女はギルド本部に戻っていった。
そして僕達は、今日からしばらくの間拠点となる家の中に入っていった。
家の中には広いリビングがあり、廊下を曲がった先に五つの個室があった。
僕の部屋は、廊下の突き当たりにある一番大きい個室になった。
僕達は自分の部屋を決めた後、リビングに集まった。
リビングに集まり、今後のことを話し合う。
「さて……今後のことだけど。まず最初に……料理当番を決めよう」
「料理当番? なんで?」
僕がそう言うと、ヨーコが首を傾げる。
「家を借りられたし、それに五人もいるし、せっかくだからご飯は自分達で作ろうと思って」
「それなら、わたしが一人で作るけど?」
パウリナが手を挙げて主張する。
僕は反論する。
「いやいや、パウリナ一人に任せるのは申し訳ないって」
「大丈夫だよ。料理するのは好きだし、苦にならないから」
「じゃあ、パウリナが料理担当で」
パウリナがそう言うので、僕は彼女に一任した。
ミラが手を低く挙げながら言う。
「次は何を決めるのですか?」
「次は……パウリナに魔法を教えるのは誰か、ということだけど……」
「それなら、あたしが教えるわ」
僕の言葉に、ヨーコが素早く手を挙げて主張する。
ヨーコの魔法の腕はこの中では一番なので、彼女に任せることにする。
「それじゃあ頼む、ヨーコ」
「よろしくお願いね、ヨーコちゃん」
「任せて、優しく教えるから」
僕とパウリナがそうお願いすると、ヨーコは胸を張って答える。
「他に決めることはあるんスか?」
「そうだなぁ……」
ステファニーがそう尋ねるので、僕は腕組みをしながら考える。
考えるが、特になかった。
「特にないかな」
「それじゃあ、晩ご飯は何食べたい?」
僕の後に、パウリナがみんなにそう尋ねる。
僕達はそれぞれ答える。
「パウリナが作るものならなんでも」
「アルスと同じく」
「そうですね……。お任せいたします」
「肉料理が食べたいッス!」
希望らしい希望を告げたのはステファニーだけだった。
パウリナはそれを聞いて立ち上がる。
「それじゃあ、ステファニーちゃんの希望で肉料理で、その他はお任せで。わたしは食材の買い出しに……」
「僕も買い出しを手伝うよ。みんなは?」
僕も立ち上がりながらそう言う。
ヨーコ達三人は答える。
「わたくしは家に残っています」
「アタシも残るッス」
「……だ、そうだから、買い出しは二人きりで行ってきて。当然あたしも残るわ」
僕はヨーコ達に気を使わせたかなと思いつつ、パウリナと二人きりで買い出しに出かけた。
その日の夕食は、パウリナが腕を振るった料理をみんなで楽しく、美味しくいただいた―――。
央都での共同生活がスタートします
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